声優学校ではスキルよりコネを身につけろ!? 声優キャスティングの生々しすぎる実態を現役プロデューサーが暴露

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 そのために、大宮は「現場にいる人の顔と名前をすべて覚えれば、仕事をしていくなかできっと役立つはずです」とも語る。実は、あの山寺宏一もこれを実践していた一人。『声優魂』(星海社)で大塚明夫が語っているが、山寺は若い頃から現場のスタッフの名前を全部覚えていたという。

 いずれにせよ、声優として生き抜いていくには、とにかく覚えられること、「関係者の誰かに自分の顔を思い浮かべて」もらうことが第一。そして、その戦いはすでに養成所や専門学校時代から始まっているというのだ。大宮は声優専門学校や養成所に通わなくても声優になることは可能としながらも、「声優事務所に所属する前に技術を身につけたり、コネクションを築いたりする手段として、学校や養成所で学ぶのはとても有効な方法」と語る。

 ただ、「絶対プロの声優になる」と決めているなら、「同級生と仲良くする必要はありません」。周りから「付き合いが悪い」「こびを売っている」と言われても、「同級生よりも仲良くしなければならない人が周りにいる」という。それが、「学校であれば講師や担任の先生、養成所であれば講師や担当者(声優事務所のマネージャーを兼ねている場合が多い)」だ。

 実際に、東京アナウンス学院に通っていた寺島拓篤は、「VOICE Newtype No.057」(KADOKAWA)でこんなことを語っている。

「2年生のときナレーションの授業を教わっていた先生が、僕が最初に所属する事務所のマネージャーをやっていたんです。呼び出しを受けて「何怒られるんだろ」ってびくびくしていたら「うちに来なよ」って」

 彼以外にも、養成所時代に講師やマネージャーの目にとまり、デビューを果たした人はいる。もちろん、いくらコネがあっても、期待に応えられるだけのものを返せなければ、声優を続けていくことはできない。最近では、歌って踊れることが必須だったり、アニメと同時にラジオが始まったり、イベントが開催されることも多いので、トークやMCができなければならない場面も多い。『声優サバイバルガイド』でも、「声優は芸人ではないですが、トークの材料をメモするネタ帳のようなものを持つべきかもしれません」とまで書かれている。

 声優の幅が広がったことでできることも増えたが、その分、目指す側のモチベーションも多様化したし、求められるハードルは高くなった。しかし、声優だけで食べていける人の枠は決して増えていない。そして、この厳しい現状に直面しているのは、なにも新人に限ったことではない。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

声優サバイバルガイド 〜現役プロデューサーが語る“声優の戦い方"〜

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

声優学校ではスキルよりコネを身につけろ!? 声優キャスティングの生々しすぎる実態を現役プロデューサーが暴露のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。田口いなす裏側の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄