20代男性の「半分が交際経験なし」の調査結果…でも童貞の何が悪いのか? 歴史上の偉人にも童貞がいっぱい

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「性欲の乱費」が仕事の邪魔をする。性行為について彼はこのような考えをもっていたようだ。実際、性欲を捨てて仕事に没頭することにより、彼は今でも愛読される名作の数々を書き上げるわけだが、それらの作品は彼にとって、単なる創作物であるばかりでなく「子ども」の代わりでもあった。

〈童児こさえる代わりに書いたのだもや〉(前掲『童貞としての宮沢賢治』)

 宮沢賢治のように、性欲の発散よりも仕事を優先させることにより偉業を成し遂げた人物は他にもいる。ヨーロッパ初の重航空機による飛行家であり、「飛行機の父」として祖国ブラジルのみならず世界中で尊敬されているサントス・デュモンもそのひとり。

 大金持ちで、かつ、ファッションリーダーとしての側面もあったサントス・デュモンは、むしろ童貞的メンタリティーとは真逆の人間にも思える。しかし、そんなセレブな生活を送る彼は友人から「極端にはにかみ屋で、無口」と称されるほどのシャイな性格からか、意外にも親密な関係となる女性が生涯いなかったようだ。

 彼が生涯を童貞で過ごしたのはそのシャイな性格ばかりが理由ではない。彼には何よりも優先したい、愛しているものがあった。それは、仕事であり、飛行機である。本書では、彼の伝記からそのようなデュモンの人生観を示す一文を引用している。

〈美しく着飾った有名な高級娼婦たちが、夜にはレストランやカフェに姿を見せ、毎朝ブーローニュの森で子犬を散歩させていた……しかし、その裕福な若いブラジル人は、この種のことにはひとつも興味がなかった。パリに見に行くべき「新しいもの」とは、本人の言によれば「操縦できる気球と自動車」なのだった〉(『空飛ぶ男 サントス-デュモン』ナンシー・ウィンターズ著、忠平美幸訳/草思社)

 ちなみに、人類初の動力飛行に成功したことでおなじみのライト兄弟も生涯を独身で過ごし、また女性と付き合った過去も見受けられないことから、童貞のまま亡くなったのではないかと本書では推察されている。それにしても、「飛行機」に人生をかけた男たちが童貞だったというのは偶然なのだろうか。人が「空を飛ぶ」という夢はもしかしたら、恋愛やセックスなんかよりもはるかに人を夢中にさせるということなのかもしれない。

 もっとも、彼らのように夢や仕事を恋人としたため、結果的に童貞だった偉人もいれば、逆に、女性に振られた怒りを仕事にぶつけることで偉業を成し遂げてしまった人物もいる。中央アジア探検で大きな功績を残したスヴェン・ヘディンだ。

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