安倍首相肝いり「布マスク2枚」の予算は報道の2倍「466億円」! 一方、30万円給付や中小企業支援は申請方法や窓口も未定

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首相官邸HPより


 エイプリルフールの4月1日、安倍首相が突如ぶち上げた「アベノマスク」をめぐって、驚きの情報が出てきた。すべての世帯に1住所あたり2枚ずつ布マスクを配布するという「アベノマスク」に、なんと、政府は466億円もかけるというのである。

 2日におこなわれた会見で菅義偉官房長官は、配布する布マスクについて「1枚200円程度」と述べていた。安倍首相は「全国で5000万枚余りの世帯すべてを対象」と語っていたことから、布マスク代だけで5000世帯×2枚400円で約200億円かかると見られていた。

 だが、問題は配送などにかかる経費。菅官房長官は会見で「総額200億円程度を見込んでいるのか。配送料はどう考えているのか」と問われた際も、「いまわかっているのは1枚200円程度ということだ」と配送料などの経費については答えようとしなかった。

 ところが、昨晩、立憲民主党の大串博志衆院議員がこんなツイートをおこない、衝撃の事実が判明したのだ。

〈昨日政府が決定した、新型コロナウイルスへの緊急経済対策の詳しい部分が今日次第に分かってきました。安倍総理肝いりの5000万世帯への「布マスク2枚支給」、報道では200億円かかると言われていましたが、よくよく確認すると、その2倍以上の466億円‼︎ ますます本当にこれでいいのかと思います。〉

 さらに、時事通信も本日午後、〈政府が7日に閣議決定した2020年度補正予算案では、布マスクを全世帯に2枚配布するためにかかる経費を233億円計上した。20年度当初予算の予備費からもマスク配布に233億円を充てると決定。合わせて466億円かかる計算だ〉と報道した。

 ようするに、安倍政権は「アベノマスク」に、布マスク代の約200億円にくわえ、布マスク代と同等、あるいは200億円を上回る経費を注ぎ込んで、総額466億円も投じるというのである。はっきり言って、正気の沙汰ではない。

 本サイトの既報のとおり、この「布マスク2枚配布」には安倍応援団から擁護の声も出ているが、4・5日におこなわれたJNN世論調査では75%が「布マスク2枚配布」を「評価しない」と回答しているとおり、圧倒的に不評を買っている。しかも、これに466億円も投じるとは、完全に金の無駄遣いだ。

 実際、布マスクに感染防止効果がほとんどないというのは自明の話だ。朝日新聞デジタル2日付の記事では、九州大学大学院の矢原徹一教授が、繊維の隙間が大きく飛沫感染を防ぐ効果が小さい、洗って繰り返し使うのがかえって不衛生になる可能性があるなどの理由を挙げ、「国は布マスクの配布に加え、子どもたちのために自作するよう要請しているが、適切ではない」と指摘。日本医師会の横倉義武会長も3日、安倍首相と会談した直後、布マスクについて記者団に聞かれ、「ウイルス防止の役割はあまりない」と断言していた。

 国民からも批判が続出、効果に疑問符まで出ているのに、撤回することもなく466億円もの巨額を計上する──。そもそも、感染拡大真っ只中のいま、ほんとうに国民が必要としているのは、素早い生活支援や休業補償だ。これらは国民の生活を守るだけではなく、経済活動のために外に出なくてもよくするという最大の感染防止策でもある。だが、安倍首相は休業補償を「現実的ではない」「バランスに欠く」などと意味不明ないちゃもんをつけて拒絶しつづけ、そういう部分にこそ投入すべき税金を、布マスクに注ぎ込むというのである。

国民を支援する財政支出=“真水”は菅官房長官が発表した金額の「3分の1」の報道

 しかも、今回の緊急経済対策を、安倍首相は「GDPの2割に当たる事業規模108兆円、世界的にも最大級の経済対策」などと言っているが、本サイトでは繰り返し指摘しているように、108兆円にはたんに支払うのを延期してもいいというだけの納税や社会保険料の支払い猶予分の26兆円、さらに新型コロナとはまったく関係なく昨年末に策定した経済対策まで含めている始末で、「世界的にも最大級」とは言い難いハリボテだ。

 その上、直接の財政支出する、いわゆる“真水”について、菅官房長官は「確たる定義はない」とした上で「39兆円」と述べていたが、ゴールドマン・サックス証券は〈GDPに直接計上される「真水」の部分は計14兆円程度と見積もっている〉というのである(ブルームバーグ8日付)。

 この期に及んで水増しした108兆円という数字で国民の目を欺こうとする安倍政権──。さらに、“緊急経済対策の目玉”だという現金給付についても、大串議員はこう言及している。

〈新型コロナウイルス緊急経済対策の中の中小小規模・個人事業者への最大200、100万円支給、収入減世帯への30万円支給については、役所からヒアリングしましたが、どのような書類をもって申請すれば良いのか、という肝心なところが詰まっていない。5月には支給(安倍総理)とはかなり難しいのでは。〉
〈特に、中小小規模・個人事業者への200、100万円支給については申請窓口さえ、「これから検討」と。かなり生煮え感があります。〉

 すでに「どうやって暮らしていけばいいのか先が見えない」と窮状を訴える声があがりはじめているのに、申請の手続きや窓口さえいまだ決まっていない状況……。安倍首相は7日の会見で「スピードを重視した」と言い、一律に現金給付するより早く給付できると豪語したが、これでは破産や困窮によって首をくくる人が出てくるような最悪の事態になるのではないか。

 布マスクを2枚配布する「アベノマスク」に466億円をかける一方で、多くの国民を切り捨てようとする安倍政権。布マスク配布を「ポピュリズムだ」と批判する声もあるが、はっきり言って、安倍首相は大衆や世論に迎合しようとさえしていない。国民は徹底的に見下され、バカにされ、見捨てられようとしているのだ。

 SNS上では、いつもの糸井重里だけではなく、スガシカオなどの著名人からも「誰かを責めるな」「いまは批判や怒りではなく一致団結しよう」などという声があがっているが、そうやって批判の声を抑え込んでいれば、早晩、多くの国民はこの国の棄民政策によって見殺しにされてしまう。「布マスクに466億円」という愚策にも、休業補償の拒絶にも、黙っていてはいけない。声をあげるべきは、いまだ。

最終更新:2020.04.09 07:24

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