天皇の甥にあたる“神社本庁の最高権威”に内部から怪文書攻撃! 不正追及された主流派が居座りのため反撃か

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神社本庁公式サイトより


 靖国神社の小堀邦夫宮司による“天皇批判”発言と辞任、本サイトでも追及してきた神社本庁・田中恆清総長ら幹部による「不動産不正取引疑惑」など、不祥事が続発している神社界。そんななか、今度は内部から“神社界の最高権威”への怪文書攻撃が展開されているらしい。

「最近、出所不明の怪文書が複数とびかっているのです。そのなかに鷹司(尚武)統理を名指して罵倒するという内容が含まれています。その表現や内容からして内部から出てきたものとしか思えません」(都内神社の神職)

「統理」といえば、神社本庁において名誉上の最上位に位置する役職だ。「田中総長が事務方のトップで最高権力者なら、鷹司統理は象徴的なトップで最高権威」と説明するのは前出の神職。

 統理には代々、旧皇族や旧華族が就くのがもっぱらで、現在の鷹司尚武氏は、NEC通信システム社長や神社本庁が「本宗」と位置付ける伊勢神宮の大宮司などを歴任、今年5月に統理に就任した。五摂家(藤原氏嫡流で関白になれる資格を有した名家)のひとつである鷹司家の28代目当主にして、今上天皇の「義理の甥」(昭和天皇の第3女の養子)だ。神社界では“やんごとなきお方”であるからこそ、怪文書とは「すわ、ただ事ではない」と神職らが慄くのである。

 本サイトは今回、その怪文書のうちのひとつを入手した。「神社“真”報(第1回)」なるタイトルで、全9枚の代物だ。神社本庁の機関紙的専門紙「神社新報」をもじっているのは明らかだが、当然のことながら、署名や所属を表す記載はいっさいない。

 内容のメインは、「神社新報」の報道姿勢を糾弾するものだが、そこに鷹司統理へのこんな悪口が書き連ねられているのだ。

〈まさに、ルールを無視する“暴走列車”の「パワハラ」と言っていい〉〈一連の行動を眺めてみれば、まさに「豹変できない“なんちゃって”元ビジネスマン」である〉〈「意見を先鋭化」し、「混乱」を導いているのはほかならぬ統理様である〉〈しかも、理解力のない一言居士だ。(略)この方は脳で考えることをせず、「脊椎反射」しか行っていないのではないだろうか〉〈一体、統理と『神社新報』の存在価値とは何なのだろうか〉

 日頃「日本の心」だの「道徳」だの唱えている神社界の、しかも統理相手とは思えない下品な描写だが、ただし、今回の怪文書は鷹司統理がなにか不祥事を起こしたというわけではない。むしろ、構図は逆だ。鷹司統理は、冒頭でも触れた「神社本庁・不動産不正取引疑惑」をめぐり、田中総長ら幹部の責任を追及しようとしており、その結果、反撃を受けているようなのだ。

 簡単に振り返っておくと、この不動産不正取引疑惑とは、神社本庁が所有する宿舎を競争入札へかけずに不可解な低価格で売却し、それを買い取った業者が即日、第三者に高額で転売していたことに端を発する問題。これをめぐり、田中総長や「神社本庁の影のドン」(神社関係者)と呼ばれる打田文博・神道政治連盟会長ら上層部の関与疑惑、業者との癒着関係を指摘する告発がなされたのだが、神社本庁は2017年、その内部告発をした元職員らを懲戒処分にして“報復”。元幹部職員は処分無効等を求める民事訴訟を起こしており、現在も係争中だ。

 この不動産不正取引疑惑と告発職員を処分するなどの強権支配については、ダイヤモンド社のウェブメディア「ダイヤモンド・オンライン」や本サイト、複数の週刊誌・情報誌などが取り上げてきたこともあって、神社界でも田中総長に責任を問う声が上がっている。

辞意を撤回した田中総長に対して厳しい批判をしていた鷹司統理

 そんななか、今年9月11日に行われた神社本庁の役員会では、理事から裁判の和解方針の決議が提案されるなど議論が紛糾。その席で田中総長が「これ以上、皆さんがたからいろんな意味で暗に批判されるようなことは耐えられません」と発言し、ついに辞意を表明したのである。田中総長が引責辞任することで、神社界の混乱は徐々に収束に向かうかに思われた。

 ところが、田中総長はその後に辞意を撤回。本サイトでも既報のとおり、10月9日には「今後も総長の職務を全う」する旨などを記した文書を各神社庁に通達して、なんの責任も取らずに総長の座に居座り続けているのである。

「田中総長は例の辞意表明のあと、側近職員らから取り消すよう強く説得されていたようですが、この慰留にも打田(神政連会長)さんの働きかけがあったとささやかれています。こうしたなかにあって、鷹司統理は田中総長の前言撤回を快く思わず、公然と総長辞任を促す発言をなされたのです」(神社本庁関係者)

 それが神社界で広く知られることになったのが、「神社新報」(10月22日付)の取材に対して鷹司統理が述べた発言だ。

「私としてはあくまで九月十一日の(田中総長の)発言を真摯に受け止めて尊重したいとふ気持ちで、それは今後も変わらない。一般的には口頭での辞任の意思表示でも法的に有効とされるものであって、責任ある立場の者が朝令暮改のやうに前言を翻すことはあってはならない。とくに神職の世界ではそのやうなことはないものと信じてをり、いづれ然るべき時期に辞表の提出があるものと思ふ」

 前出の神社本庁関係者によれば、「統理が総長へ直接的に辞任を促されるのは異例中の異例。近年の本庁と神社界の状況を深く憂慮されていることの表れでしょう」という。また、鷹司統理がここまで踏み込んだのは、神社本庁が総長の任命権を持つ統理の了解を得ずに田中総長続投の通達文書を出したことに対する不満など、田中総長による“強権支配”への不信感もあるのだろう。

12月19日の役員会では改めて、田中総長の解任動議が?

 事実、今週発売の「週刊文春」(文藝春秋)2018年12月20日号が、その鷹司統理の“怒りの肉声”をレポートしている。「週刊文春」によれば、11月24日の役員会で鷹司統理は20人弱の出席者を前にこう述べたというのだ。

「(辞意撤回の通達文について)文書を出すに当たって統理の了解を取ってないんですね。私は知らないんですよ。そういうのが出たっていうのを後から聞いてね……。(中略)総長の進退問題を扱っているにもかかわらず、統理に知らせなくていいんだっていうのが本当に不思議なんですね。本庁の決裁のメカニズムっていうのが、やっぱり歪んでいる」

 しかし、田中総長も打田会長もこうした“最高権威”からの勧告にもかかわらず、一向に責任を取ろうとしなかった。それどころか、組織内の引き締めをはかり、異論をますます封じ込めようとしてきたのだ。

 そして、そんななか、飛び出したのが、今回の鷹司統理に対する怪文書だった。今回の怪文書に田中総長らが直接関わっているかどうかは不明だが、その文面を見る限り、不動産不正取引追及の動きへのカウンターとしてまかれたのは明らかだ。

 神社本庁は普段、「日本の伝統と文化を守り伝える」などと言っているが、一皮むけば、実態はカネと利権まみれ。しかも、疑惑を追及しようとした職員を解雇にしたり、幹部の責任追及の動きを怪文書で封じ込めようとしているのだから、開いた口がふさがらない。例の怪文書を読んだとある神職は、ため息混じりにこう語った。

「こんなことが繰り返されると、神社の信頼がどんどん落ちていくだけ。相次ぐ不祥事の責任をとらず、権力に固執し続ける田中総長たちこそ、ハタから見れば『“なんちゃって”聖職者』と思われても仕方ないでしょう」

 現場の神職たちからは「こんな内輪揉めをしている場合ではない」という声も上がるなか、12月19日に予定されている本庁役員会では、あらためて田中総長の進退が問われるとの情報もある。本サイトでは疑惑の“本丸”である不動産不正取引疑惑もふくめ、今後も真相追及とレポートを継続していく。

最終更新:2018.12.15 06:19

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