「桜を見る会」に”仮想通貨マルチ”の「48」代表らが…前夜祭や昭恵夫人のパーティにも参加、安倍首相との写真を勧誘に利用

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「桜を見る会」(2016年)首相官邸HPより


「桜を見る会」をめぐって、さらなるヤバい疑惑が飛び出した。「桜を見る会」の招待者問題では、悪徳マルチ商法のジャパンライフ・山口隆祥会長が「首相枠」で招待され、その招待状が勧誘に利用されていたことがわかっているが、それと同じように、消費者庁から業務停止命令を受け、現在も各地で損害賠償請求訴訟が起こっているマルチ商法の会社役員が、安倍晋三後援会主催の「前夜祭」で撮影された安倍首相と昭恵氏との写真や「桜を見る会」で撮った菅義偉官房長官とのツーショット写真を勧誘に使用していたことを本日の東京新聞が報じたのだ。

 じつは、この問題は本サイトでも昨年11月にお伝えしていたのだが、あらためて整理すると、マルチ商法を展開していたというのは、48(よつば)ホールディングスという会社で、2015年12月から独自の仮想通貨「クローバーコイン」の販売を開始。「購入すれば1カ月半後には10 倍に値上がりする」「3カ月で128倍の価値になる」などと謳って連鎖販売取引(マルチ商法)をおこなっていた。

 そして、この48ホールディングスの淡路明人社長と取締役だった中田義弘氏(ともに当時)らは、2016年に開催された「桜を見る会」に出席。そこで淡路社長は菅官房長官や片山さつき・前地方創生担当相らとツーショット写真を撮り、さらには「前夜祭」にも淡路社長は出席し、会場で安倍首相や昭恵氏と仲良く写真におさまっている。

 しかも、淡路社長らと安倍首相の写真はこれだけではない。なんと、淡路社長は安倍首相の地元・下関市で昭恵氏が経営する複合型ゲストハウス「UZUハウス」でも、安倍首相とツーショット写真を撮っているのだ。

 それは、2016年8月13日のこと。同夜、安倍首相は下関市でおこなわれた「関門海峡花火大会」の会場を例年のように練り歩いたが、その後、21時5分から安倍首相は「uzuhouse(ウズハウス)」でおこなわれたオープン記念パーティに出席している。そこに淡路社長も参加していたようで、今度は安倍首相とツーショットでがっちりと固い握手を交わす写真を撮っていたのだ。

 本日おこなわれた衆院予算委員会でもこの話題が野党議員の質疑で取り上げられ、「お知り合いですか?」と淡路氏との関係を問いただされたのだが、安倍首相は「東京新聞ですか? 通常、読んでいないものですから」などと言い出し、「まったくその人物、ご存知ございません」「政治家ですからね、(写真は)歩いているときに撮ってくれと言われたら撮る」「(妻も)まったく存じ上げないということだった」と関係を否定。しかも、「読んでいない」と言ったくせに、「当該の新聞によればですね」などと言い、東京新聞の取材に対して淡路氏が弁護士を通じて出した「安倍首相夫妻と写真撮影した断片的な記憶はあるが、知り合いという認識はない」という回答を読み上げ、「知り合いでもなんでもない」と繰り返したのだった。

「政治家だから言われたら撮る」って、「桜を見る会」という政府から招待された人間だけが参加できる場と、街頭とか誰でも入れる講演会とか完全オープンな場とまったく話が違う。

 しかも、淡路社長は「桜を見る会」だけではなく、「前夜祭」や地元・山口での昭恵氏の個人的なパーティにまで出席しているのだ。「知らない」というだけでは済まされない話だろう。

 というのは、この安倍首相や昭恵氏との写真が、マルチ商法だった「クローバーコイン」の勧誘に利用されていたという重大な事実があるからだ。

仮想通貨マルチ商法「48」が安倍夫妻とのツーショットを使って勧誘

 東京新聞で証言をおこなっている女性会員は、「クローバーコイン」にかんするセミナーで「前夜祭」での淡路社長と安倍夫妻の写真などを〈講師役の会員が「みなさん、これ、誰だか分かりますよね」と言って大型スクリーンに映し出した〉といい、この女性は2016年の初夏にも上位会員から同様の写真を見せられ、「これ、いる? あげようか?」と言われていたという。そして、この女性もスマートフォンでそれらの写真を受け取った。その効果は絶大だったようだ。実際、女性はこう証言をしている。

「(首相と淡路氏らの)写真を見せたら『へー、すごいね』ってみんな信用してくれる。それはそうですよ、普通の人はできませんから。その意味で写真があったら便利だから、下位会員へ順番に送られていった。ほぼ全員が使っていたはず」

 さらに、「ウズハウス」での安倍首相と淡路社長のツーショット写真についても、「クローバーコイン」に200万円を投じたという別の女性会員は上位会員から「これからは仮想通貨の時代。安倍さんもお金の勉強をしないといけないから、地元に招待されたんだよ」と言われたといい、「ちょうど仮想通貨が高騰した時期でもあった。そこに写真が重なって、信用が増した」と語っている。

 これはジャパンライフが「桜を見る会」の招待状を信用材料にしていたのとまったく同じ構図だが、こうして安倍首相との関係を誇示した勧誘活動の裏では、消費者庁に被害を訴える人も増加していたのだ。

 48ホールディングスは、淡路社長の「桜を見る会」や「前夜祭」、「ウズハウス」オープン記念パーティ出席後の2016年9月からの10カ月間で約192億円を売り上げたというが(前出・東京新聞)、一方、日本消費経済新聞(2017年11月5日号)によると、2016年1月には48ホールディングスをめぐり全国の消費生活センターに相談が寄せられ、同年度の相談は140件、2017年度は10月24日までのあいだに223件も相談があったという。

桜を見る会や前夜祭に参加したマルチ「48」めぐり消費者庁が不可解な立入検査見送り

 安倍首相や昭恵氏との写真を勧誘に使って売上を伸ばす一方、被害の声も大きくなっていった48ホールディングス。そして、消費者庁は2017年8月に立入検査を、その直前には金融庁も調査を実施。同年10月には特定商取引法違反(不実告知など)にあたるとして、消費者庁から3カ月の一部取引停止が命じられたのだ。

 しかし、じつはこの行政処分に対しても、やはりジャパンライフと同様、遅すぎたという批判が出ていた。というのも、消費者庁は2017年5月に予定されていた立入検査を見送っているのだ。業務停止命令が出た際、日本消費経済新聞は〈消費者庁の行政処分は、遅きに失したといわざるを得ず、被害の抑止・拡大防止にはつながっていない〉と指摘していたが、消費者庁の鈍い動きの背景に安倍首相や昭恵氏との関係があるのではないかという疑念を抱かずにはいられないだろう。

 しかも、48ホールディングスはジャパンライフとの接点もある。日刊ゲンダイ(2017年12月29日付)によれば、この48ホールディングスの代表取締役社長を一時期務めていた渡部道也氏は、2016年当時、ジャパンライフの取締役香港支社長として会社案内で紹介されていたという。

 被害者を生んでいるマルチ商法の企業関係者を招待し、“安倍夫妻と人脈がある”ということを信用材料にさせてきた「桜を見る会」。招待者名簿が出てくれば、こうした人物がザクザクと出てくるために、安倍官邸および政府は必死になって名簿をひた隠しにしているのだろうが、安倍首相が「知らない」と言って終わる話ではけっしてない。淡路氏やジャパンライフ・山口会長といった人物はどういう理由で招待されたのか。被害を拡大させた責任者として、安倍首相はしっかり国民に説明する義務がある。

最終更新:2020.02.12 09:54

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