平安時代ならベッキーも矢口も喜多嶋舞も叩かれなかった!? 春画で話題の江戸時代より平安のエロのほうが過激

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
hontouhaero_01_160123.jpg
『本当はエロかった昔の日本 古典文学で知る性愛あふれる日本人』(新潮社)

 昨年は、20万人以上の来場者を記録した永青文庫『春画展』をきっかけに、突如「春画ブーム」が巻き起こった年であった。各メディアでも「春画」を扱った特集が続々と組まれ話題を集めた。そういった状況下、「春画」を掲載したことが「家庭に持って帰れる雑誌」という雑誌コンセプトを逸脱したとして、「週刊文春」(文藝春秋)の新谷学編集長が上層部から3カ月の休養を言い渡された騒動が起きたことも記憶に新しい。2月からは京都の細見美術館で『春画展』が開かれる予定。これまで見るチャンスのなかった関西の人々の目に触れることで、今年も「春画」再評価のトレンドは続いていくことだろう。

 そのように、「江戸時代の人々が醸成したエロティシズム」にスポットライトの当たる昨今だが、古典文学を題材にしたエッセイを多く著し、ちくま文庫から『源氏物語』の現代語訳も出版している古典エッセイストの大塚ひかり氏は、新著『本当はエロかった昔の日本 古典文学で知る性愛あふれる日本人』(新潮社)のなかで、江戸時代のエロ文化をこう評価している。

〈平安古典を読み慣れた目で江戸時代の古典文学を読むと、エロはエロでも、私に言わせれば「嫌なエロ」になっている。
 たとえば井原西鶴(1642〜1693)の『好色一代男』(1682)などは、主人公の世之介が何人とヤッたかという数やシチュエーションの多様さを誇っているだけに見える〉

「嫌なエロ」は『好色一代男』だけではない。弥次さん喜多さんでおなじみの『東海道中膝栗毛』では、「女の小便の音に興奮した馬方が彼女をレイプ。騒ぐ声を抑えるために餅を口にねじこんだら彼女が『最つとくれろ』と言ったので、さらに餅を口に押し込もうとしたら、今度は間違えて馬糞を口に突っ込んでしまった」。こんな筋のエピソードが「笑える話」として人々に受け入れられていた。「春画には女性蔑視の考えはない」と言われ、前述の『春画展』にもたくさんの女性が来場していたのだが「女性蔑視の考えはない」なんてとんでもない。江戸文化におけるエロティシズムは「ミソジニー」や「セクハラ」に満ちていたのである。

 一方、それと真逆の価値観をもっていたのが平安時代である。本当の意味で日本が「性」に関する芳醇な文化を誇っていたのは、江戸の庶民文化ではなく、平安時代に花開いた宮廷文学なのだ。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

本当はエロかった昔の日本 古典文学で知る性愛あふれる日本人

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

平安時代ならベッキーも矢口も喜多嶋舞も叩かれなかった!? 春画で話題の江戸時代より平安のエロのほうが過激のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。文学田中 教の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄