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安倍内閣が「柳瀬元首相秘書官と愛媛県の面会確認は困難」の閣議決定! 裏で今治市の2つの証拠文書を隠ぺい
首相官邸HP
なんでも言い切れば許されるとでも思っているのだろうか。18日におこなわれた閣議で、政府は麻生財務相の「セクハラ罪っていう罪はない」という発言の撤回と謝罪を求めた質問主意書に対し、「現行法令において『セクハラ罪』という罪は存在しない」との答弁書を閣議決定した。
「セクハラ罪」がこの国にないことくらい、誰でも知っている。問題となっているのは、麻生太郎財務相が「殺人とか強制わいせつとは違う」などと述べたように、セクハラを軽んじる趣旨の発言だったからだ。それを撤回も謝罪もせず、政府も麻生大臣と同じように、ふてぶてしく「そんな罪は存在しない」とダメ押しするとは……。
しかし、18日の閣議ではもうひとつ、度肝を抜くような決定がなされた。なんと、柳瀬唯夫・元首相秘書官が2015年4月2日に官邸で愛媛県関係者と面会していたのかを確認することは「困難」だというのである。
いやいやいや、しっかり面会記録を作成し、交換した名刺もきちんと保存していた愛媛県職員の証言を精査すればわかることだ。曖昧な記憶しかない柳瀬氏とは違い、愛媛県の中村時広知事は「県の職員はまさにメインテーブルに座っていた。こちら側は6人で、真ん中を含めて右側3人が愛媛県職員。後ろじゃなく対面。一番真ん中のうちの一人が県職員」と具体的に対面時の配置まであきらかにしている。
しかも、中村知事は要請があれば国会に出る意向まで示しているのに、与党がそれを強固に拒否。にもかかわらず、愛媛県関係者との面会確認は困難だと閣議決定してしまう。──「決定したんで」という一言で押し通し、幕引きしようという魂胆がみえみえだ。
だが、2015年4月2日の官邸訪問を裏付ける文書は、まだある。この問題があきらかになる発端となった、今治市の「復命書」だ。
この復命書は、今治市の企画財政部企画課長と課長補佐が4月2日の東京出張を市長に対して報告しているもので、そのなかの「旅行行程」のページには、15時〜16時30分まで首相官邸で「獣医師養成系大学の設置に関する協議」がおこなわれたと記されており、今治市も「2015年4月2日に愛媛県職員と本市職員が官邸を訪問したことは事実」と認めている(AERA dot.4月16日更新記事より)。
しかし、問題は、この文書がほとんど黒塗りとなっている、ということだろう。すでに獣医学部が開学しているいま、黒塗りにして隠す理由はないにもかかわらず、今治市は昨年、情報公開請求に対し「全面非開示」を決定。愛媛県文書が出てきたときには、菅良二市長は市職員が官邸で柳瀬氏と面会したかどうかについて「コメントは控える」とし、「国と県は一緒に取り組んできた仲間なので、迷惑をかけることができない」と述べた。
今治市が隠した国家戦略特区WG「復命書」の“加計ありき”記述
さらに、今治市は、2015年6月5日におこなわれた国家戦略特区ワーキンググループによるヒアリングに市職員が出席した際の「復命書」を“改ざん”した可能性も指摘されている。加計疑惑発覚前の2016年12月に情報公開請求で部分開示されたものと、発覚後の2017年6月に全開示されたものでは、押された印鑑の数や位置が違うだけでなく、出席者を記した行が14行から9行に減っており、さらには約3ページにわたって綴られている議事要旨が、全開示された際にはなぜか1ページでおさまっているのだ。
しかも、「今治市民ネットワーク」共同代表の村上治氏は、この文書を起案した今治市の企画財政部課長補佐は「内閣府の指示を受けて書き換えた」と話していた、と証言している。
すでに、この2015年6月5日のWGによるヒアリングには加計学園関係者が出席していたこと、そしてWGの議事要旨ではそのことが伏せられていたことが昨年8月に判明している。つまり、今治市は加計学園関係者が出席していたことを復命書に記載していたが、それではWGの議事要旨と整合がとれなくなるために、今治市に書き換えさせた、ということだ。
そして、ここで問題となるのが、3ページから1ページに書き換えられた今治市文書の議事要旨の内容だ。ここには、WGの議事要旨には書かれていない加計学園関係者の発言、あるいは「加計ありき」を裏付ける内容が記載されていた。その可能性が非常に高いのだ。
「膿を出し切る」と言うのであれば、「面会を確認できない」などと閣議決定する前に、まずは中村知事を国会に招致し、さらにこの今治市に残された2つの「復命書」を、黒塗りを取り除き、改ざん前のバージョンで開示することを要請するべきなのだ。
室井佑月「口にきな粉ついてるのに『食べたとこ見てないだろ』と言い張ってる」
だが、安倍首相はもはや“加計問題は終わった”という態度に終始。その上、17日おこなわれた衆院内閣委員会では「前川前次官も含めて、私から指示や依頼を受けた人は一人もいない」と答弁した。前川氏は15日に文書で「私は加計学園獣医学部新設を安倍首相自身の強い意向だという認識をもっていた」とする反論文を出し、「私の名前に言及することは極めて心外であり、私の名前をこのように使わないでいただきたい」と公表したが、安倍首相はそれを無視して、またも前川氏の名前をもち出して加計問題を正当化したのだ。
部下に無理筋の答弁をさせ、謀略によって貶めた相手の主張をねじ曲げて自己正当化の道具にし、誰もが虚偽とわかる嘘を吐きつづける。──この異常な状態を、的確に言い表した者がいる。作家の室井佑月氏だ。
室井氏は2018年5月11日放送『大竹まこと ゴールデンラジオ』(文化放送)で、柳瀬氏の国会答弁を、このように表現した。
「その場に一人しかいなくて、テーブルの上のきな粉餅がなくなってて、そいつの口のまわりにきな粉がいっぱいついてるんだけど『食べたところ見てないだろ!』って言われたら。その感じなんだよ」
まさに言い得て妙であり、これは「加計孝太郎理事長と獣医学部の話はしていない」などと言い張る安倍首相にも同じことが言えるだろう。しかし、膝を打っている場合ではない。この室井氏の発言を受けて、ジャーナリストの青木理氏は、こうつづけた。
「口の周りにきな粉をいっぱいつけているくせに『俺は食っていない!』って言うようなことが、一般でも通らないのに、国会や国政の場で通ってしまうと、この社会の根本的なモラルもそうだし、民主主義社会の基盤が壊れていっちゃうという意味でいうと、ものすごく重大なこと」
公文書の改ざんしかり、セクハラ暴言しかり、この加計問題での政治の私物化しかり。一般社会ではけっして許されないのに、国の中枢が「やってない」「問題ない」「わからない」などという強弁や言い訳でやり過ごそうとしている。いま、日本大学アメリカンフットボール部の問題と安倍政権の対応の類似性が指摘されているが、安倍首相を黙認するということは、不正義がまかり通る社会を許すことになるのだということを、よくよく考えなければいけないだろう。
(編集部)
最終更新:2018.05.19 10:56
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