今こそ読んでほしい! 忌野清志郎の「表現の自由を奪う圧力」との闘い、そして憲法9条への美しすぎるメッセージ

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 その結果、〈Hey Hey We’re THE TIMERS/Timerが大好き/かわいい君とトリップしたいな〉(「タイマーズのテーマ」)というテーマ曲を携えたバンドが誕生。彼らは89年にアルバム『TIMERS』をリリースするのだが、その作品は、表現の自由を奪ったレコード会社に対する皮肉に満ちた作品となっていた。

〈もしも僕が偉くなったなら/偉くない人の邪魔をしたりしないさ(中略)もしも僕が偉くなったなら/君が歌う歌を止めたりしないさ〉(「偉人のうた」)
〈冗談のひとつもいえねぇ/好きな歌さえうたえねぇ/替え歌のひとつにもいちいちめくじらを立てる/いやな世の中になっちまったもんでござんすねぇ〉(「ロックン仁義」)

 そして、怒りがおさまらない清志郎は、そのアルバム発売直前の10月13日深夜に出演した『夜のヒットスタジオ ROCK&MUSIC』(フジテレビ)で事件を起こす。生放送の番組のゲストライブコーナーに出演した彼らは、リハーサルで歌った楽曲を突如変更。いきなりこんな歌を歌い始めたのである。

〈FM東京腐ったラジオ/FM東京最低のラジオ/何でもかんでも放送禁止さ/FM東京バカのラジオ/FM東京こそこそすんじゃねぇ/おまんこ野郎FM東京〉

 FM東京への執拗な悪罵とともに〈おまんこ野郎〉という放送禁止用語が叫ばれスタジオは騒然。生放送のため演奏を途中で止めることもできず、ライブ後、司会の古館伊知郎が「放送上不適切な表現があったことをおわびいたします」と謝罪することになった。

 ここで清志郎がFM東京を罵ったのは、先の発売中止騒動に原因がある。シングル「ラヴ・ミー・テンダー/サマータイム・ブルース」が発売中止となったのはあまりにも直前だったため、各放送局にはもうすでに見本盤シングルは配られていた。だが、EMI側はそのサンプルを回収せず、エアプレイに関しても通常通り放送してもらって構わないとしていた。実際、日本有線、ニッポン放送、文化放送などではリクエストに応じてオンエアーしていたのだが、そんななかFM東京は「教育番組を流している会社であり、ふさわしくないと判断した」として放送を自粛した。局側は「圧力があったわけではない」としているが、実際は、FM東京が番組を売っている地方FM局のなかには原発誘致に積極的な地方の局もあり、そのことが放送自粛に影響していたのだろう。

 この大騒動ののち、91年にはRCサクセションが活動を休止し、その後の清志郎は数々のユニットを渡り歩くなど流動的なキャリアを歩む時期となるが、それでも彼の反骨精神は消えることはなかった。

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