逮捕された講談社社員“『進撃の巨人』生みの親”報道は間違いじゃない! 報道を非難するネット世論の歪み

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〈また韓国人か……もううんざりだ。福島で仏像や石像を破壊して回ったのも韓国人だったし〉〈犯罪ミンジョクは日本から出て行け!〉〈残虐極まりない民族だな!日本から韓国人を排除せねばならない!〉〈講談社は超反日左翼出版社。内部に朝鮮人いたんだねー〉

 毎度、引用するのも躊躇われる連中の醜悪なヘイトスピーチには、心底辟易させられる。言うまでもなく、個人の出自をあげつらって差別し、民族という特定の属性をもつ人々全員に対し「日本から出て行け」「死ね」など扇動するは、ヘイトスピーチでありヘイトクライムに他ならない。というか、容疑者が韓国籍だからなんなのか。これまで、殺人の容疑がかけられた日本国籍の人間など数え切れないし、海外で検挙された日本人も山ほどいるが、ではネトウヨは「日本人は犯罪民族」とでも主張するのだろうか。ありえないだろう。

 しかし、それがどれだけ異常な差別意識の発露であっても、こういう犯罪と国籍を結びつける言辞が日本社会で蔓延している事実は無視できない。たとえば、作家の百田尚樹が、千葉大医学部の学生3名が集団強姦致傷容疑で逮捕された事件で氏名が未公表だったことについて、〈犯人の学生たちは大物政治家の息子か、警察幹部の息子か、などと言われているが、私は在日外国人たちではないかという気がする〉とツイート、なんの証拠もなしに“犯人は在日”と言いふらしたことは記憶に新しい。なお後の週刊誌報道で、容疑者のひとりが“法曹界の名家”出身者であることが報じられ、百田のツイートが実際に悪質なデマであることも確定している。

 いずれにせよ、愚昧なネトウヨ連中は、“叩きたいものだけを叩く”ために“見たいものだけを見る”。そうして恣意的に容疑者の属性の一部分を抜き出し、バッシングやヘイトに利用しているにすぎない。

 そして、繰り返すが「『進撃の巨人』の名前を出すな!マスコミは謝れ!」という“見たくないものは見せるな”という態度もまた、これとコインの裏と表の関係にあるように思える。

 しかも、問題なのは、こうした幼稚なネット世論が最近、個人のSNSにとどまらず、ニュースサイトや新聞、テレビにまで波及し、それが「正義」として現実を動かすようになってしまったことだ。これはかなり危険な傾向だと思うのだが、いかがだろうか。
(宮島みつや)

最終更新:2017.11.15 06:09

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