『NEWS23』岸井は放送法違反じゃない、『ミヤネ屋』宮根と日テレ青山の露骨な安倍応援こそ「知る権利」の妨害だ!

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 だが、これは本当に根拠のある数字なのか。試しに本サイトでもVTRをもっていたNHK『ニュースウオッチ9』で放送を再度確認、時間を計測してみたが、たとえば16日の放送で安保法制を報じた時間は12分54秒、そのなかで反対派意見(反対デモ参加者のインタビュー)はたったの22秒だった。これのどこが“偏っている”というのか。デモの規模と国民の大多数が国会での採決に反対していた事実を踏まえれば、むしろ少ないくらいだろう。

 同会は同調査について「発言者や場面ごとに賛否についての判断を行い、複数調査員により、複数回調査し平均を出しました」と説明しているが、前回の記事でも指摘したように、このデータを提供したのは、「視聴者の会」事務局長の小川榮太郎氏が代表をつとめる「一般社団法人日本平和学研究所」なる“身内”の団体で、一体、何を賛成意見・反対意見と分類したかはまったく不透明だ。彼らが割り出した秒数から察すると、反対コメントだけでなく、反対デモの様子や、この期間に行われた中央・地方公聴会における野党推薦人の口述までも反対にカウントしているのではないか、という疑問さえ浮かんでくる。
 
 しかも、この調査が作為的なのは、調査日が「9月14日〜18日」に設定されている点だ。ご存じの通り、この期間は安保法制が委員会および本会議で採決された週で、連日、大規模な反対デモが国会前で繰り広げられていた。あれだけの規模の市民デモが起これば、国会内の情勢と合わせて報道するのは当然の話である。

 逆に、あれだけのデモが起きているのに、それを無視して報道しなかったり、あるいは100人規模の安保法制賛成デモを同じ扱いにしていたとすれば(実際NHKのようにそうしていた番組もあったが)、それはもはや、反政府デモや政府批判を一切伏せて報道している中国国営テレビとなんら変わることはない。「視聴者の会」は日本を中国並みの情報統制国家にしたいのだろうか。

 さらに、同会がクローズアップする岸井氏の「メディアとしても廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」という発言についても、取り上げ方が非常に恣意的だ。「視聴者の会」は、岸井氏があたかも党派的に法案に反対で、メディア業界に廃案運動を呼びかけたように解説しているが、これは意図的に発言の文脈を無視したものだ。

 安保法制は、その法案内容への賛否以前に立法上の手続きが問題になっていた。11の法案をひとまとめにして審議・採決しようとする前代未聞の乱暴な国会運営、安倍首相はじめとする政権側の二転三転する答弁、新3要件のあやふやな基準。首相の側近から飛び出した「法的安定性は関係ない」という問題発言。そして、与党が国会に招致した長谷部恭男教授をはじめとする大多数の憲法学者による「安保法制は憲法違反」とする声──。こうした状況の中で、安保法案は強行採決された。

 岸井氏はこうした憲法や民主的手続を無視する行為に対して、批判の声をあげ、廃案にして一から議論をし直すことをメディアの立場から主張したにすぎない。

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