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安倍政権がこの期に及んで「Go To」批判封じに奔走!『ひるおび』八代弁護士がコロナ渦中に「レク受けた」とポロリ
4日、『ひるおび!』に出演する八代氏
安倍政権が新型コロナ感染拡大の真っ只中に、「コロナ収束後」におこなう観光や外食などへの経済対策として1兆6794億円もの予算を計上し非難を浴びた「Go Toキャンペーン」に、再び疑念が高まっている。“再委託で電通に丸投げ”の事実が発覚し問題となっている中小・個人事業者向けの「持続化給付金」と同様、「Go To」でも事務業務を委託する予定だが、その事務委託費は予算の2割となる上限3095億円にもなるというのだ。
しかも、この委託先については8日まで公募がおこなわれており、有識者による第三者委員会で審査・選定するというが、委員会メンバーの名前はおろか、議事録さえ公表しない方針だというのである。
「持続化給付金」を電通の“トンネル法人”に委託したのは経産省中小企業庁、「Go To」を所管するのも経産省だ。本サイトでは既報で、「Go To」事業も委託先は「すでに電通で決まっている」という噂が広告業界で広がっていることを紹介したが、観光・外食などへの支援策であるにもかかわらず約3000億円もの巨額がまたしても電通に流れるようであれば、もはやそれは「経産省による電通支援策」ではないか。
国民からは「支援が遅い」「これでは持ちこたえられない」という悲鳴があがるなか、新型コロナ対策さえをも利権にしようという政府の下劣さ──。当然、もっと大きな批判が起こるべき問題だが、じつはそんななか、あるコメンテーターが、気になることを口にした。
その「気になる発言」が飛び出したのは、昨日4日放送の『ひるおび!』(TBS)でのこと。民放他局が“電通タブー”から及び腰の報道しかしないなか、TBSは唯一、「持続化給付金」問題の追及をがんばっている局だが、この『ひるおび!』でも「持続化給付金」問題と合わせて「Go To」の事務委託費問題を紹介し、元NHK解説副委員長の鎌田靖氏が「疑念は晴れない」として政府にしっかりとした説明を求める解説をおこなった。
そして、鎌田氏の解説後、コメントを求められた八代英輝弁護士は「国中心になって事業を進めていこうとすると、プラットフォーマーと呼ばれるサービス基盤の提供業者、たとえば電通であったりパソナであったり、都心に集中している大企業のところにお金が残ってしまうんですよね」と指摘。その後、“地方活性化でV字回復を図るならもっと自治体を信頼し、国はそれを評価する側に回ればいい”と述べた。
はじめは「持続化給付金」について語っていたのが、地方活性化云々というのはどうやら「Go To」に対しての感想のようだ。しかし、問題はこのあと。八代弁護士の“国は評価する側に回ればいい”というコメントを受けて、MCの恵俊彰は「結局そこが(政府の)アピール、手柄みたいに受け取ってしまうんですよね」と政権にツッコミを入れると、八代弁護士はそれを否定するように、こう口にしたのだ。
「あのー、私、そのキャンペーンについてレクを受けたので、その、政府がですね、手柄を狙っているではなくて、いかにお金を地方に回していこうかということを考えているのは伝わってくるんですけども」
八代弁護士はさらっと述べたが、「キャンペーンについてのレクを受けた」とは、一体どういうことなのか。「政府が手柄を狙っていないことは伝わってくる」と口にしていることからも、八代弁護士にレクチャーをおこなったのは「政府」ということだろう。
八代氏は元裁判官の弁護士であり、タレントとして所属する事務所のプロフィールには〈著作権法や知的財産権法に精通〉〈主に国際的な知的財産権ビジネスに携わる〉とある。そうした弁護士が、どうして無関係の観光や外食、イベントなどの業界向けに実施される「Go Toキャンペーン」についてのレクチャーを受けているのか……。
これはようするに、「テレビに数多く出演するコメンテーター」として政府は八代弁護士にレクチャーをおこなった、ということだろう。
コロナ感染拡大の最中も安倍応援団に「レク」「ご説明」で批判封じに奔走する安倍政権
じつは、官僚は政治家のみならず、新聞社幹部や学者、そして影響力の強いテレビコメンテータ−などに対し、「レク」や「ブリーフィング」と称して「政策のご説明」をおこなっている。
こうした「レク」や「ブリーフィング」をおこなう目的は2つに分かれる。ひとつは「アジェンダセッティング」のためのレク。たとえば、年金や医療費、生活保護費をカットする世論をつくり上げるために、財務省の官僚が「これだけの金がかかる」という資料を持ってマスコミやジャーナリスト、学者に「ご説明を」とブリーフィングをおこなっているのは有名な話。こうした資料と官僚の説明がもととなって新聞の社説や学者による解説が出回り、世論を焚き付け、安倍政権は社会保障費のカットを実行してきた。
そして、もうひとつの目的は、「批判を封じ込める」ことだ。メディアで政権に対する批判が高まった際、コメンテーターなどに対して「ご説明にあがりたい」などと言って政策レクをおこない、そのことで政府の「言い分」をメディアで展開させようとするのだ。
この場合、官僚は「時の政権を厳しく問いただす」「政策の問題点をしっかり指摘する」というジャーナリズムを貫くタイプの人物はハナから相手にしない。基本的には政権に擁護的な人物、あるいは擁護姿勢をとる人物がメディアで批判的なことを口にしはじめるようなことがあると「矯正」のために官僚が駆けつける、というわけだ。
安倍政権の新型コロナ対策に対しては「後手後手だ」という批判が高まり、これまで安倍政権を擁護してきた八代弁護士のような“安倍応援団”でも批判を口にする場面が増えている。とりわけ「Go Toキャンペーン」は第一次補正予算案審議の段階から非難轟々だったため、おそらく所管する経産省が実施前に「レク」という名目の「批判封じ込め」に駆けずり回っているのだろう。
実際、黒川検事長問題などではさすがに政権批判していたような安倍応援団も、「Go Toキャンペーン」については擁護的な発言がここにきて目立ってきている。たとえば本日5日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)でも、元テレビ朝日の細川隆三氏が「Go Toキャンペーン」についてゴニョゴニョと擁護していた。
『モーニングショー』から『アッコにおまかせ!』まで! 内閣官房がテレビ監視
安倍政権がマスコミ対策・批判封じにばかり熱心なのは重々承知だが、本来コロナ対策に奔走すべきこの時期にまで、直接会っているのかリモートなのか知らないが、「レク」に精を出しているとは。
さらに、経産省による「レク」は「Go To」にかぎった話ではないらしい。批判殺到の「アベノマスク」や効果がまだはっきりとしていないアビガンについても、経産省は必死に説明に回っているという話もある。
国民からの批判を受け止めるのではなく、影響力のあるコメンテーターを懐柔し抱き込むことで批判を抑え込もうとする──。ようするに、この新型コロナ感染拡大の最中、政府は世論形成に必死になっているのである。
しかも、政府が言いなりになりそうなコメンテーターや学者、メディア幹部を抱え込もうとする一方、安倍官邸は安倍政権に批判的なテレビ番組の監視に力を注いでいるという問題があきらかになっている。
「週刊ポスト」(小学館)が2号にわたって報じ、すでに大きな関心が寄せられているが、内閣官房の内閣広報室がこのコロナ禍にテレビのニュース番組からワイドショー、情報バラエティまでチェックし、出演者のコメントをつぶさに文書で記録。東京都内の会社員男性がおこなった開示請求によると、開示された文書は2月1日から3月9日までのもので、なんと922枚にも及んだのだ。そしてそこでは、政府のTwitterで名指し批判された『モーニングショー』はもちろん、安倍政権の対策に対して批判もはっきり口にしてきた岡田晴恵・白鴎大学教授が出演した『アッコにおまかせ!』(TBS)までもが監視対象となっていた。
ようするに、内閣官房は新型コロナにかんして、公金を使ってどの専門家・コメンテーターがどんな発言をおこなったかを監視し、誤報やあら探しをおこなっていたのである。さらに、専門家会議の議事録さえ作成していない安倍政権が今回この記録文書を922枚も開示したのも、「しっかり監視している」ということを明らかにすることで番組や出演者にプレッシャーを与えるためだろう。
政府の新型コロナ対策は市民の生活を左右する死活問題であり、それを真正面から検証・批判するのはメディアの責務だ。しかし、それを妨害するかのような安倍政権によるコメンテーターの懐柔と批判的報道に対する圧力──。世論形成にばかりかまけるこの政権に、果たして感染拡大の食い止めや必要な対策を取ることなどできるだろうか。
(編集部)
最終更新:2020.06.05 12:49
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