話題沸騰! 芸術と評価されている「春画」はやっぱり当時のAV、エロマンガだった? こんなエグい作品も

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「死んだ母の躯の胴巻きから、汗でぐっしょり濡れた4枚の春画が出てきました。嫁いだ日から胴巻きの中にずっと仕舞われていたのでしょうか」

 横尾忠則の証言は、かつて日本人にとって、春画はそれだけ親しみ深いものであったということの証左なのであろう。

 また、春画には「笑い」の要素も大事だった。春画は「笑い絵」などと呼ばれることもある。その笑いのもっともたる例が「パロディ」の多用だ。忠臣蔵や千本桜のような歌舞伎から、伊勢物語などの古典、当時のベストセラー本まで、ありとあらゆるものがパロディのネタにされる。とくに、月岡雪鼎は、そういった作風を得意とした作家であった。

〈雪鼎が手がけた春画本はパロディものが多く、『女大帝楽宝開』(宝暦5〈1755〉年頃)は、良妻賢母を目指す女性の心得を書いた、『女大帝宝箱』(享保元〈1716〉年)が元本となっています。他にも『艶道日夜女宝記』(刊行年不明。明和年間)は、按摩、漢方、鍼灸等、東洋医学全般の治療法を示した当時の健康本『医道日用重宝記』(本郷正豊著 元禄5〈1692〉年)のパロディ(中略)
 雪鼎の手にかかると、全てが性生活の手引書となってしまいます。人生に於いて性生活がいかに大切か、どうすれば異性の気を引けるか、閨房術や性具の使い方など、どれもとんちが効いていて、大変ユニークな作品です。元本と比べて読むと面白さが倍増します〉(『春画入門』より)

 まるで、『世界の射精から』『それいけ! パイパンマン』『マゾの宅急便』など、流行ものに乗っかって次々と秀逸なパロディ作品を生み出してユーザーを笑わせてきた現代のAV業界のようだ。もしくは、パロディに面白さを見出す方向性は、現在の二次創作文化の源流ともいえるかもしれない。

 また、現代のエロ文化と春画に共通性を見出せる点は他にもある。最近のエロマンガは、ボーイズラブの隆盛をはじめ、“男の娘”などのトランスジェンダー、果ては“触覚と人間”など人ではない生物(地球上に存在しない生物含む)との交わりなど、あらゆるマッチングで作品が描かれているが、それらは春画でもすでに描かれている。

 歌川國貞『春色恋の手料理』での男と男の交わりをはじめ、歌川豊國『絵本開中鏡』では骸骨と人間、喜多川歌麿『歌満くら』では河童と人間、そして有名な葛飾北斎『喜能会之故真通』では大ダコと人間、もうこれ以上のマッチングはどうやっても思いつかないのではというほど。我々日本人の考えることは江戸時代から変わらないということなのだろうか……?

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