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テレビ朝日で統一教会報道がタブーに!『モーニングショー』放送差し替え、ネット動画を削除! 圧力を囁かれる政治家の名前
『羽鳥慎一モーニングショー』番組HPより
安倍晋三・元首相の銃撃事件をきっかけに大きな問題となっている、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と政界の癒着。当初は教団名すら報じなかった新聞やテレビだが、TBSの『報道特集』『news23』や読売テレビの『情報ライブ ミヤネ屋』を筆頭に、この問題を追及する大きな流れが生まれている。
ところが、である。これだけ盛り上がりを見せているなかで、統一教会と政治家の癒着問題にほとんど触れようとしないテレビ局がある。NHKとフジテレビ、そしてテレビ朝日だ。
政権忖度が常態化しているNHKとフジにかんしてはさもありなんという感じだが、異常なのがテレビ朝日だ。
気がついたら、同局では、『報道ステーション』などのニュース番組からも、『羽鳥慎一モーニングショー』のようなワイドショーからも、統一教会問題についてのまともな報道が完全に姿を消しているのである。
ここ数日を見ても、『モーニングショー』は1~2回、早い時間のニュースコーナーでちょっとだけ触れた程度。特集ではまったく統一教会問題を取り上げていない。『報道ステーション』も扱った時間はごくわずかで、統一教会と政治家の関係をきちんと追及する報道は皆無。それどころか、密接関係の政治家の弁明コメントを何の批判もせずに紹介するなど、まるでNHKのような報道に終始している。
この状態に、ネットではこんな疑問の声が噴出する事態になっている。
〈モーニングショー は今日も統一教会のとの字も出ずでしたか。〉
〈全く統一教会報道しなくなったモーニングショー。 NHKとおなじ。 安倍がいなくなっていろんな体制も変わったのに、いったい政府のどこが継続的にモーニングショーに「めっ」ってしてるんだろう。〉
〈モーニングショー、今日も統一教会×自民党問題やらないのかな?ここまでハッキリやらないと、より政治の力を感じられて良いよね。〉
〈報ステ統一教会ガン無視してるね〉
〈日テレのnewszeroとTBSのnews23は、当たり前だけど旧統一教会がトップニュース。 テレ朝の報ステでは0分。 これが異常でなかったら、何が異常なんだろう?〉
〈報ステ統一教会と安倍晋三氏の切り離し方すり替えすごいですね。怖いよ〜。〉
〈報ステ、統一教会問題もう終わり? アリバイ程度にちょっと流すだけ。 なに、コレ?〉
『モーニング』は有田芳生「政治の力」発言の翌日から報道取りやめ、自民党議員と統一教会の関係を証言するニュースも削除
しかも、『モーニングショー』の場合は不可解なことに、ある日を境に報道姿勢が一変していた。
『モーニングショー』は当初、統一教会報道に消極的だったわけではなかった。特集で統一教会と政治家の関係を取り上げ、玉川徹氏らもかなり批判的なコメントをしていた。そして、18日には、統一教会問題を追及してきたジャーナリスト・有田芳生氏が出演、その発言が大きな話題になった。
有田氏の発言は、1995年ごろ、警察が統一教会の摘発に意欲を示し、警察庁と警視庁からレクチャーの依頼があったが、捜査は実現せず、その理由について、有田氏が10年後、警察庁・警視庁幹部2人に質したところ、「政治の力だった。圧力」という答えが返ってきたというもの。この発言は大きな反響を呼び、Twitter上でも「政治の力」がトレンドワード入りしたほどだった。
ところが、その翌日、19日から、『モーニングショー』は突如、統一教会と自民党の癒着どころか、統一教会の違法献金などの問題も取り上げなくなかった。
もちろん、これはたまたま、ではない。実は、有田氏は翌日19日にも同番組に出演する予定だった。ところが、突如番組側からキャンセルの連絡が来たという。何かの事情で報道を取りやめたことが露骨にわかるエピソードだが、テレビ朝日では、これだけではなく、すでに放送された報道をなかったことにするという事件まで起きていた。
前述したように、『報ステ』でも『モーニングショー』でも統一教会問題を取り上げなくなったテレビ朝日だが、7月24日、『報ステ』の日曜版である『サンデーステーション』が、自民党の北村経夫・参院議員が統一教会の全面支援を受けていた問題を報道した。
同議員の元選挙スタッフである近藤将勝氏がVTRに登場し、2013年参院選において「北村氏の後援会名簿に多数の旧統一教会系の方々の名前、統一教会系団体の肩書が載っていた」「統一教会系の団体から派遣されていた女性がいた」「選挙期間中に統一教会から送られてきたFAXに北村氏が教会で遊説する日程が書かれていた」ことを証言したのである。
VTR後にキャスターが一切コメントすることなく次の話題に移るなど腰が引けた部分はあったものの、近藤氏による実名証言を放送したのはテレ朝がはじめて、ネット上でも「テレ朝がようやく統一教会問題を取り上げた!」などと話題になった。
ところが、である。驚いたことに、テレビ朝日はこの報道のアーカイブを削除してしまったのである。
『サンデーステーション』が放送した北村議員の元選挙スタッフ・近藤氏の証言は、当初、ネットの「テレ朝news」でも放送された動画と放送内容を書き起こした記事が掲載され、Yahoo!ニュースにも配信していた。しかし、その記事が、アップから1日と経たないうちにテレ朝のニュースサイトからもYahoo!ニュースからも消えた。通常なら投稿されるはずのテレ朝の公式YouTubeチャンネルでも、放送された動画は確認できない。
誤報ならこういう措置を講じることはあるが、北村議員をめぐる近藤氏の証言は、テレ朝の報道2日後7月26日に『news23』がもっと踏み込んだかたちで報じているし、その翌日27日にも『ミヤネ屋』と『ひるおび!』が取り上げている。
にもかかわらず、テレビ朝日は動画や書き起こし記事を全面削除したのである。
統一教会報道が消えたのはやはり、上層部の指示だった! ツルの一声で予定していた放送内容を差し替え
テレ朝で起きていた異常な“統一教会報道圧殺”。その原因を探るために、複数のテレ朝関係者に取材してみると、案の定、上層部からの一方的な報道中止指示があったことがわかった。
まず、『モーニングショー』への圧力は、18日、有田芳生氏が発した「政治の力」発言がきっかけだった。この発言は、前述のように、Twitter上でも「政治の力」がトレンドワード入りするなど大きな話題になったが、すると、その日のうちに、統一教会の取材に動く現場スタッフに、プロデューサーから「上から指示があった、しばらく統一教会問題はやらない」とストップがかかったのだという。
「トーンを落とす、とかそういうレベルではなく、一切やるな、ということだったようです。実際、『モーニングショー』の現場は、翌日も有田芳生氏に出演してもらうつもりでスケジュールをおさえ、特別取材班がいくつもネタを仕込んでいた。ところが、それをすべてナシにしろといわれ、統一教会とは何の関係もない話題に差し替え。有田氏にも『別の企画をやることになったので』と、急遽キャンセル連絡を入れさせられたらしい」(テレビ朝日関係者)
現場には、報道取りやめの詳しい経緯や理由は一切説明されず、厳しい箝口令が敷かれているというが、取材を進めると、今年6月に同局社長に就任したばかりの篠塚浩氏の「ツルの一声」で報道取りやめが決まった、という情報が複数から寄せられた。
たしかに、篠塚社長といえば、報道局長時代から、安倍元首相とべったりだったテレ朝の“ドン”早河洋会長の腰巾着的存在で、安倍官邸の意を受け、早河会長の名代として、報道現場に露骨な圧力をかけてきたことで知られている。
『報道ステーション』の政権批判つぶしはもちろん、2017年5月24日には、早河会長や政治部長の伊井忠義氏(当時。現・報道局次長)らとともに安倍首相と3時間にもわたり会食。その後、現場に「政府の言い分も報道しろ」などと指示をした疑惑が報じられた。
実際、この会食の少し後から、『報ステ』や『モーニングショー』では、当時、大きな問題になっていた加計学園問題をほとんど取り上げなくなった。
また、2017年夏の都議会選前には、上層部から“自民党と都民ファーストをクローズアップするよう”との社内メールが回っていたことが発覚したが、このメールの送信者も篠塚氏の腹心だった。
ほかにも、老後2000万円問題で、当時の財務相・麻生太郎氏を厳しく追及した経済部長を更迭したり、世耕弘成参院幹事長の言いがかりとしか思えない抗議に『報ステ』が全面謝罪した件も、篠塚氏の主導だといわれた。
「テレビ朝日の政権擦り寄りはもちろん早河会長から始まったものですが、篠塚社長の政権への忠誠ぶりと、現場介入のやり方は早河会長以上に露骨で強権的ですから」(テレビ朝日関係者)
そういう意味では、今回、『モ―ニングショー』に対して、篠塚社長自らが介入したのではないかという見方が出るのは当然だろう。
テレ朝のニュースを削除された証言者が「自民党議員の圧力があったという噂が耳に」
『モーニングショー』への圧力だけではない。『サンデーステーション』が報じた、北村議員の元選挙スタッフ・近藤氏の証言が「テレ朝news」から削除されてしまった件も、局内では、やはり篠塚社長のツルの一声だったというのが定説になっている。
この一件については、東京新聞の望月衣塑子記者も、圧力がかかったルートについて入手した情報を紹介している。
望月記者は「Arc Times」というYouTube番組でキャスターを務めているが、その8月2日の生配信に、証言者の近藤氏がゲストとして出演。望月記者は「他局とくらべても、テレビ朝日の状況はちょっと常軌を逸している感じがする」と指摘したうえで、テレビ朝日が近藤氏の証言をネットから削除したことについて、こう解説したのだ。
「かなり上、トップなのかなと思うんですが、そこから指示が入って、報道局長経由でプロデューサーに話がいき、そこから担当のスタッフが、この動画の削除ということをした」
しかし、である。篠塚社長ら上層部がいくら政権忖度体質だったとしても、今回のやり方はあまりに露骨過ぎないだろうか。報道を抑制するにしても、忖度による自主規制の場合は、目立たないよう少しずつトーンを落とすようなやり方が普通。今回のように、ある日を境に極端に報道しなくなったり、わざわざ一旦、放送した動画や書き起こしを削除するなどというのは、あまり聞いたことがない。
そんなところから、局内はもちろん報道関係者の間でも「自民党からテレ朝の上層部に直接、圧力があったとしか思えない」という見方が広がっている。
実際、前述した「Arc Times」の番組内では、北村議員と統一教会の関係を証言した元選挙スタッフの近藤氏が、テレ朝が記事および動画を削除した一件にかんし、こう語っている。
「(放送翌日の)午後になって、Yahoo!ニュースや、そのYouTubeの動画そのものも非公開とした。それはじつは、自民党のある有力な議員が圧力をかけたという噂が耳に入ってきました」
メディアに圧力をかけて批判を封じ込んできた安倍元首相なきいま、報道をストップさせている「自民党の有力議員」とはいったい誰なのか──。
まず、名前が挙がっているのが、安倍派の後継として有力視される一方、統一教会との関係も報じられている萩生田光一・経産相だ。
萩生田氏とテレ朝といえば、2017年、テレ朝の『グッド!モーニング』がジャーナリスト・田原総一朗氏の「萩生田氏は加計学園問題のいわば一番の責任者」と述べたインタビューを放送し、萩生田氏が抗議。田原氏のコメントは正当な論評の範囲内であったにもかかわらず、同番組は3日後に謝罪をおこなった。
このときも、萩生田氏の抗議に簡単に屈したのは、篠塚氏の差配だったといわれたが、今回も同じルートで圧力がかかったのではないか、という憶測が流れているのだ。
TBSが報じ、テレ朝が報じなかった菅義偉前首相の“統一教会差配”
もうひとり、圧力をかけた可能性がささやかれているのが、菅義偉・前首相だ。菅前首相は『報ステ』や『クローズアップ現代』など、これまでマスコミに露骨な圧力をかけてきたことで知られているが、今回、名前があがったのはそれだけが理由ではない。
『サンデーステーション』で北村議員と統一教会の関係を証言した元選挙スタッフ・近藤将勝氏のアーカイブをテレビ朝日が削除したことは前述したが、実はこの近藤氏は、菅前首相の関与についても言及していた。
『サンデーステーション』の2日後に放送された『news23』で、近藤氏は、統一教会系団体による北村議員選挙全面支援について同様の証言をしたあと、その経緯についてこう語っている。
「事務局長がある時、私たちにふと漏らされたのが、この世界平和連合(教団の関連団体)との関係は、当時の菅官房長官が、北村候補に選挙支援として差配したと、支援団体としてつけたと」
そして、『news23』は菅前総理の事務所の「差配した事実は一切ありません」という回答とあわせて、この近藤氏の証言を報道した。
『サンデーステーション』が放送したVTRのほうにはもとから、菅前首相にかんする部分はなかったが、菅氏サイドが自分の関与証言を封じ込めようと、テレビ朝日に圧力をかけた可能性がささやかれているのだ。
「テレ朝も菅前首相の関与情報をつかんでいて、TBSと同様に菅前首相に取材をかけていた可能性がある。TBSは報道に踏み切ったが、テレ朝は否定されたためビビって、菅前首相の関与は放送しなかった。ただ、それだけではすまなかったんじゃないか。テレ朝の上層部は菅前首相にすごく近いうえ、極端に弱腰だからね。『なんであんなのを出したんだ』といわれただけで、震え上がって、ニュースを削除するくらいはするだろう」(政界関係者)
もちろんこれらの見方は推測であり、事の真相はわからない。だが、いずれにせよ、テレ朝が統一教会をめぐる報道を抑えこんでいること、その背景になんらかの政治的圧力があることは、もはや疑いようもない。
テレ朝が政権忖度放送局に成り下がったのは今に始まったことではないが、ここまでひどいとは……。安倍首相銃撃事件に端を発した統一教会報道で、自民党とカルト教団のズブズブの関係が改めて明らかになったが、この問題ではもうひとつ、はっきりしたことがある。
それは、「テレビ朝日が報道機関として完全に死んだ」という事実だ。
(編集部)
最終更新:2022.08.05 07:49
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