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安倍首相がラグビー南アフリカ戦の後「夢のような一ヶ月間」と無神経ツイート! 2つの台風で被害受けた国民を無視する冷酷
ラグビーW杯当日の安倍首相Twitter
長野県や福島県、宮城県など広範囲にわたって深い爪痕を残した台風19号。浸水や全半壊など被害を受けた住宅は5万6000棟と西日本豪雨の被害数を超えた上、明日にかけて近畿から東海、関東甲信などで激しい雨が降るおそれもあり、さらなる警戒が求められている。
被災地では依然として不安な日々がつづくが、しかし、そんななかでまたも安倍首相が唖然とするようなツイートを投稿した。
〈日本代表の皆さん、たくさんの感動をありがとう。
夢のような一ヶ月間でした。堂々たるベスト8。アジアで初めて、ここ日本で開催されたワールドカップで、世界の強豪たちを相手に日本の実力を示してくれた皆さんを、大いに誇りに思います。
ありがとうございました。〉
夢のような一ヶ月間……? 言っておくが、先月のいまごろは台風15号の影響で千葉県内では災害発生から約10日も経っていたというのに停電や断水がつづいていた。そして、今月12日に上陸した台風19号では死者が81人にのぼり、いまも4000人以上の人が避難生活を強いられている。
そうした現実があるというのに、それをまるで無視するかのように、ラグビーワールドカップの日本対南アフリカ戦が終わるやいなや、さっそく〈夢のような一ヶ月間〉とメッセージを発信する──。とてもじゃないが総理大臣の振る舞いとは思えない醜悪さだ。
だいたい、この日、安倍首相は被災地である長野県を視察し、千曲川の堤防が決壊した長野市穂保地区で黙祷をおこなったばかりだった。そんな日の夜に、どうして〈夢のような一ヶ月間〉などというメッセージを発信できるのか、神経を疑わざるを得ない。
しかも、こうした無責任、無神経を安倍首相は繰り返してきた。
事実、この台風19号の発災からわずか2日ほどの14日、安倍首相は16時44分からおこなわれた非常災害対策本部会議で「とにかく人命第一だ」「夜を徹して作業に当たってほしい」などと指示しておきながら、自分は17時34分に首相官邸を後にし、富ヶ谷の私邸に帰宅。そして、ラグビー日本代表がスコットランド戦に勝利してわずか約10分後に、こうツイートした。
〈東日本大震災でもスポーツの力を実感しましたが、世界の強豪を相手に最後まで自らの力を信じ、勝利を諦めないラグビー日本代表の皆さんの勇姿は台風で大きな被害を受けた被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれるものだと思います。日本代表初の決勝トーナメントでのご活躍を期待しています。〉
人命救助の分岐点である発災後72時間以内という一刻を争うなかにあって、〈被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれる〉などと台風被害をすっかり過去の扱いにして、上から目線で被災者を説教する……。信じられない態度だが、これだけではない。
安倍首相は、ラグビーワールドカップが開幕を迎えた9月20日、日付が変わったばかりの深夜0時すぎに動画を投稿。これはロシア訪問以来約2週間ぶりとなるTwitter更新だったのだが、それは安倍首相がラグビー日本代表のTシャツを着こんで「いよいよラグビーワールドカップが、ここ日本で開幕します!」と宣言するなんともノーテンキな動画だった。この夜、台風15号の被害によって約2万戸が停電状態にあったのに、である。
さらに、同日、開幕戦の日本対ロシア戦がおこなわれた9月21日にも、〈トライに次ぐトライで見事な大勝利。本当に素晴らしい熱戦で、ずっとエキサイトしっぱなしでした。日本代表の皆さん、おめでとう!〉とツイートしたのだった。
安倍首相の避難所視察はわずか30分、4日もかかったのに段ボールベッド支援を自慢
言っておくが、安倍首相は台風15号について、いま現在にいたるまでただの1度もTwitterでメッセージを発信せず、被災地視察さえおこなっていない。これは初動対応を見誤り、被害拡大が伝えられても内閣改造を延期もせずに実施したことへの批判が高まることを避けるために無視しているとしか考えられないが、そうやって被災地を無視して、何事もなかったかのように安倍首相はラグビーワールドカップのお祭りムードをつくり出したのだ。
そして、台風被害で大切な人を失った人も多くいるなかで発した、〈夢のような一ヶ月間〉というメッセージ──。しかし、この無神経さ、無責任さは、Twitter上だけのものではない。
〈夢のような一ヶ月間〉と発信した昨日、安倍首相は前述したように長野県の被災地を視察し、自身のTwitterアカウントでも写真付きでそのレポートをおこなっていたのだが、これがたんなる「やってる感」の演出であることはあきらかだった。
たとえば、安倍首相は午後に長野市の北部スポーツ・レクリエーションパークと思われる避難所で子どもたちと「黒ひげ危機一発」に興じる場面や、避難者の話を神妙な面持ちで聞いているような場面の写真を投稿し、こう書き綴っていた。
〈長野市の避難所では、段ボールベッド、電気毛布などのプッシュ型の支援物資に加え、おもちゃなども届けられ、子どもたちの元気な笑顔に出会うことができました〉
〈時々刻々変化する現場のニーズを踏まえた生活支援に引き続き全力をあげるとともに、公営住宅など安心して暮らせる住まいへ、一日も早く移っていただけるよう、自治体とも協力して取組を加速していきます。〉
しかし、動静を確認すると、この避難所にいた時間はわずか30分程度。しかも、〈段ボールベッド、電気毛布などのプッシュ型の支援物資に加え、おもちゃなども届けられ〉などとプッシュ型支援による災害対応を誇っているが、報道によると、この避難所に段ボールベッドが届けられたのは16日午後のこと。つまり、避難が開始された12日夜から約4日も経ってのことだ。
高齢者や障がいを持った人にとっては必要最低限の段ボールベッドが避難から4日も経って配備されているようでは「迅速な対応」とはとても呼べないが、そうした問題点にはふれずに、安倍首相はただ成果を誇るだけなのだ。そして、繰り返すが、台風15号の被災地にはいまだに足を運んでさえいないのである。
世界的な気候変動によって災害リスクは高まるばかりだが、そんななかで災害対応に本腰も入れず、被災地や被災者のことを無視してスポーツの日本代表の健闘にうつつを抜かし、〈夢のような一ヶ月間〉と言ってしまう総理大臣。災害対応の舵取りをこの男に任せていて、いいわけがないだろう。
(編集部)
最終更新:2019.10.21 11:31
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