香山リカが講演会中止に「公の場からリベルな言論が排除される」と危機感! ネトウヨからの「ダブスタ」攻撃にも反論

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今回の中止がさらなる言論の萎縮効果を生む懸念

 さらに、香山氏が危惧するのは、今後への影響だ。

「最大の問題は、今回の件は南丹市の問題だけですまないということです。南丹市は非常にまずい前例をつくってしまった。ひとつは、繰り返しになりますが、気に食わない言論を脅しでつぶそうとする人たちの成功事例となってしまったこと。そうやってやれば自治体っていうのはとにかく中止にするんだということを“学習”して、またどこかで同じことが起きるはずです。対象は私だけに限らず、ほかの言論人の講演などに対しても同様のことをする人が出るかもしれない」

 また、香山氏は今回の件が行政にさらなる萎縮効果を生むのではないか、と懸念する。

「前科ではないのですが、こうやって『トラブルが起きた』ということが報じられると、結果だけを読んだ人が、狙われる可能性のある人、端的に言えばリベラルな発言をする人を講演などに呼ぶと厄介なことになるという、事なかれ主義のような空気が、行政や公的イベントにどんどん広がっていくんじゃないかと思うんです。結果的に、政治的に無色透明な無難な人とか、あるいは、逆に保守的な人だったら、左派が街宣車で来ることはないので(笑)、そういう人を選んでおいたほうがよいということになって、そう意図したわけではないのに結果的にどんどん言論が偏っていくということになりかねない」

 実際、香山氏の指摘するような事態はすでに起こり始めている。近年、リベラルな言論を行政が公的な場から排除する動きが相次いでいるのだ。

 香山氏自身、右派の抗議により講演会中止に追い込まれたのは、今回が初めてではない。昨年、江東区の社会福祉協議会などが主催した子ども食堂に関する講演が、レイシスト団体・在特会(在日特権を許さない市民の会)の元会長桜井誠氏などの抗議呼びかけにより中止に追い込まれている。

 香山氏だけではない。9条護憲に関する集会が公共施設の使用を拒否されたり使用許可が取り消されたりするケースが相次いでいる。また、前川喜平・元文科事務次官の講演会も右派からの激しい妨害や攻撃にあっている。講演会だけではなく、地方自治体や学校法人の運営する公共施設の役職に、リベラルと目される人物が就くことが妨害されたりキャンセルされたりという事態も起きている。

 こういう事態が続いた結果、行政は、はなからリベラルな人に依頼するのを控えようという空気も生む。さらに行政だけにとどまらず、テレビでも、ネトウヨの電凸などを嫌がり、情報番組やニュース番組から、リベラルなコメンテーターをどんどん排除する傾向にある。

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