自衛隊リクルートは貧困層狙い撃ちだけではなかった! 小学生にまで「自衛官勧誘」目的のパンフレット作成

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「まるわかり!日本の防衛 はじめての防衛白書」2025より


「自衛隊には経済的に厳しい子どもたちが行く」と発言した立憲民主党・古賀千景参院議員の炎上をめぐって、本サイトでは先日、古賀議員の発言の趣旨がけっして間違っていないこと、そして日本でも、貧困層が生活のためにやむなく軍隊に入る「経済的徴兵制」が確実に進んでいることを明らかにする記事を掲載した。

そして、防衛省や自衛隊が中高生とみられる10代の若者も参加する職場見学ツアーで「自衛隊に入れば365日無料でごはんが食べられます」「クリスマスにはローストビーフやひとり1個のケーキ」「自衛隊記念日にはステーキひとり1枚」と宣伝するなど、貧困層を狙い撃ちしているとしか思えないリクルート活動を行っている実態を報じた。

少子化に加えて、集団的自衛権容認や安保法制成立以降、志願者が激減している自衛隊では、なりふりかまわぬ隊員募集が行われている。いま、自民党の政治家や右派メディアが、古賀議員の発言を「職業差別だ」「自衛隊に対する侮辱だ」と騒ぎ立てているのは、問題の本質を誤魔化そうとしているにすぎない。

 しかも、ここにきてその自衛隊リクルートをめぐってもっととんでもない事実がわかった。

 防衛省はその露骨な自衛隊勧誘の手をなんと「小学生」にまで伸ばそうとしているのだ。そのことがはっきりわかったのが、防衛省が作成した小学生から高校生向けパンフレットの内容だった。

このパンフ、『まるわかり!日本の防衛 はじめての防衛白書』というタイトルで、2024年度版は2025年7月時点で全国2400校の公立小学校に配布されていたのだが、ロシアのウクライナ侵攻について「ウクライナは防衛力が足りなかったため攻められた」と断定していたり、北朝鮮・中国・ロシアという3つの国名を具体的に挙げ「日本が位置する地域は安全とはいえません」と恐怖を煽ったり、 “アメリカと一緒に、「攻撃を思いとどまらせる力」「攻撃に立ち向かう力」を強くする”ことを説いたりと、決めつけや印象操作で一方的な軍備増強論と他国への敵対心を煽る内容が問題になり、配布を中止する学校や教育委員会が相次いだものだ。

実は、古賀議員が「自衛隊には経済的に厳しい子どもたちが」と発言した国会質問も、主題はこの2024年度版『まるわかり!日本の防衛〜』の問題だった。古賀議員は同パンフの内容を改めて「子どもに対する配慮はあったのか」として、防衛省の責任を追及した上、その内容に強い危機感を表明していた。

 ところが、答弁に立った小泉進次郎防衛相はこうした質問にまともに答えず、逆に古賀議員の「自衛隊には経済的に厳しい子どもたち」発言を攻撃することで、小学生向けにとんでもないパンフを作っていた事実をすっかり誤魔化してしまったのである。

 しかし、この小学生向けパンフ問題は決して終わったわけではなかった。2025年度版『まるわかり!日本の防衛〜』を読んでみると、2024年度版で問題になった「ウクライナは防衛力が足りなかったため攻められた」という記述はさすがに削除されていたが、代わりに別の危険な改変がなされていた。

 2021年度から作成されるようになった『まるわかり!日本の防衛〜』だが、自衛隊や防衛力の重要性をアピールする一方で、作成当初からずっと、日本国憲法にのっとった平和主義的な「日本の防衛の考え方」を解説するページが設けられていた。

 たとえば、トンデモな内容が問題になった2024年度版でさえ〈日本は、次の考え方で、国の防衛に取り組んでいます。〉といった文章のあとに、「専守防衛」「軍事大国とならないこと」「非核三原則」「文民統制の確保」という4つの見出しが掲げられ、それぞれに解説が加えられていた。

 ところが、2025年度版では、この「専守防衛」「軍事大国とならないこと」「非核三原則」「文民統制の確保」という4つの記述が影も形もなくなってしまったのである。

防衛省=自衛隊じたいが戦後、日本が守ってきた平和主義を捨て、軍事大国化へ舵をきろうとしている、そんな恐怖さえ感じる改変ではないか。

小学生向けのパンフで露骨な隊員勧誘PR 栄養満点の食事や名物メニューもアピール

 しかし、この2025年度版『まるわかり!日本の防衛〜』がもっととんでもないのは、新たに設けられた「自衛隊員について詳しくなろう」という章の中身だ。

10ページにもわたるこの章を読むと、「小学生を自衛隊にリクルートしようとしている」としか思えない記述が満載なのである。

 特集の最初こそ、隊員数など基本的なデータが掲載されているが、3ページ目にはいきなり幼い男の子のキャラクターが「どうやったら自衛官になれるの?」と質問するイラストが登場。それに対して、自衛隊員のキャラが「自衛官になるのはいろいろなコースがあって、どのような立場でどのような仕事をするかで違うんだ!例えばパイロットになるためのコースもあるよ」と答え、15歳から入れる陸上自衛隊高等工科学校生徒を筆頭に、自衛官候補生、一般曹候補生、航空学生から、自衛隊奨学生、予備自衛官補まで、11のコースが紹介されている。

 次のページも同様だ。「どんな種類の職種があるの?」と尋ねる小さな女の子のイラストの下に、陸上自衛隊の職域一覧、海上自衛隊の職域一覧、航空自衛隊の職域一覧が写真付きで列挙され、イラストの女性自衛官が「入隊後、本人の希望やその人に合っているかによって職種が決まるよ。どの職種も魅力があって、やりがいのあるものばかりだよ!」と宣伝している。

 さらに気になるのが「自衛官は普段どんな食事を食べているの?」という吹き出しの後、なんと3ページにもわたって、自衛隊の食事の解説記事が続いていることだ。

最初のページでは、「普段は基地や船の中で栄養満点の食事を食べてるよ。訓練や災害派 遣中の自衛官は『レーション』という持ち運べるレトルトの食事を食べるんだ。」という解説で、自衛官の食事風景の紹介。

次のページは、「名物メニュー紹介」で、〈各基地、駐屯地では地元の特産品を使った、その基地ならではのオリジナル料理がたくさんあります。 各基地などの栄養士が工夫を凝らし名物メニューを考案しています〉という解説のあと、陸自、海自、空自の一押しメニュー
が写真付きで紹介されている。

 さらに3ページ目では、〈自衛官は平均的な大人よりも多くのカロリーを摂取〉というタイトルのあと、一般の成人女性・男性と比べる形で、「自衛官はなんと1日約3000kcal」という言葉を大きく載せた大盛りご飯のイラストが掲載されていた。

 前回の記事で、自衛隊が「貧困層」を狙い撃ちにしている根拠として、職場見学ツアーで「自衛隊に入れば365日無料でごはんが食べられます」「クリスマスにはローストビーフやひとり1個のケーキ」「自衛隊記念日にはステーキひとり1枚」と宣伝していることを報じたが、小学生相手にも同じ手法で、経済的に厳しい子どもにアプローチしているのではないか、疑わせるものだった。

 ほかにも、同パンフの「自衛隊員について詳しくなろう」という章には、託児所があることのアピール、階級章やき章のかっこよさを強調する記事、さらには「大将軍みたいな人もいるの?」という質問に、「(自衛隊にも)将がいるよ」と答えるやりとりなど、小学生に、将来、自衛隊にに入りたいと思わせようという魂胆がみえみえの記事がいくつも出てくる。

小学生相手に自衛隊の勧誘広報をするのは「子どもの権利条約」に反するのではないか

 いや、「自衛隊員について詳しくなろう」という章だけではない。きわめつけはパンフレットの最後に載っている巻末資料だ。

「理想の未来を実現する多種多様なコース」というタイトルで、改めて自衛隊入隊のための11のコースの特徴と対象年齢が列挙され、こんな宣伝文句が掲載されていたのだ。

〈自衛官になるといっても、その進路は多種多様。「なりたい自分になる」ために、自分の適性や希望に合うものを探してみましょう。」

 ようするにこのパンフ、『まるわかり!日本の防衛 はじめての防衛白書』というのが正式タイトルなのに、実際の中身は、企業の採用パンフレットや学校の入学案内とみまごう「自衛隊勧誘パンフ」になってしまっていたのである。

 しかも、問題はこれが小学生への配布も前提に作られているということだ。

日本も含めた世界約200国が締約している国連の「子どもの権利条約」第38条3項には、〈締約国は、15歳未満の者を自国の軍隊に採用することを差し控えるものとし、また、15歳以上18歳未満の者の中から採用するに当たっては、最年長者を優先させるよう努める。〉とあるが、この国防省・自衛隊による小学生・中学生勧誘広報は、「子どもの権利条約」の理念に抵触する可能性さえある。

  貧困層をターゲットにした露骨な隊員募集と経済的徴兵制の推進に加え、小学生にまでターゲットを広げて、国防意識を植え付け、実態とはかけ離れた餌をちらつかせながら将来の自衛隊入隊を勧誘する……この国の自衛隊はいよいよとんでもない集団に変えられようとしているのかもしれない。

最終更新:2026.06.29 08:11

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