新聞労連・南彰委員長が語る“望月記者排除”の構造(前編)

菅官房長官の質問拒否だけじゃない、官邸の“望月記者ハラスメント”の実態! 不倫デマまで流して記者を分断

2019.03.01 11:30
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菅官房長官の質問拒否だけじゃない、官邸の望月記者ハラスメントの実態! 不倫デマまで流して記者を分断の画像1
定例会見での菅官房長官(首相官邸ホームページより)


 東京新聞の望月衣塑子・社会部記者に対する安倍官邸の“弾圧”が、日に日に激しさを増している。昨年12月28日に内閣記者会(官邸記者クラブ)に提示された望月記者を排除しようとする“圧力文書”に対し、今年2月5日に日本新聞労働組合連合(新聞労連)が〈記者の質問の権利を制限し、国民の『知る権利』を狭めるもの〉だとして抗議声明を出したことをきっかけに官邸の報道圧力に批判の声があがったが、菅義偉官房長官は国会でも望月記者への敵意を剥き出しに。

 さらに、2月26日の記者会見では、望月記者が“圧力文書”について「我が社以外のメディアにもこのような要請をしたことがあるのか。また、今後もこのような抗議文を出しつづけるおつもりなのか」と質問すると、菅官房長官は「この場所は記者会見の質問を受ける場であり、意見を申し入れる場所ではありません」と返答。「意見」などではなく明確な「質問」をおこなったのにそれを拒絶し、重ねて望月記者が「この会見は一体何のための場だと思ってらっしゃるんでしょうか」と問うと、強い口調でこう言い放った。

「あなたに答える必要はありません」

 これは「気にくわない相手の質問は拒絶して当然」という職責の放棄であると同時に、国民の「知る権利」を蔑ろにする権力の暴挙だ。この回答について、翌27日の会見で菅官房長官は「これまで国会やこの記者会見の場でも累次にわたって『官房長官記者会見は記者からの質問に対し政府の見解・立場を答える場である』というふうに述べてきた。ですからそのことを、あえて繰り返さないとの趣旨だった」と言い繕ったが、「この会見は何のための場と考えるか」と見解を問う質問を拒絶しておきながら、こんな言い訳が通用するはずがない。

 しかも、この菅官房長官の回答拒絶は、望月記者のみならず、すべての記者に突きつけられた“宣戦布告”だ。にもかかわらず、驚いたことに官邸記者クラブは、会見をボイコットするでもなく、それどころか抗議文さえいまだ出していない。

 国民の知る権利を守るため、国民の代表として権力を問いただす任を負っているはずの記者たちが、その権利を脅かされているというのに沈黙してしまう──。いま、官邸記者クラブはどうなっているのか。そして、どうしてこのような構造が生まれたのか。さらに記者を萎縮させるために官邸はどのような手段に出ているのか。官房長官会見で500回以上質問をおこなった経験をもち、今回の望月記者排除問題を提起した新聞労連・南彰委員長に話を聞いた。


●望月記者への「あなたに答える必要はない」は菅官房長官の本音

──まず、菅官房長官の「あなたに答える必要はない」発言、南委員長はどう受け止めましたか。

南 あれは菅さんの本音がそのまま出てしまった、という感じですよね。菅さんは2017年8月8日の会見でも、望月さんの質問に「ここは質問に答える場所ではない」という暴言を吐いているんですが、今回も、不都合な質問や自分の意に沿わない記者が質問したものに対しては答えたくない、という彼の姿勢が如実に表れてしまったんだなと。
 そもそも、質問されて説明ができないのであれば、菅さんは権限を持つなという話なんです。ここまで官邸の権限を肥大化させ、それを行使しておきながら「忙しいから説明はほどほどで」というのは道理が通らない。

──その上、2月15日には、安倍政権は〈(官邸が)申入れを行ったことが「報道機関への不当な介入」及び「記者の質問権のみならず国民の知る権利をも侵害する行為」であるとの御指摘は当たらない〉という答弁書を閣議決定までしました。これはもはや「これからもガンガン行くぞ」という脅しでは……。

南 そう、今後も妨害はあると完全に正当化してきたということです。しかも、官邸は申し入れ前に官邸記者クラブに対して望月さんの排除を求める要求を水面下でおこなっていたようなのですが、これを記者クラブ側は突っぱねた。そのため、官邸からの申し入れを「受けていない」という立場なんですが、ところがこの答弁書では〈申入れを行った〉となっているんです。自分たちは申し入れを受け取っていないのに、申し入れをおこなったとなっているのだから、官邸記者クラブはそこで抗議するチャンスがあった。でも、その閣議決定の重要性に反応しきれなかった感じですよね。

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