激安風俗、熟女デリヘル、妊婦ホテヘル、地雷専門店…搾取される最底辺風俗女子を貧困から救うことは可能か?

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 そのため審査なしで融資してくれる会社に申し込んだが、そこは携帯電話などを大量に契約させられる「飛ばし携帯業者」だった。毎月携帯料金の請求でさらに困窮した信子さんは、ネットで見つけた法律事務所に解決費用5万4000円を支払うが、なぜかその後も携帯の請求は止まることはなく、そのため風俗に入店したという。

 こうした事情を聞いた弁護士は、いくつかの質問を信子さんにしていく。その過程で、債務整理では相談者と弁護士との直接対面相談が義務づけられているのに、信子さんの場合は電話とメールだけで済まされたこと、費用も銀行振込だったこと、ホームページは存在するものの、担当弁護士は在籍しておらず、電話番号も違うなどいくつもの疑惑が判明。詐欺まがいの法律相談だったためもう一度、借金を整理し直すことになった。

 1人では解決できなかったことが専門家の複合的な手を借りれば解決の道筋がつく。夫のDVで離婚調停中の女性には子どもの養育費など婚姻費用を請求できることを、息子の奨学金返済のため風俗勤務をしている統合失調症の女性には薬の量や種類、自己破産の選択肢をアドバイスする。彼女たちが抱える複合的な困難が全て解決するわけではないが、ある一定の成果はあったという。

「つまり、司法・医療・福祉といった各種制度やサービスに『つながっていない』ことではなく、それらと『どうつながっているか』が問題なのだ」
「ただ『生活保護を申請させて終わり』『自己破産させて終わり』にするのではなく、司法・医療・福祉の各制度やサービスを有機的に組み合わせて、それらが確実に本人の生活を改善できるように、長期的なスパンで支援していくことが必要になるだろう」

 風俗と福祉の連携――。確かに相談に躊躇し、その道筋さえわからない女性が相談におもむくのではなく、専門家たちが働く現場に訪ねていくことはひとつの方法だろう。しかし障害やコニュニケーション、そして置かれた状況によって風俗店にすら在籍することなく、個人商店的に出会い系サイトで身体を売って生計を立てているさらなる貧困女性も少なくない。また今回は民間だけで、肝心の行政との連携、存在はない。

 その抜本的解決には今後も様々な困難があり、それは現在の日本社会全体が抱えている問題でもある。だが、こうしたアプローチは“選択肢のひとつ”として興味深いアプローチでもある。

「風俗は、決して単独ではセーフティネットになり得ない。しかし、セーフティネットを編み上げるために必要な「命綱」の一本にはなり得る」

 貧困女性の最後のセーフティネットといわれる一方、実際には搾取の構造を内包していたり、貧困の入り口ともなりうる風俗。その風俗を、本当の意味で、困窮する女性の発見・援助装置の入り口に変える。こうした取り組みは、今後どのように実を結ぶだろうか。少しでも多くの女性を困難から救う手段となることを期待したい。
(林グンマ)

最終更新:2016.02.10 03:13

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