「五輪子ども動員」強行のために東京都が“キャンセル案内文書”を隠蔽! 感動演出のために子どもの命を危険に晒す狂気

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子ども動員中止を迫られた西村康稔・経済再生相は「バス移動だから低リスク」と事実誤認の答弁

 現に、昨日17日におこなわれた参院議院運営委員会では、日本共産党の共産党の倉林明子参院議員が学校連携観戦について「自治体任せにせず、政府の責任で中止を判断すべきだ」と追及したが、コロナ担当の西村康稔・経済再生担当相はこう答弁したのだ。

「近い場所からバスに乗って管理されたかたちで来て観戦し、そのまま管理された形で戻る分にはリスクは低いという考えもある」

「近い場所からバスに乗って管理」って、何を言っているのか。いまも競技会場への移動には公共交通機関を使うとされており、実際、子どもたちの観戦をキャンセルせず観戦をおこなう意向である神奈川県の相模原市教育委員会は〈中学生は保護者同伴の上、分散して公共交通機関で移動させる方針〉だとしている。だいたいバスを使ったとしても、東京の中学校で発生したデルタ株(インド型変異株)のクラスターでは、マスクを着用し数十分ほど車移動した際の車中か、屋外での野球練習中に感染が広がったと見られている。公共交通機関であれバスであれ、集まって移動すること、屋外であっても多くの人が集まって観戦すること自体が感染リスクを高める行為なのだ。さらには熱中症の懸念も何ひとつ解消されていない。

 なぜ、小池都知事や菅政権は揃いも揃って、こうまでして子どもたちを危険に晒そうとしているのか。その理由として考えられるのは、チケット販売数の問題だ。

 現時点ですでに販売済みの五輪チケットは全会場の最大収容数の約42%だと組織委は説明しているが、この約42%のなかには学校連携観戦分のチケットも含まれている。一方、菅義偉首相はいま大規模イベントの観客上限約1万人の方針を東京五輪にも適用しようと目論んでいるが、これを実行できれば〈いったん購入されたチケットの代金を払い戻したり、観客席が足りなくて再抽選したりせずに済む〉という(毎日新聞16日付)。

 だが、菅政権も小池都知事も、何もチケット払い戻しをしなくて済むという理由だけで学校連携観戦を強行しようとしているわけではないだろう(ちなみに学校連携観戦プログラムのチケットは通常より低額で提供される)。それ以上にあるのは、できるだけ観客を入れたい、そして子どもを動員することで感動的な五輪を演出したい、という欲望だ。

 実際、菅首相は昨日の会見でも「東日本大震災から復興を遂げた姿を世界に発信し、子どもたちに夢や感動を伝える機会になる」などと発言したが、子ども128万人分の動員がなくなってしまうと観客席の空きが目立つことになる上、何よりも開催後の選挙で有観客での開催を正当化する際、「子どもたちが五輪会場で歓喜した」という重要な材料を失ってしまうことになる。選挙で「子どもたちに夢や感動を伝えた」とアピールするには、子どもたちの動員が不可欠だというわけだ。

 五輪の成功を印象づけたい小池都知事と、有観客での開催という自身の決定を正当化するため、さらには目前に控えた総選挙でのアピールのために子どもたちをダシに使おうという菅首相。こうした為政者たちの欲望のために、子どもたちはいま、危険に晒されようとしているのである。一体、これのどこが「平和の祭典」だと言うのだろうか。

最終更新:2021.06.18 08:51

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