医師免許がないからと“彫師”を片っ端から逮捕…タトゥー迫害の裏にある行政の認識不足と不当な偏見

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
irezumi_160609_top.jpg
宮下規久朗『刺青とヌードの美術史 江戸から近代へ』(日本放送出版協会)

 日本からタトゥーを彫る、「彫師」がひとりもいなくなってしまうかもしれない──刺青を彫る行為は医業であるとし、医師免許を持たない彫師の摘発が相次いでいる問題について、議論を呼びかける声が本格化している。

 先月には、「一般社団法人セーブタトゥーイング」が主催して大阪でシンポジウムが開かれた。このイベントには、彫師の岸雅裕氏や、刺青問題に取り組んでいる民進党の初鹿明博衆議院議員なども登壇し、タトゥーを取り巻く問題点についてディスカッションが行われた。

 このように現在、タトゥーを彫る人・タトゥーを愛する人双方で真剣に問題に向き合う機運が生まれているわけだが、では、まず、なぜいま刺青が問題になっているのかについて簡単に振り返ってみたい。

 騒動は、昨年8月に大阪の「チョップスティックタトゥー」、同年11月に名古屋の「エイトボールタトゥースタジオ」の彫師が、医師法違反容疑で相次いで逮捕されたことから始まった。

 逮捕となった根拠は、医師法第17条「医師でなければ医業をなしてはならない」に対して2001年に出された厚労省通達に「針先に色素を付けながら皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為」を医師法の適用範囲に含むと書かれていることにあるのだが、このような通達が出来上がった過程には明らかに行政による刺青に対する認識不足がある。

 逮捕の根拠となった通達はもともとタトゥーではなく、アートメイクの分野で健康被害が起こっていたことから設けられたものだった。なので00年に出された通達ではアートメイクのみを対象とするものであったのだが、それが翌年の通達でなし崩しにタトゥー全般にも適用できるような文になってしまったのである。5月2日放送「BAZOOKA!!!」(BSスカパー!)に出演した彫師の岸雅裕氏は、その経緯をこのように語っている。

「この通達はもともと、美容メイク、アートメイクの方でアイラインを入れたりとか、眉毛にタトゥーを入れた時に、目元っていうのはすごく難しいんですね。で、アートメイクの機械っていうのは、ほとんどタトゥーマシーンをちょっと簡単に、軽くしたもので、機能というか構造は変わんないんですよ。で、それで健康被害が出て、センターに苦情が出て、それで通達のなかで最初は「アートメイクの機械を用いて針先に色素を付けて皮膚下に入れてはいけない」っていう通達だったんです。アートメイクに限った通達だったんですね。その通達が出た翌年に「アートメイクの機械を用いて」という言葉が除かれて、広くタトゥーにも応用できるようなかたちになってしまった」

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

刺青とヌードの美術史―江戸から近代へ (NHKブックス)

新着芸能・エンタメスキャンダルマンガ・アニメビジネス社会カルチャーくらし教養

医師免許がないからと“彫師”を片っ端から逮捕…タトゥー迫害の裏にある行政の認識不足と不当な偏見のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。井川健二の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 青山繁晴が閉会中審査でデマ質問!
2 安倍が秘書官と今治市の面会を隠ぺい
3 相模原事件から1年、事件の背景を問う
4 安倍は加計の新学部を自ら発案していた
5 青山繁晴が前川氏に論破されてボロボロ
6 自衛隊日報隠ぺいに安倍と官邸も関与か
7 横浜市長選で問われる第二の家計問題
8 葵つかさが「松潤とは終わった」と
9 ネトウヨ絶賛の加戸前知事証言はインチキ
10 神社本庁の不動産取引と「皇室」疑惑
11 安倍首相が閉会中審査でも大ウソ!
12 恵俊彰が田崎史郎を「政権の代弁者」と
13 葵つかさが引退宣言?松潤のせい?
14 自民党ネトサポが「植松容疑者は正論」
15 青山繁晴が森友問題で晒した嘘と醜態!
16 ネトウヨの泉放送制作デマを検証する!
17 青山繁晴が教祖化、伝説とアート
18 山本地方創生相の加計問題デタラメ発言
19 ネトサポの親玉が愛人に告発された
20 稲田がまた…安倍のともちんラブを検証
PR
PR 飲むだけで白髪改善と髪のボリュームを取り戻せる!?
1自民党HIPHOPポスターに怒りの声
2安倍は加計の新学部を自ら発案していた
3室井佑月と小林節が「まずは民進党を…」
4横浜市長選で問われる第二の家計問題
5安倍首相が閉会中審査でも大ウソ!
6青山繁晴が教祖化、伝説とアート
7室井佑月と小林節が安倍改憲案を批判
8日野原重明氏安倍の改憲に反対を表明
9山本地方創生相の加計問題デタラメ発言
10安倍が秘書官と今治市の面会を隠ぺい
11自衛隊日報隠ぺいに安倍と官邸も関与か
12坂本龍一、内田樹、久米宏が改憲批判
13ネトウヨ絶賛の加戸前知事証言はインチキ
14松本人志「安倍擁護じゃない」どの口が
15稲田のウソは日報隠蔽だけじゃない!
16『4時ですよーだ』Pが松本の変節批判
17安倍首相の体調悪化は本当なのか?
18松尾と鴻上が芸能人と政治的発言に意見
19有田芳生が蓮舫戸籍公開問題に緊急寄稿
20菅官房長官が領収書公開隠蔽を指示
PR
PR 飲むだけで女性のカラダの悩みを解消!?

人気連載

アベを倒したい!

室井佑月

室井佑月が斎藤貴男と「共謀罪」を徹底批判!「安倍政権に逆らう人が片っ端から逮捕される」

アベを倒したい!

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄

"体育会系相田みつを"松岡修造は本当に「ブレない男」なのか? 年を追うごとに変わっていく修造語録を読み解く

「売れてる本」の取扱説明書

ネット右翼の15年

野間易通

高市早苗はいかにして"ネオナチ"と出会ったか

ネット右翼の15年

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

戦争を放棄せよ! 軍事力がなくても侵略と闘う方法はある、自由のために闘える!

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」