楽屋を仕切るボスは誰? NHKが教えてくれない紅白歌合戦の裏事情

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 もちろん、だからといってギャラがいいわけでもない。その証拠として、本書の著者は淡谷のり子か菊池章子が言った言葉として「日本薄謝協会だからNHKなのよ!」という名言(?)を紹介している。楽屋は大部屋、弁当も出ず、ギャラも安い……それでも許されるのが、天下の紅白というものなのだろう。

 また、紅白の終了後は、テレビ番組やライブなどの掛け持ちがない人は、NHKアナウンサーが司会の軽い打ち上げを食堂で行う。ここでも和田アキ子はサービス精神を発揮して〈必ず新しい干支のアクセサリー〉を身につけてパーティーに参加する。たとえば、昨年、紅白の舞台上で卒業宣言を行い顰蹙を買ったAKB・大島優子は、新年のワイドショーで放送された紅白打ち上げ後の映像で馬のかぶり物をしていたが、これも和田が用意していたもの。どうやら大島は番組終了直後に和田の元へ行き、紅白の舞台で卒業発表したことの詫びを入れたらしい。馬のかぶり物をもらった大島は「午年だからうまくやります!」と言っていたと和田はラジオで明かしていたが、打ち上げは大御所のご機嫌をとる重要な場でもあるようだ。

 ──こうして見ると、まるで“和田アキ子が大はしゃぎするための宴”という気さえしてくる紅白の舞台裏。だいたい紅白が“日本の国民行事”と呼ばれたのは獲得視聴率が80%時代の話であって、いまでは『半沢直樹』最終回くらいの数字でしかない。さらに、音楽の聴き方・かかわり方が多様化したことで紅白の存在意義はますますわからなくなっていく一方だ。

 それでも、2012年の美輪明宏「ヨイトマケの唄」のような圧倒的パフォーマンスがあれば、紅白にだってまだ大きな話題をつくり出すことはできる。果たして、このSNS時代をうまく活かした“サプライズ”をNHKは生み出せるのだろうか……。

 ちなみに今年、演歌の大御所から若手までが「ようかい体操第一」を踊ることは目に見えているので、好事家は要チェック&「寒いのがつらい」人は視聴を避けることをあらかじめオススメしておきたい。
(サニーうどん)

最終更新:2014.12.30 12:54

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