村上春樹の新刊を紀伊国屋が9割買い占め…背景には「再販制度」破壊に動いたアマゾンとの戦争が

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 ご存知の方も多いとは思うが、出版物には文化保持の観点から、「再販売価格維持制度(再販制度)」というルールが設けられており、書籍は、出版社が個々に決めた定価で販売されるもので、書店もそれに準拠した価格で販売するよう決められている。家電などのように、小売店が販売価格を調整していいものではなく、書籍は全国一律、どこで買っても同じ値段で売り買いされるものなのだ。

「時限再販」とは、出版後一定期間を過ぎた書籍を定価以外の価格で販売できるというもので、アマゾンのこの2割引施策は再販制度の枠組みを揺るがすとして、大きな騒ぎになった。

 ただ、その報道はアマゾン側の勇み足であった。この発表の直後、主婦の友社は、6月26日の日本経済新聞の報道について、アマゾン側と時限再販契約など結んでいないとして、アマゾンと日経新聞に対し「猛烈に抗議」との声明を出したのである。

「抗議受けた翌日、日経は訂正記事を掲載するのですが、この記事はアマゾンからのリークだったといわれています。もとより日本の再販制度を邪魔に思っているアマゾンが、「時限再販」「契約」などという強い言葉を“盛る”ことで、あえて再販制度崩壊への第一歩としてアピールしたい狙いがあったのでしょう」(出版流通関係者)

 それにしても「猛烈に抗議」とはなかなかお目にかからない強い表現だ。主婦の友社がここまで強い抗議を出したのは、この「定価2割引き」の件が、定価での販売を続けている一般の書店との軋轢を引き起こしたからであった。

「日経新聞の報道は主婦の友社にとっても寝耳に水だったらしい。ニュースが報じられた直後からリアル書店から『どうなってるんだ!』と問い合わせの電話が殺到し、これはヤバいとあわてて否定コメントを発表したそうです」(出版関係者)

 そのなかでも、とくに怒っていたのが、今回の買い占めを行なった紀伊国屋書店だったという。

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