池上さん今回も無双! 安倍首相におじいちゃんコンプレックスを直撃

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 もちろん、こうした池上節は安倍首相にも向けられた。まず、低い投票率のなかでの圧勝は“自慢できるものではない”としながら、

「総理大臣になった以上、一度は解散総選挙をしたいものだとみなさん思っているとよく言われます。おじいさまの岸総理大臣も解散総選挙を成し遂げました。やはり、一度は解散総選挙を自分の手で、という思いをお持ちだったのでしょうか?」

 と、解散の理由はもしや安倍首相の“おじいちゃんコンプレックス”だったのでは?と質問。集団的自衛権をめぐる憲法解釈の問題についても、安倍首相が“私の考え方に反対するのであれば次の選挙で政権を変えてくれればいいじゃないか”と言ったことを挙げ、「そのわりには今回の選挙でアベノミクスのことはずいぶんお訴えになったんですけど、集団的自衛権の憲法解釈、こういうことをあまりおっしゃっていなかったと思うんですけど」と投げかけた。すると、安倍首相の返答は「そんなことありません」。このとき、安倍首相は笑いつつも明らかにムッとしたようすだった。ちなみに「安倍政権いつまで続いてほしいか」という番組アンケートの結果は「すぐに終わってほしい」がダントツのトップ。番組の最後、池上氏が訴えたのは"この低い投票率で安倍政権が信任されたと言えるのか"ということだった。

 またしても“池上無双”──このような白熱したネット上の人気に対し、しかし当の池上氏はいたって平静。著書『聞かないマスコミ 答えない政治家』(ホーム社)では、〈党首や候補者への私のインタビューは、ジャーナリストとして当然のことをしたまでで、これに関する高い評価は面映ゆいものがあります〉と打ち明けている。これくらいのことは、アメリカの政治番組では当たり前だからだ。

 もちろん、他局のキャスターと政治家の“馴れ合い中継”に対しても、不信感をあらわにする。

〈「当選おめでとうございます。いまのお気持ちは?」
 これではスポーツ選手に対するヒーローインタビューと同じではありませんか。このレベルの質問をしていては、政治家の答えも容易に予想できます。(中略)日本の選挙特番では、政治ジャーナリストがキャスターを務めることはめったにありません。政治取材の経験がないアナウンサーやお笑いタレントがメインのキャスターを務めることが多いのは、不思議なことです。政治のことを深く知らない出演者に、「いい質問」ができるのでしょうか〉

 そもそも、“池上無双”のスタートは、2012年12月の総選挙にさかのぼる。選挙特番として池上氏をメインキャスターに抜擢した『総選挙ライブ』は、放送後に再放送とDVD化を求める視聴者の声が殺到。選挙特番としては異例の「第50回ギャラクシー賞」優秀賞まで受賞した。

 その理由は、わかりやすい番組構成・解説、そして前述したような政治家への歯に衣着せぬ鋭いツッコミにある。たとえば前回の総選挙時の放送では、石原慎太郎氏の諸外国に対する差別的な発言に対して「そんなこと言うから暴走老人と言われるんですよ」と切り返し、中継相手が池上氏だと知るや否や石原氏が態度を急変させると、「石原さん、相手によって態度を変えるようですね」。“ブラック池上”の面目躍如である。

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