町山智浩がシャマラン監督最新作のネタバレをしたと炎上…ネタバレを過剰に責める風潮は「批評の自由」を奪う!

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ネタバレ警察は映画評論の場を奪う、町山智浩の主張は正しい

 これに対し町山氏は激怒。反論のツイートを書き込んだ。

〈いつも映画の最初の30分くらいの展開以上の話はしないのにネタバレネタバレうるさくて映画については俳優のゴシップとかどうでもいいこと以外にもう何も言えない。〉
〈料理の食材や調理法、隠し味、つまりネタを解くように映画を分析するのが映画評論家の仕事なのでネタバレ警察ははっきり言って営業妨害だから戦うしかないんだよ〉

 町山氏の映画評論のスタイルは、映画の背景を噛み砕いて説明し、重層的な物語を理解しやすくするものだ。

 たとえば、映画の舞台となっている時代背景や当時の社会風俗を説明したり、その映画のなかに過去の映画や文学から引用されているシーンがあればそのオマージュのネタ明かしをしたり、作中で使われている音楽を解説してその歌詞と物語の共通点を指摘したりすることで、ただ漫然と映画を見ているだけでは絶対にわからなかった、映画に隠された裏の意味が理解できるようにしている。

 それは映画評論として至極まっとうな姿であり、そのためには必然的に映画の中身に触れる必要がある。しかし、もしそれが許されないのであれば、映画評論はおろか、映画紹介すら不可能になってしまう。映画製作者が作品にまぶした裏の意味をプロの目で解説することはできなくなり、町山氏が言う通り、映画評論家や映画ライターは出演する俳優のゴシップネタを伝えるだけの職業になってしまうだろう。それは、映画界にとっても、映画ファンにとっても不利益でしかない。

 それに、そもそも、「ネタバレ」というものはそこまで忌避されるべきことなのだろうか? 話のオチがわかっていても面白い作品は面白いし、むしろ、「結末に向けての道程」を楽しむものこそ「物語を味わう」ということなのではないだろうか? 一連のツイートのなかで町山氏は、こんな皮肉をつぶやいている。

〈「『荒野の用心棒』は最後に宿敵と決闘しますが…」「ネタバレだ! 結末を明かされた!」〉
〈「クリスティの『オリエント急行殺人事件』は意外な犯人が……」「ネタバレだ! 意外な犯人というだけで察しがついてしまう!」〉

 また、行き過ぎたネタバレ恐怖は、別の問題も引き起こす。ネタバレを避けようとするがあまり、物語をねじ曲げたかたちでプロモーションすることにより、あたかも結末や謎にしか価値がないかのように誤読されるという憂き目にあう作品もあるのだ。

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