北茨城市で3人の子どもに甲状腺がんの診断、千人に1人の有病率! それでも子どもの健康調査を拒む安倍政権の棄民政策

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 しかし、この答弁は明らかにおかしい。そもそも「有識者会議が近隣県の調査は必要ないと取りまとめた」というのは事実ではない。その環境省の“有識者会議”が出した去年12月の中間とりまとめには、福島近隣県については「偽陽性等に伴う様々な問題を生じ得ることから、施策として一律に実施するということについては慎重になるべきとの意見が多かった」との記載もあるが「事故初期の被ばく線量が明らかではない状況は福島県内と同じであるから、福島県内と同様、子どもに対する甲状腺検査等を福島近隣県でも行政が実施すべきである」との意見の記載もある。

 また、福島の調査で「偽陽性」の事例が出たというが、5月に出された福島での中間とりまとめをもう一度見てみる。甲状腺がんの「悪性ないし悪性疑い」と判定されたのは112人。そのうち確定診断が出たのは手術を受けた99人。その内、良性結節、つまり悪性ではなかったのは1人だけである。

 明らかに政府は、福島の子どもの健康被害を矮小化し、近隣県の調査をやらずにすますためのごまかし答弁を行っているのだ。

 しかし、望月大臣が棄民的姿勢を明らかにした翌日の25日。冒頭の北茨城市のデータが公開されたのだ。公表文は以下のようなものだ。

〈北茨城市では、平成25・26年度の2年間で「甲状腺超音波検査事業」を実施いたしました。(事業費:37,173千円) 対象者は、福島第一原子力発電所の事故当時、0歳から18歳までの市民であり、平成25年度は、そのうち0歳から4歳までのお子さんを対象に検査を実施、 平成26年度は、それ以降のお子さん達の検査を実施いたしました。 今回、その検査結果について、専門家や医師を含む委員で構成された「北茨城市甲状腺超音波検査事業検討協議会」より、 ① 検査は「スクリーニング検査」であり、通常の健康診断と同様、一定の頻度で「要精密検査」、「がん」と診断される方がいらっしゃること ② 平成26年度の精密検査の結果、3名が甲状腺がんと診断されたこと ③ この甲状腺がんの原因については、放射線の影響は考えにくいこと などの報告がありました〉

〈平成26年度の精密検査の結果、3名が甲状腺がんと診断された〉とさらっと書かれ、しかも福島での検討委員会と同じように、放射線の影響は考えにくいとわざわざ注釈をつけているが、これは、とんでもないものだった。

 なぜなら、北茨城市の平成26年度調査の受診者は3593人だからだ。そのうちの3人ということは単純計算で1197人に1人という有病率。福島の5月中間とりまとめの3000人に1人よりも2.5倍の数字だ。

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