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玉川徹が処分されるなら貴方たちは? 玉川を攻撃する橋下徹、三浦瑠麗、ほんこんのもっと悪質なデマを垂れ流した過去
『羽鳥慎一モーニングショー』番組HPより
テレビ朝日・玉川徹氏に対する批判が激しさを増している。
玉川氏は9月28日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』のなかで、安倍晋三・元首相の「国葬」における菅義偉・前首相の弔辞について「これこそが国葬の政治的意図だと思う」「僕は演出側の人間として、テレビのディレクターをやってきましたから、それはそういうふうに作りますよ。政治的意図がにおわないように、制作者としては考えますよ。当然これ、電通が入ってますからね」とコメントし、翌日の放送で「電通はまったく関わっていないということがわかりました」と事実誤認を認めて謝罪した。
だが、謝罪後も著名人をはじめとして玉川批判は収まらず、10月4日にはテレビ朝日の篠塚浩社長が玉川氏を出勤停止10日間の謹慎処分に、さらに番組責任者の報道局情報番組センター長と番組担当チーフプロデューサーの2人も譴責処分にしたと発表した。しかも5日に配信された「FRIDAY」(講談社)の記事では、玉川氏の“降板”はすでに既定路線で、番組改編期に合わせて早ければ12月いっぱい、遅くとも来年3月いっぱいで交代となると報じている。
いくら批判が高まっているとはいえ、あまりにも素早いテレビ朝日の対応──。無論、背景にあるのは大手メディアにとってタブー中のタブーである電通への配慮、そして菅前首相への忖度だろう。
本サイトでは繰り返し指摘してきたが、菅前首相といえば官房長官時代、テレ朝の『報道ステーション』に圧力をかけた張本人。その上、テレ朝政治部には菅前首相の横浜市議時代からの付き合いとなる私設秘書の夫が在籍しているとも言われている。さらに、統一教会問題の報道をテレ朝が抑え込んでいるのは何らかの政治的圧力がかかっていると見られているが、その黒幕として自民党・萩生田光一政調会長と並んで菅前首相の名前も取り沙汰されている。
しかも、玉川氏の処分を発表したテレ朝の篠塚社長は、報道局長時代から安倍元首相とベッタリだったテレ朝の“ドン”早河洋会長の腰巾着的存在であり、安倍官邸の意を受け、早河会長の名代として報道現場に露骨な圧力をかけてきたことで知られている人物だ。舌鋒鋭い玉川氏のコメントは毎日のようにネットニュースになるなど話題性も高く、高視聴率の『モーニングショー』の顔でもあったために交代させられることはなかったが、政権批判を厭わない玉川氏を今回の問題を機に“厄介払い”しようと篠塚社長が考えてもまったく不思議はない。
玉川攻撃に興じる橋下徹はデマの説明を求められ「無償でのインタビューには応じていない」と回答
だが、すっかり骨抜きとなったテレ朝の対応もさることながら、目に余るのは、玉川氏の誤報コメントに吹き上がり、猛批判を繰り出しているコメンテーターの面々だ。というのも、玉川批判に精を出している連中には、はるかに悪質なデマを飛ばした前科があるからだ。
その筆頭が、元大阪市長の橋下徹氏だ。橋下氏は菅前首相とともに出演した2日放送『日曜報道THE PRIME』(フジテレビ)で、菅前首相の弔辞を「なにか菅氏のすべてを感じた」などと大絶賛した一方、「一部で演出だなんていう意見が出ていて、僕は絶対に許せない」と憤慨。Twitterでも〈裏付けのないまま広告代理店による演出があったと言うのは一線を超えた人格批判〉と玉川氏を批判した。
「人格批判」って、こいつは何を言っているのか。電通が関わっていたかどうか裏付けがないままコメントしたことは玉川氏に非があるが、あの弔辞は「ウラジーミル、2人の力で駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか」などといった安倍元首相のスピーチを手掛けたとも言われている谷口智彦・元内閣官房参与がスピーチライターとしてかかわっていたと指摘されており、第三者の手によって“演出”されたものである可能性は高い。いや、そもそも政治家のスピーチに対し“演出されたものだ”と指摘することは、人格批判でもなんでもないだろう。
だいたい、橋下氏こそ「裏付けのないまま」デマを垂れ流してきた張本人だ。たとえば、2020年に起こった日本学術会議の任命拒否問題では、橋下氏は〈学者がよく口にするアメリカとイギリス。両国の学者団体には税金は投入されていないようだ〉とTwitterに投稿。しかし、米国科学アカデミーも英・王立学会も政府から補助金が出ており、税金は投入されているのが事実だ。
当然、このツイートには事実誤認を指摘する声が相次いだのだが、それを受けて橋下氏は〈これは説明不足だった。アメリカやイギリスでは、日本のように税金で学者団体を丸抱えすることはないが、学者団体に仕事を発注して税金を投入する〉などと釈明。アメリカでもイギリスでも日本よりはるかに大きな公金が投入されており明らかなデマであるにもかかわらず、謝罪も撤回もせず「説明不足」などとごまかしたのだ。
その上、このデマについて、東京新聞の望月衣塑子記者が橋下氏に取材を申し込むと、橋下氏の事務所は「現在は一私人としての立場なので、無償でのインタビューには応じていない」と回答。挙げ句、Twitterでは東京新聞と望月記者がフェアではない取材方法をとったかのように攻撃して問題をすり替えたのだ。
ワイドショーのコメンテーターをはじめメディアで言論活動をつづけている人物が、デマの説明責任から逃げるとは……。そもそも、橋下氏は大阪市長時代、毎日放送の記者で後に映画『教育と愛国』を監督した斉加尚代氏に対し誤った回答をしておきながら攻撃と恫喝を繰り出したこともあるが、ともかく他人を批判する前に、まずは自身が飛ばしたデマについて、ごまかさずにしっかり訂正することのほうが先だろう。
「スリーパー・セル」デマで差別扇動した三浦瑠麗 いまだに謝罪も訂正もせず
だが、さらに酷いのが、国際政治学者の三浦瑠麗氏だ。三浦氏は玉川氏のコメントについて〈発言のトーンによって、全ては消費者向けに仕組まれているのだというシニカルさを電波を通じて社会に植え付けてしまうことのほうが問題ではないか〉などと投稿したが、よくもまあこんなことがよく言えたものだ。
ご存知のとおり、三浦氏といえば2018年2月に『ワイドナショー』(フジテレビ)において、「実際に戦争がはじまったら、テロリストが、仮に金正恩さんが殺されても、スリーパー・セルと言われて、もう指導者が死んだってわかったら、もう一切外部との連絡を絶って都市で動きはじめる、スリーパー・セルっていうのが活動をはじめるって言われてるんです」「それがソウルでも東京でも、もちろん大阪でも。いま結構大阪ヤバイって言われていて」などと、なんの根拠もないデマを語った。また、番組もデマであると指摘することなく、スリーパー・セルの解説として「一般市民を装って潜伏している工作員やテロリスト」とのテロップを流した。当然、「北朝鮮のスリーパー・セル=在日朝鮮人」と想起させ、差別を助長するものだと放送直後から大きく批判された。
当時、本サイトでも詳しく解説したが(https://lite-ra.com/2018/02/post-3799.html)、この三浦氏の“スリーパー・セルでとくに大阪がやばい”発言はなんの根拠もない浅薄なデマだ。しかも、このとき巻き起こった批判に対し、三浦氏が反論で持ち出したのは、ネッシーが湖面から首を出した写真を初めて掲載して大きな話題になった、イギリスの右派系タブロイド紙「デイリー・メール」の記事。その上、三浦氏が掲げた「デイリー・メール」記事は同紙が取材したものですらなく、同紙よりもさらにお下劣な日本でいう実話誌のようなタブロイド紙「デイリー・スター」の記事を引用したものという始末だった(しかも内容は北朝鮮本国が工作員に向けてラジオ放送で暗号を送っているというだけのもので、テロを起こすとは書いていない)。
この「スリーパー・セル」発言について、いまのいままで三浦氏は謝罪はおろか訂正もしていないが、この発言は差別を助長させる危険を孕んだものであり、実際、発言から約4カ月後に大阪府北部で最大震度6弱を記録する地震が発生した際には〈みんな気をつけろよ スリーパーセルが動き出す〉〈新幹線の次は地震。スリーパーセルの仕業だな〉といったツイートが散見された。ようするに、三浦氏のデマ発言は、在日朝鮮人に対するヘイトスピーチや差別・排外主義を助長させる思考を「電波を通じて社会に植え付けた」といえるものだったのだ。それでよく三浦氏は玉川氏を批判したものだ。
安倍元首相銃撃で“スナイパー小屋”デマを拡散させたほんこん 米・連邦議会議事堂乱入事件でも陰謀論
もうひとり、閉口せずにはいられないのが、ほんこんだ。ほんこんは玉川氏のコメントに対し、自身のYouTubeチャンネルで「やり玉に挙げられた菅前首相には謝ったんか」「すべてのディレクターに謝罪せなアカンで。編集として、政治的意図を隠すようなことをしたらあかんちゃうの」「胸クソ悪いと思います」と批判を展開させた。
まったく、どうしてほんこんが他人をとやかく言えるのか。ほんこんといえば、最近も“安倍元首相が銃撃された近くのビルの屋上にスナイパー小屋があった”とするネット上のデマに飛びついて拡散させ謝罪に追い込まれたばかりだが、公共の電波でもデマや陰謀論を飛ばしているネトウヨ芸人の筆頭株。実際、米・バイデン大統領の就任式の際には、『正義のミカタ』(朝日放送)において、連邦議会議事堂乱入事件について「警官の方が招き入れている映像も残ってる」「ANTIFAっていう証言も出ている」などと発言。ネット上では「BPO案件だ」という声があがった。
しかも、ほんこんはデマや陰謀論を垂れ流すだけではなく、ネットリンチ・差別攻撃を招くような行為もおこなってきた(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2020/08/post-5605.html)。また、テレビでも新型コロナの危険を矮小化するコメントを繰り返し、挙げ句、『モーニングショー』でコロナ死亡者数が増加していることを取り上げていた最中に〈死者 何歳? 言って欲しい〉などとツイートし、「高齢者なら死んでも仕方がない」と主張しているとしか受け止めようがない投稿をおこなった。ほんこんこそ「胸クソ悪い」言辞を繰り返してきた人物ではないか。
このように、玉川氏を批判する当人が揃いも揃ってデマを飛ばし、三浦瑠麗氏やほんこん氏にいたっては「BPO案件」級のデマを公共の電波で垂れ流していたのだ。しかも、玉川氏とは違い、飛ばしたこれらのデマについて訂正も謝罪もしていないのである。
そして、これほどのニセ情報を流すような人物であるにもかかわらず、番組を降板するどころか、いまだにしゃあしゃあとテレビに出演しつづけ、コメントを発している。その答えは一目瞭然で、彼・彼女らは政権側につき、政権を擁護するコメンテーターだからだ。
実際、今回の玉川氏の問題だけにかぎらず、テレビで政権批判をおこなう人物にはネトウヨが大挙して押し寄せ猛批判をネット上で繰り広げ、官邸はテレビ局に圧力をかけ、国谷裕子や古舘伊知郎、岸井成格、有馬嘉男などキャスターが降板するという事態が繰り返されてきた。その一方で、権力監視というメディア人の役割を捨てて政権擁護ばかりを口にするコメンテーターがデマを飛ばしても、不問に付されてきたのだ。
政権批判をおこなうコメンテーターはいなくなり、御用番組ではフェイク流し放題──。今回の一件で、この国のテレビは独裁国家のような状態に近づきつつあることがまた明らかになったと言うべきだろう。
(編集部)
最終更新:2022.10.06 09:41
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