『ハイスコアガール』問題に怯むな! 勇気あるギリギリのパロディマンガ登場

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 ほかにも、片岡が『GANTZ』(奥浩哉/集英社)に登場する“ガンツスーツ”っぽい服を着たり、『シグルイ』(原作・南條範夫、作画・山口貴由/秋田書店)に出てくる必殺技“無明逆流れ”そのまんまの技を披露したり(絵柄もシグルイに似せるという徹底ぶり)、作者の自画像が鳥山明の自画像そっくりだったりと、もう呆れるくらいやりたい放題している。

 なんだかもう逆に心配になってきた。本当にこれ、大丈夫なのだろうか? トラブってないだろうか。そこで真相を探るべく、出版元の双葉社に直撃取材を決行することにした。休暇をエンジョイしていた担当者を強引に呼び出してもらい、話を伺ってみると……やはり「バレたら怖いですけど、大丈夫です」とのこと。しかし、続けて「悪くは描かないようにしていたので、パロディとして許してほしいなー、なんて思っています」と朗らかに語った。軽いよ! なにこれ、社風? 編集方針? と思ってしまうくらいの軽さである。しかも宮本武蔵の回は「作者はがんばって寄せて描いたんですよ〜」と言ってしまう始末。軽いし、がんばる方向が間違っているしで、もうなにを言ったらいいのやら……。と、頭を軽く抱えていると、担当者から衝撃の言葉が発せられた。「じつはあまりにもヤバすぎて、単行本での掲載を見送った、いわゆる“封印した”回もありまして……」とのこと。なに! それは捨て置けぬ! いったいどんな内容かを伺ってみることにした。「寄生獣のパロディなんですけど、敵の股間から“ミギー”ならぬ“マギー”が生えてまして、それを片岡がバサッとやるという……」もういい! 心配して損したわ!

 とまあ、思わずあきれ果ててしまうものの、それでも笑いがこみあげてきてしまうのは作者の腕が良いからなのだろう。また、上記の“あからさま”なパロディだけではなく、作中には『AKIRA』(大友克洋/講談社)や『BARレモン・ハート』(古谷三敏/双葉社)などのオマージュが散りばめられているので、そういったネタを見つけるのも楽しみのひとつだ。

 パロディギャグマンガ界に新風を吹かせる『名勝負数え唄』。ギリギリを楽しみたいのなら、ぜひ一読してみてほしい。まあ、これくらいのことは許されないと、マンガ文化はダメになってしまいますよ、マジな話。
(オンダヒロ)

最終更新:2018.10.18 04:47

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