TOKIO長瀬とクドカンが「袋とじはもう開けない」「見てるのは城島だけ」…週刊誌の袋とじはなぜ読者に見放された?

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 そして、2000年代に入ると、袋とじブームはエスカレート。たんにページを閉じただけではないさまざまな袋とじ企画が次々と生まれた。

 例えば、「週刊現代」(講談社)02年11月16日号には「キッスができる 小池栄子と過ごす一日(匂い付き)」という袋とじが好評を博し、ほぼ完売の売れ行きを記録している。また、匂い付きといえば「FLASH」(光文社)も負けてはいない。03年3月11日号には、袋を開けるとグラビアアイドルのMEGUMIが愛用している石けんの匂いが香る、日本の印刷技術の粋を集めた特集が大きな話題を呼んだ。

 エロ系の企画にも創意工夫が溢れていた。「ヤングマガジン」(講談社)03年1月8日号は、AV女優の蒼井そらが股間に音符を当て、童謡「チューリップ」の楽譜を再現するというおバカ企画を掲載。また、「宝島」(宝島社)1999年1月6日号は、AV女優・瞳リョウの原寸大オッパイを掲載。型通り切り抜いてなにか柔らかいものに包めば、実際に瞳リョウのオッパイを揉んでいるような感覚を味わえる工作企画が載っていた。

 しかし、いまの袋とじに往時の勢いはない。前述したような仕掛けのある袋とじはなくなり、ただ、アリバイ的に、有名タレントのセミヌードやAV女優のヘアヌードが袋に閉じられているだけだ。

 それも当然だろう。実は、今、週刊誌が袋とじを続けているのは、かつてとはまったくちがう、かなり消極的な理由によるものだ。

 ひとつは、下降の一途をたどる売り上げをなんとか持ちこたえさせること。本稿冒頭にもあげた通り、週刊誌を襲う不況の波は絶望的だ。読者を立ち読みで終わらせず、なんとかレジまで向かわせたい。袋とじはそのための手段でもある。

 日本出版学会『白書出版業界2010』(文化通信社)によると、出版物の市場が最も大きかったのは96年。その年は2兆6563万円もの額を稼ぎだしていた。しかし、そこからは終わりの見えない出版不況に突入。袋とじ企画が週刊誌に定着したのが98年ごろということを考えると、出版界がどうして袋とじを採用したかの意図が見えるだろう。

 そしてもうひとつの理由が、2004年に施行された改正青少年健全育成条例である。現在、コンビニで成人マークが付いている本には必ずシールが貼られ、店頭で開くことができなくなっているが、それはこの条例を受けての自主規制だ。性的な写真や絵が20ページ以上、もしくは、本全体のページ総数の5分の1を占めている場合、シール貼りの対象となってしまう。袋とじにすればその条件に当てはまるのを回避できるので、ヌードは袋とじにする傾向がある。

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