告発に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
森友新文書5849ページでわかった新事実! 公文書改ざんを生んだ安倍首相逆ギレ発言の舞台裏 しかし肝心の部分はいまだ黒塗り
文書開示を報じた『ゆうがたサテライト』
安倍首相が「終わったこと」にしようとしている森友学園問題で、大きな動きがあった。約8億円も値引きして売却した国有地取引をめぐる行政文書5849ページが開示されたというのだ。
これらの文書は、立憲民主党の川内博史議員が情報公開請求していたものだが、財務省は昨年8月に不開示を決定。だが、この決定に川内議員が不服を申し立て、今年6月、総務省の「情報公開・個人情報保護審査会」が財務省の不開示決定を違法だと判断していた。そして今回、開示されたことをテレビ東京のニュース番組『ゆうがたサテライト』が5・6日の放送で2日つづけて伝えたのだ。
今回、開示された5849ページもの文書は、財務省が作成した国会答弁の想定問答や、近畿財務局が本省である財務省や国交省の大阪航空局とやりとりした応接録など。
たとえば、はじめて総理入りの国会審議で森友問題が取り上げられた、2017年2月17日の衆院予算委員会での安倍首相の答弁。このとき、民進党の福島伸享議員(当時)から昭恵氏と籠池泰典氏の関係について問いただされ、安倍首相が激昂した様子で「私や妻が関係していたら間違いなく総理大臣も国会議員も辞める」と断言したことは、その後の公文書改ざんを引き起こすきっかけにもなり、多くの人の記憶に残っているだろう。ところが新文書によると、じつは財務省が用意した想定問答に書かれていた答弁は、こういうものだった。
「法令及び国有地の処分ルールに基づき、大阪の私学審の設置認可適当の答申を踏まえ、国有財産地方審議会において処分方針の了承を得ているものであり、誰が小学校の校長であるかは関係ない」
しかし、安倍首相は福島議員の追及に激昂し、想定問答を読み上げず、「私や妻が関係していたら間違いなく総理大臣も国会議員も辞める」と断言してしまったのだ。そして、この宣言をきっかけにして公文書の改ざんが進められ、ついには近畿財務局の職員は自殺にまで追い込まれてしまったのだ。
実際、昨年6月6日付の毎日新聞でも、この日の答弁をどうするかを今井尚哉首相秘書官や杉田和博官房副長官らが話し合いをもち、「首相が『自分も妻も問題には関わっていないが、こんな話になって申し訳ない』と言えば済むのではないでしょうか」という提案がなされ、今井首相秘書官がこれを安倍首相に伝えたというが、当の安倍首相が「私も妻もまったく関与していない」と耳を貸さなかった、と報じている。こうしてまわりの進言も無視して陳謝するどころか逆ギレして啖呵を切ったことが公文書改ざんという国家的犯罪の引き金になったことをあらためて考えると、いまだに安倍首相が総理も国会議員も辞めていないことの理不尽さを痛感せずにはいられないだろう。
だが、今回開示された文書でもっとも重要なのは、近畿財務局と財務省のやりとりが記された応接録だ。
一体、財務省は近畿財務局にどういった指示を出し、その結果、国有地が約8億円も値引きされることになったのか。そして、そこに昭恵氏は介在していないのか──。このように近畿財務局と財務省のやりとりは、森友問題の全容を解明する上で、非常に重要な意味をもつものなのだ。
しかし、今回開示されたものは、この肝心の文書が黒塗りにされているというのである。
安倍首相は「膿を出し切る」と言いながら、都合の悪い事実はいまだに隠すとは……。だが、逆にいえばこの黒塗りにされた文書こそが、安倍首相の“アキレス腱”なのである。
籠池夫妻の異常性だけ公表し安倍首相に都合の悪い部分は黒塗りする印象操作
事実、昨年5月に作成された国交省と財務省の協議メモに、政府が近畿財務局と財務省のやりとりを隠蔽することに、どれだけ血道をあげているかがよくわかる記述がある。このメモは財務省が森友学園側との交渉記録(応接録)と改ざん前決裁文書を国会提出することを決めたのと同時期に作成されたものだが、近畿財務局と財務省のやりとりを記した文書について、こう言及されているのだ。
〈役所間のやり取りの公表に先鞭をつけてよいものか、悩ましい。近畿財務局と理財局のやり取りについては、最高裁まで争う覚悟で非公表とするのだろうが、近畿財務局と大阪航空局のやり取りについては、森友問題に限って考えればメリットもあり得る。色々とひどいことを言われたことが明らかになるし、「大阪航空局に言っておく」とした部分の帰結も分かってすっきりする。〉
近畿財務局と理財局のやりとりは「最高裁まで争う覚悟で非公表」とする──。つまり、今回黒塗りにしたことからもあきらかなように、政府は事実を隠蔽しつづける姿勢を一貫して崩していないのだ。
しかも、このメモでは「メリットがあるものは出してもいい」としているが、実際にこのとき財務省が公開した近畿財務局の交渉記録のなかには、籠池諄子氏が近畿財務局の担当者にコースターを投げつけたことや暴言を吐いたということが書かれた箇所があり、これをメディアも大きく取り上げた。こうして「出していいものと絶対に出さないもの」を政府が選別した結果、籠池夫妻を“トンデモクレーマー”として注目させることに成功したのだ。
開示する文書によって意図的に印象操作をおこなうとは姑息にも程があるが、じつはこのやり口は、今回の開示文書からも見て取れるのだという。たとえば、『ゆうがたサテライト』にVTR出演したNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は、政府内のやりとりが黒塗りにされている一方、籠池夫妻と近畿財務局などのやりとりが不自然なほど詳細に公表されている点を指摘している。
「(公表されている)森友学園と財務省のあいだのやりとりというのは、ずっと読んでいくと森友学園側にすごく問題があるように見える記録になっているわけですよね。一方で、(黒塗りされた文書は、政府の)なかの協議の記録なので、自分たちの心象を悪くする要素を出していないのは、ちょっと恣意的というか作為的というか」
つまり、財務省と国交省にメモにあるとおり、政府はなおもミスリードを誘うための情報操作をおこなっているのである。
しかし、「最高裁まで争う覚悟で非公表」にするとまで言っているところを見ると、財務省は近畿財務局のやりとりのなかには、昭恵氏の介在どころか、安倍首相や官邸の関与をも示す重大な事実が書かれている可能性もあるのだ。
「膿を出し切る」と言って憚らない安倍首相には、この黒で塗り潰された部分を開示してもらわないかぎり森友問題は終わらないと、はっきり言っておきたい。
(編集部)
最終更新:2019.11.08 11:59
関連記事
新着 | 芸能・エンタメ | スキャンダル | ビジネス | 社会 | カルチャー | くらし |
斎藤知事が百条委員会欠席で「知事会出席」を理由にするも…前の知事時代には政府主催の知事会を欠席しあの時の懇話会に参加
国民民主・玉木雄一郎の不倫に“政治活動中の公私混同”疑惑が浮上! ヤバすぎる差別体質とビジネス右翼ぶりにも懸念の声
松本人志「訴訟取り下げ」でワイドショーが醜悪な忖度! 吉本御用スポーツ紙は「物証なし」だけ強調し復帰を扇動
萩生田光一ら非公認“裏金”候補に自民党から政党助成金2000万円振込み発覚も…選挙情勢では続々当選の可能性
“裏金”“統一教会”の萩生田光一を応援する極右勢力と有名テレビコメンテーター 一方、新たな裏金疑惑を検察が捜査開始の報道も
石破茂が史上最速で馬脚あらわに! 手のひら返し解散、統一教会も裏金も再調査せず、菅・麻生以外の人事も酷い
安倍首相が統一教会に選挙支援依頼の証拠を朝日がスクープ! 進次郎のバックにいる菅義偉や萩生田光一もあらためて追及せよ
高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! 総務省文書問題、統一教会との関係、政治資金規正法違反をめぐる“大嘘”の数々
傀儡・小泉進次郎が改革できない“キングメーカー菅義偉”の官房機密費疑惑! 不正選挙やメディア対策にも
兵庫・斎藤知事問題で維新の責任を改めて検証! 局長を“自死”に追い詰めた維新県議、課長の自死は吉村肝煎り優勝パレードが原因か
松本人志「訴訟取り下げ」でワイドショーが醜悪な忖度! 吉本御用スポーツ紙は「物証なし」だけ強調し復帰を扇動
『仰天ニュース』“赤木ファイル”特集で安倍政権・公文書改ざん事件の卑劣があらためて注目! 中居正広も「あってはならない」と
ジャニーズ会見で井ノ原の「ルール守って」発言賞賛と記者批判はありえない! 性加害企業が一方的に作ったルールに従うマスコミの醜悪
ジャニーズ性加害でジュリー社長辞任もテレビ局は検証放棄! 局内での行為が疑われるテレ朝とNHKの無責任な姿勢
ジャニーズ性加害問題で露わになったテレビ局の共犯性! ジュニアの練習場を提供したテレビ朝日はジュリーの謝罪後も批判なし
坂本龍一が最後まで中止を訴えた「神宮外苑森林伐採・再開発」の元凶は森喜朗! 萩生田光一も暗躍、五輪利権にもつながる疑惑
れいわから出馬 水道橋博士が主張する「反スラップ訴訟法」の重要性! 維新・松井だけでなく自民党も批判封じ込めで訴訟乱発
自公維新が提出「国民投票法改正案」にネットで批判の声広がる! 小泉今日子も〈#国民投票法改正案に反対します〉と投稿
三浦瑠麗が「医者はワイドショー見てコロナ怖がりすぎ」と医療従事者を嘲笑! 専門家から反論されると半笑いで「私、医者じゃないんで」
Netflix版『新聞記者』の踏み込みがすごい! 綾野剛が森友問題キーマン官僚に、安倍御用ジャーナリストはあの人が…
国民民主・玉木雄一郎の不倫に“政治活動中の公私混同”疑惑が浮上! ヤバすぎる差別体質とビジネス右翼ぶりにも懸念の声
“裏金”“統一教会”の萩生田光一を応援する極右勢力と有名テレビコメンテーター 一方、新たな裏金疑惑を検察が捜査開始の報道も
窮地の岸田首相が一番頼りにしているのはあの「Dappi」“仕掛人”説の自民党・元宿仁事務総長!「日本の黒幕」特集本が暴いた新事実
兵庫・斎藤知事の「パワハラ告発職員」追いつめに維新県議が協力していた! 職員は吉村知事肝いり「阪神優勝パレード」めぐる疑惑も告発
“既成政党に与しない”石丸伸二の選対本部長は「自民党政経塾」塾長代行! 応援団筆頭に統一教会系番組キャスターの元自民党職員も
小池百合子が都幹部だけでなく“最側近”を天下りさせていた!「大日本帝国憲法復活」「国民主権を放棄せよ」の請願に関与の元特別秘書
大阪万博建設現場のメタンガスが急増し1日2tも発生! 3月の爆発事故では「通報遅れ」「天井破損」を隠蔽していたことが発覚
萩生田光一が裏金問題で提出した「領収書の嘘」が発覚! 安倍元首相が「官房機密費100 万円を参院候補者に手渡し」報道も
吉村知事はガス爆発でも開き直り「他区域ではガスが出ない」と大嘘! 地下鉄工事でメタンガス確認、大阪市も発生可能性認めたのに
吉村知事が「万博出禁」と攻撃した玉川徹のコメントはどれも当たり前の指摘ばかり! 吉村の言論弾圧体質はプーチン並み
維新ゴリ押し 万博&カジノにかかる金はインフラ整備を含めると8000億円以上だった! 大半が国と大阪市の負担、巨額の税金も投入
防衛費増額の財源で「法人税」を削除し「国民全体の負担」だけにした政府有識者会議は読売社長、日経元会長、朝日元主筆がメンバー
菅首相の追加経済対策の内訳に唖然! 医療支援や感染対策おざなりでGoToに追加1兆円以上、マイナンバー普及に1300億円
菅首相のコロナ経済支援打ち切りの狙いは中小企業の淘汰! ブレーンの「中小は消えてもらうしかない」発言を現実化
菅首相の追加経済対策が“自助”丸出し! コロナ感染対策は10分の1以下、大半が新自由主義経済政策に…坂上忍も「バランスおかしい」
悪評「マイナポイント」事業の広報費は54億円、1カ月で半分を浪費! 事務局事業も電通がトンネル法人通じて140億円
三浦瑠麗のアマプラCMは削除されたが…amazonもうひとつの気になるCM! 物流センター潜入取材ルポが暴いた実態とは大違い
安倍首相“健康不安”説に乗じて側近と応援団が「147日休んでない」「首相は働きすぎ」…ならば「147日」の中身を検証、これが働きすぎか
正気か? 安倍首相の諮問機関「政府税調」がコロナ対策の財源確保と称し「消費税増税」を検討! 世界各国は減税に舵を切っているのに
東京女子医大がボーナスゼロで400人の看護師が退職希望! コロナで病院経営悪化も安倍政権は対策打たず加藤厚労相は “融資でしのげ”
斎藤知事が百条委員会欠席で「知事会出席」を理由にするも…前の知事時代には政府主催の知事会を欠席しあの時の懇話会に参加
萩生田光一ら非公認“裏金”候補に自民党から政党助成金2000万円振込み発覚も…選挙情勢では続々当選の可能性
安倍首相が統一教会に選挙支援依頼の証拠を朝日がスクープ! 進次郎のバックにいる菅義偉や萩生田光一もあらためて追及せよ
高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! 総務省文書問題、統一教会との関係、政治資金規正法違反をめぐる“大嘘”の数々
傀儡・小泉進次郎が改革できない“キングメーカー菅義偉”の官房機密費疑惑! 不正選挙やメディア対策にも
兵庫・斎藤知事問題で維新の責任を改めて検証! 局長を“自死”に追い詰めた維新県議、課長の自死は吉村肝煎り優勝パレードが原因か
自民党総裁選広告「THE MATCH」は「おじさん」どころか「腐敗ジジイの詰め合わせ」だ! 担当の平井広報本部長は親族ぐるみ税優遇
岸田首相「総裁選不出馬」にごまかされるな! 後継候補の河野太郎、高市早苗、石破茂、小泉進次郎、小林鷹之の欺瞞
都知事候補討論会ですっとぼけるも…小池百合子に清和会時代、裏金を受け取っていた可能性が浮上! 派閥上納額は安倍を超える120万円
裏金裁判で安倍派幹部たちの嘘が明らかに! 抜け穴だらけの政治資金規正法改悪で幕引き図ろうとする自民・岸田政権
瀬戸内寂聴が生前、語っていた護憲と反戦…「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥」と語り、ネトウヨから攻撃も
「BTSグラミー賞逃す」報道に「韓国人のニュースいらない」「日本人の受賞を報じろ」と炎上攻撃が! 日本スゴイの精神的鎖国
ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』を読めば、安倍首相が病気で辞任ししたのでなく国民が声をあげ追い詰めたことがよくわかる
百田尚樹が「安倍総理にお疲れ様とメールしても返信なし、知人には返信があったのに」とすねると、2日後に「安倍総理から電話きた」
村上春樹が長編小説『騎士団長殺し』とエッセイ『猫を棄てる』に込めた歴史修正主義との対決姿勢! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
村上春樹がエッセイ『猫を棄てる』を書いたのは歴史修正主義と対決するためだった! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
安倍首相に利用された星野源がエッセイに書いていた“音楽が政治に利用される危険性” 「X JAPANを使った小泉純一郎のように」
“宇予くん”で改憲煽動のJCと手を組んだTwitter Japanはやっぱり右が大好きだった! 代表は自民党で講演、役員はケントに“いいね”
ウィーン芸術展公認取り消しを会田誠、Chim↑Pomらが批判! あいトリ以降相次ぐ“検閲”はネトウヨ・極右政治家の共犯だ
「ノーベル賞は日本人ではありませんでした」報道で露呈した日本の“精神的鎖国” 文化も科学もスポーツも「日本スゴイ」に回収
幸福の科学出家騒動は清水富美加個人の責任なのか? カルト宗教信者の子どもたちが抱える問題
話題の本『夫のちんぽが入らない』のタイトルに込められた深い意味…しかし一方では広告掲載拒否の動きが
福島の子ども甲状腺がん検診「縮小」にノーベル賞の益川教授らが怒りの反論! 一方、縮小派のバックには日本財団
介護殺人に追い込まれた家族の壮絶な告白! 施設に預ける費用もなく介護疲れの果てにタオルで最愛の人の首を…
宇多田ヒカル「東京はなんて子育てしにくそう」発言は正しい! 英国と日本で育児への社会的ケアはこんなに違う
今もやまぬ人工透析自己責任論の嘘を改めて指摘! 糖尿病の原因は体質遺伝、そして貧困と労働環境の悪化だった
『最貧困女子』著者が脳機能障害に! 自分が障害をもってわかった生活保護の手続もできない貧困女性の苦しみ
雨宮塔子が「子ども捨てた」バッシングに反論! 日本の異常な母性神話とフランスの自立した親子関係の差が
『NEWS23』に抜擢された雨宮塔子に「離婚した元夫に子供押しつけ」と理不尽バッシング! なぜ母親だけが責任を問われるのか
小島慶子が専業主夫の夫に「あなたは仕事してないから」と口にした過去を懺悔!“男は仕事すべき”価値観の呪縛の強さ
人気記事ランキング
カテゴリ別ランキング
社会
ビジネス
人気連載
アベを倒したい!
ブラ弁は見た!
ニッポン抑圧と腐敗の現場
メディア定点観測
ネット右翼の15年
左巻き書店の「いまこそ左翼入門」
政治からテレビを守れ!
「売れてる本」の取扱説明書
話題のキーワード