横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」11

被災者を苦しめる“アベ土建政治”血税をドブに捨てる暴挙になぜ小池都知事は切り込まない!?

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 しかし小泉地区の有力者は、地権者でもある長老ら推進派で占められ、経済合理性(費用対効果)が優れたように見える代替案が十分に比較・検討されることはなかった。震災で水没した海岸近くの農地を防潮堤建設用地として買い上げてもらえば、地権者の現金収入になる。そこで元自民党員の及川善賢市議ら推進派は「見直しをすると復興が遅れる」「仮設住宅に入っている地権者は農地を売って新居の頭金や生活費にしたい」と主張。地域ボスによる形だけの住民合意で見直し案を葬り去ってしまったのだ。

 2014年5月24日に仙台で開かれたシンポジウムでは昭恵夫人が見直しを訴えた後、安倍首相もビデオメッセージで登場、景観や環境や住民合意への配慮を求めたが、事業主体の宮城県(村井嘉浩知事)は見直しを拒否、工事着工に至った。「村井知事は安倍首相を超える権限を持っているのか」という疑問の声が出たが、結局、安倍首相のビデオメッセージはリップサービス程度にすぎず、自らの忠告を聞き流した村井知事の“暴走”を止めようとはしなかったのだ。

<例2 陸前高田市高田松原海岸>
 建設業者と地主が儲かる防潮堤建設への血税投入は、北隣の岩手県陸前高田市でも罷り通っていた。小池都知事が岩手訪問をした2月17日、奇跡の一本松で有名な高田松原海岸を訪れると、ここでも高さ12.5メートルの防潮堤建設工事が本格化していた。震災直後に国道兼用案を戸羽太・陸前高田市長に進言した行政関係者はこう振り返る。

「陸前高田市も高台移転を決定、海側の低地には住宅が建てられないようになりました。であれば、人の住まない低地を守るために巨大防潮堤を建設する必要はない。そこで市長に国道45号線と防潮堤を兼用する案を提案したのですが、見向きもされませんでした」

<例3 気仙沼市大谷海岸>
 防潮堤建設による復興税浪費(アベ土建政治の弊害)は、「国道兼用案」が実現した気仙沼市大谷海岸に目を向けると、より鮮明になる。ここでも海水浴場として親しまれてきた海岸に高さ9.8メートルの防潮堤計画が浮上したが、地元見直し派が署名活動を開始、行政などとの話し合いを繰り返した結果、去年7月に「国道兼用案」が採用された。

「当初は海岸に防潮堤が建設される予定でしたが、陸側に建設位置をずらして国道45号線と防潮堤を兼用させることになりました」(見直し派住民の三浦友幸氏)

●防潮堤見直しの発祥地・岩手県大槌町:アベ土建政治転換への期待

 防潮堤見直しの“発祥地”は岩手県大槌町赤浜地区。「赤浜地区の復興を考える会」会長の川口博美氏はこう話す。

「何回も住民総会を開いて『海が見えなくなる。防潮堤の高さを低くした方がいい』という声を集め、行政が決定した防潮堤高さを低くする見直しを勝ち取りました」

 川口氏のコンセプトは「津波に強い街づくりではなく、津波に強い人づくり」。防潮堤のハードに頼るのではなく、防災訓練などのソフトを重視するという考え方だ。そして、大槌町で芽生えた住民主導による防潮堤見直しの動きが他の三陸沿岸にも広がり、気仙沼市大谷海岸などで結実したといえるのだ。と同時に川口氏はアベ土建政治を批判する一方、小池都知事(小池新党)の国政進出も期待していた。

「被災地では必要性の乏しい巨大防潮堤や三陸自動車道(高速道路)など大型復興事業が集中した結果、資材・人手不足による工事費高騰や入札不調を招き、最も大切な生活関連事業が遅れてしまった。未だに仮設住宅暮らしの人が多いのはこのためです。防潮堤は先送りするなど復興事業に優先順位をつけると同時に、五輪関係事業を含め全国的な公共事業抑制が大切です。しかし『国土強靭化』『アベノミクス』を旗印にする安倍政権は、公共事業推進を改めようとしません。小池都知事に『国政にも進出して古い自民党政治を終わらせて欲しい』と期待するのはこのためです」(川口氏)

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