〈#ミサイルよりクーラーを〉の批判は正しかった! 歴代自民党政権が避難所指定体育館へのエアコン設置を遅らせてきた客観的事実

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小泉進次郎Xより


〈#ミサイルよりクーラーを〉

大きな被害が明らかになった熊本地震をめぐって、こんなハッシュタグが広がっている。

 最大の理由はもちろん、今回、避難所に指定された熊本の学校体育館の多くにエアコンが設置されていないことがわかったためだ。この酷暑の中、エアコンなしで避難生活を送れというのは、オーバーでなく、住民の命を危機に晒すことと同義だ。

 問題はエアコンだけではない。今回の熊本地震でも、避難した住民の多くは相変わらず雑魚寝をしいられ、丸2日たっても、プライバシーを守る段ボールのベッドはほとんど届いていない。仮設トイレも届き始めたのは地震発生からようやく3日目、いまだ給水を満足に受けられていない人もたくさんいる。

 大規模災害が起きるたびに問題になってきた先進国とは思えない貧しい被災者支援体制は一向に改善されていないのだ。

 一方、その熊本では、今年3月9日未明、県や熊本市、住民に事前説明もないまま、防衛省によって健軍駐屯地に長射程ミサイル搬入が強行された。木村敬知事や熊本市の大西一史市長も遺憾の意を示し、当然ながら住民たちからは不安と不満の声が上がったが、小泉進次郎防衛相は対話型の住民説明会などについて「実施する予定はない」と突き放し、何のフォローもしていない。
 
 意味がないどころか緊張を高めるだけの“軍隊ごっこ”に巨額の金を注ぎ込む一方で、災害支援はおざなり。〈#ミサイルよりクーラーを〉というフレーズは、本当の意味で国民の生命を守る政策をやってこなかった自民党政治に対する的を射た批判と言えるだろう

ところが、これに対して、右派勢力、ネトウヨが同じくSNSで猛然と噛みつき始めている。

〈今回の熊本地震において『ミサイルよりクーラー』などと言ってる奴の話は聞く価値ありません。 災害をダシに、自衛隊を弱体化させたい反日左翼です〉
〈ミサイルよりクーラーだとガタガタ騒いでるやつは、恥を知れ。〉
〈ミサイルよりクーラーって。 ミサイルを止めてクーラー設置した結果、手薄になった国防を突かれて侵略されたら。 そのクーラーは侵略軍に独占されるでしょうんね〉
〈「ミサイルよりクーラー」とほざく輩は低能なのでブロックしましょう まず自費で被災地にクーラー送ってからモノ申してくれませんかね?〉
〈ミサイルよりクーラーとか嫌がらせでするなよと自衛隊の邪魔すんな、あと 共産党 そんなにエアコンがなら、税金でなく 共産党の金ですりゃあいいしじゃん、その支持者でもいいぜ、共産党が自分らの金でしなよいってること全部さ、税金泥棒するより、ほんと邪魔だよな共産党 いらない災害利用すんな〉

 なぜ熊本にミサイルを配備しなければ、その途端に他国に侵略されることになるのか。しかも、避難所の体育館へのエアコン設置など、被災者を守る体制をつくるべきだという当然の要求を、反日左翼呼ばわりし、「その前に自分の金で送れ」とは、軍備増強を絶対視し、福祉や弱者支援が大嫌いな右派らしい頭の悪い言いがかりというしかない。

小泉防衛相のクーラー輸送PRに乗っかり、体育館にエアコンなしの批判を封じ込める動きも

 しかも、この頭の悪い右派の言いがかりは、29日夕方、防衛省が300台のポータブルクーラーを被災地に運んだことが報じられると、さらにエスカレートしている。

〈あれ?左翼のアホどもがミサイルよりクーラーって言ってたけどもう輸送されてますね。ミサイルよりクーラーよりアンタらの残念な脳味噌の方を取り替えた方がいいんじゃないですか?笑〉
〈左派がミサイルよりクーラーって言ってるより先に熊本に既に300手配される段取りされてたの本当に草なんよ〉

 たしかに、クーラー輸送については、当の防衛省・自衛隊(災害対策)が積み込みや飛行機が飛び立つ様子などを映した47秒のPR動画をXに投稿、小泉進次郎防衛相も〈熊本の皆さん、今日の14時頃にクーラー300台を載せた輸送機が航空自衛隊入間基地から熊本へ飛び立ちました。地震発生から24時間以内に支援を実現した部隊と経産省はじめ関係省庁、企業の連携に心から敬意を表します。引き続き、先手先手で動きます。〉と、アピールしている。

 しかし、今回の熊本地震の避難所は400カ所に及び、7月30日時点で9500人の住民が避難しているのだ。ポータブルクーラーを300台運んだくらいでは、全然足りない。しかも、これらは政府や自衛隊が用意していたわけではなく、企業が調達に協力したもの。それが地震発生から24時間たってようやく一部揃って、自衛隊はそれを運んだだけなのに、どうして政府や自衛隊のおかげで問題が解決したかのような手柄話にしているのか。

 そもそも、エアコンに関して言えば、避難所に指定されている小中学校の体育館にあらかじめ設置されていなかったことが最大の問題であり、地震が起きたあとに、現地に運び込んでいる時点で完全に「後手」にまわっている。〈#ミサイルよりクーラーを〉はまさにそのことを問題にしているのだ。

 これに対しても、右派や自民党応援団は「政権批判へのすり替え」「災害を自民党批判に利用している」と喚いているが、これはすり替えでも何でもない。

 7月30日に文科省が公表したデータによると、全国の公立小中学校の体育館・武道場で、2026年5月時点で空調設備があったのは31.7%、避難所として指定されている学校でも33.1%だった。熊本県は全体で20.4%、避難所に指定されている学校で20.9%、全国平均を大きく下回っている。(6月23日発表の資料では全体13.4%、避難所指定の学校12.9%)

 この背景にあるのは、国の支援の乏しさだ。公立小中学校の空調設備については、国の補助が出ることになっているのだが、補助金は費用の半分で、もう半額は自治体の負担となる。しかも、2024年までは併せて断熱改修工事をすることが補助の要件になっていたため、財政力のない自治体が設置に後ろ向きになってしまうという状況があったのだ。

 実際、その設置率には都道府県によって、大きな格差がある。財政が豊富な東京都が95.6%とほとんどの学校をカバーしているのに対して、地方は軒並み30%以下にとどまっている。そして、熊本県も前述のように、20%しか設置していなかった。

 国の補助金の乏しさが設置率の低さを招いているのだから、これらは明らかに国政、自民党の歴代政権の責任だろう。

体育館にエアコンなしの責任は自民党政権 共産党などの要求を退け補助金を出し渋り

 しかも、自民党政権はただ不作為だっただけではない。体育館へのエアコン設置を阻むような動きさえ見せていた。

 実は、公立学校の空調設備については、2000年代はじめから、国会や地方議会などで共産党を中心に補助強化を求める質問や要望が繰り返されていた。しかし、政府や自民党はそれを無視し続け、2018年までは補助金を3分の1に抑え続けた。

 普通教室については、猛暑で熱中症による児童の死亡事故が起き大きな問題となった2018年度補正予算においてようやく、熱中症対策の臨時措置として822億円が計上され、地方負担分の大半を地方債(緊急防災・減災事業債など)と地方交付税の組み合わせでまかなえる措置がとられたことで、各自治体が一斉に教室のエアコン設置に踏み切るようにななった。2020年3月には設置率9割、現在は全国のほぼ全ての教室にエアコンが設置されるにいたっている。

 国がその気になって予算や措置を講じれば投じれば、全国の学校に一気にエアコンを普及させるのが可能という証明ともいえるが、しかし、これはあくまで普通教室だけで、2018年以降も体育館の対策強化は放置されたままだった。

 共産党や公明党などは、大規模災害での避難所になる体育館に対してもエアコン設置を進めるよう求めていたが、災害対策に関心のない当時の安倍政権は一向に動こうとしなかった。

 岸田政権になってから「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づき、2023年度予算で、避難所に指定されている体育館への空調設置について、補助率が2分の1に引き上げられたが、2025年度までに工事が完了する事業に限るという非常に限定的な措置にすぎなかった。しかも、前述のように断熱工事をセットとすることが補助金拠出の要件となっていたため、なかなか設置は進まなかった。

 その後、大規模災害対策を政策の柱に据えた石破政権が2024年に、体育館へのエアコン設置のため、新たな「空調設備整備臨時特例交付金(文科省)」などを新設。2分の1の補助に加え、光熱費に対する交付税措置、さらに断熱工事のセット要件も緩和されたことで、地方の負担が大幅に軽減。ようやく設置が少しずつ進み始めたというのが、現状なのである。

 実際、「しんぶん赤旗」によると、今回の地震で、震度6強以上だった宇城市は今年度中に全小中学校の体育館にエアコンを完備する予定、宇土市は4割にクーラーが設置される予定、熊本市は今年度にエアコンの設置が予算化し来年から工事が始まる予定だったというが、少なくとも地震発生時点では、震度6強以上だった6自治体のうち、4自治体で避難所指定の学校体育館のクーラー設置がゼロ。

 つまり、2018〜2023年の補助金出し渋りによって、今回の地震には間に合わなかったのである。

 だとすれば、地震が発生してから、避難所に慌ててクーラーを送っているという泥縄的な現状は、明らかに歴代の自民党政権、特に安倍政権下での教育福祉政策軽視、災害政策軽視が原因というしかない。

〈#ミサイルよりクーラーを〉など批判の広がりで、高市首相も慌ててエアコン設置前倒し

 自民党政権が、学校のエアコン設置、そして災害対策にここまで消極的なのは、戦前教育を信奉する保守思想から「子どもを甘やかすな」などと考えている政治家が多いことに加え、道路工事などと違って、エアコン設置が利権や票につながらないからだろう。

 とくに安倍政権は、支持基盤である大企業や富裕層、軍事産業、アメリカに利益をもたらす軍備増強に金を使いまくる一方で、教育や災害対策には予算をけちり、国民に「自助の精神」「自己責任」による復興を押し付けてきた。

 その結果が、日本のお粗末な災害支援の状況なのだ。問題はエアコンだけではない。国際基準では、1人あたり最低3.5㎡でプライバシーの確保された生活空間、十分なトイレや入浴施設、エアコンやベッドの整備などが、避難所の最低基準として示されており、イタリアなどではそれらが災害発生から48時間でほぼ達成されているうえ温かい食事も提供されている。しかし日本ではトイレもお風呂も足りず、体育館で雑魚寝状態という状況が続いている。

 そういう意味では、いま、SNSで広がっている〈#ミサイルよりクーラーを〉は、冒頭でも述べたように、弱者や子どもの生命を軽視する自民党政治の本質を言い当てたフレーズであると同時に、大規模災害の際の支援の充実を求める当然の声と言っていい

 実際、その声は政治を動かしている。高市首相は、7月31日に開かれた熱中症対策に関する関係閣僚会議で、2035年度までに学校体育館へのエアコン設置率100%にするという目標を前倒しするよう指示したが、これもまさに〈#ミサイルよりクーラーを〉といった国民の批判の広がりによって、官邸が、慌てて取り繕った結果だろう(しかも補助を増やすなどの具体策ではなく目標の前倒しに過ぎないのだが)。
 
 ところが、こうした国民の生命を守るための当然の声に対して、ここまで指摘してきたように、高市応援団と見られるネットの右派はヒステリックなまでの言いがかりやいちゃもんをつけ続けている。これはいったいなぜなのか。

 その背景には、ネットに生息する右派が自民党や維新の政治家以上に、災害支援や福祉に公的資源を割くことを忌み嫌っているという問題がある。

 実際、前の熊本地震や能登半島地震、数々の豪雨災害などでも、日本の政府の救援の遅さ、支援の乏しさを批判する声が上がると、ネットでは右派が「左翼が政権批判に利用しているだけ」「必死で災害対策に取り組んでいる政権の足を引っ張るな」「政府や自衛隊は頑張っているんだから感謝しろ」などといった調子で、災害対応批判を封じ込めてきた。

 その結果、この国の災害支援は10年前とほとんど変わらない、被災者に雑魚寝やトイレへの行列、車中泊を強いる状況が続いているのだ。

 改めて言っておくが、弱者切り捨てに何の痛痒も感じない政治家や、エアコンの効いた安全な部屋で勇ましい言葉を叫んでいるだけの右派連中の圧力に怯んではならない。国民はむしろより徹底的に先進国並みの充実した災害支援を求めていく必要がある。

最終更新:2026.08.01 11:28

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