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共謀罪、強行成立の横暴に著名人たちが怒りの声!赤川次郎、中原昌也、末次由紀、平野啓一郎、アジカン後藤、ウーマン村本、ケラ……
自由民主党HPより
今朝、共謀罪法案が強行採決された。安倍晋三首相や金田勝年法務大臣をはじめ、政権側は国会の場でまともな答弁ができず、どころか、「テロ対策のための法案」や「一般人は対象にならない」など、嘘に嘘を塗り重ねた。
杜撰かつ、あまりに危険な法案には異議を訴える声が多く出たが、ご存知の通り、与党は「中間報告」という異例の手段を使って、参院法務委員会での審議、採決をすっ飛ばし、共謀罪法案を一気に参院本会議で強行採決した。
公権力による恣意的な解釈が横行する危惧や、表現の自由を侵害する危険性など、「平成の治安維持法」とも呼び称されるこの法案の数多ある問題点はすべて無視されたままだ。
こんな重大法案に禁じ手とも言われる手段まで使って急いだのは、加計学園をめぐる追及から逃れるためなのは誰の目にも明らかで、我々は安倍政権の手によって民主主義・立憲政治が殺された決定的瞬間を目撃したことになる。
そんな憂うつな朝、本日付の朝日新聞朝刊にこんな文章が載っていた。
〈安倍さん、あなたが「改憲」を口にするのは100年早い〉
この言葉の主は、作家の赤川次郎氏。なんと、赤川氏は朝日新聞の「声」欄に「作家 赤川次郎」の名で投稿。彼は、第二次世界大戦中の戦争犯罪を否定する極右カルト政権に「共謀罪」という武器を与えてしまったことの危険性を指摘。そして、立憲政治の何たるかをまるで理解していない安倍政権に対し、〈「改憲」を口にするのは100年早い〉と怒りを叩き付けたのだ。
赤川氏は安倍政権の歴史修正主義、軍国主義を批判したうえで、共謀罪についてこう批判している。
〈その人々が今手にしようとしている最悪の武器が、戦前の治安維持法に重なる「共謀罪」法である。これがなければ五輪が開けない? ならば五輪を中止すればよい。たったひと月ほどの「運動会」のために、国の行方を危うくする法律を作るとは愚かの極みだ。五輪は終わっても法律は残るのだ。
法案に賛成の議員は、自分が後の世代に災いをもたらそうとしていることを自覚しているのか。〉
末次由紀、アジカン後藤、平野啓一郎、八嶋智人、ロマン優光らの表明した怒り
民主国家の根底を覆す共謀罪という法律、そして、国民を軽視した国会運営には、小説家、漫画家、映画監督、俳優、ミュージシャン、ライター、お笑い芸人など、ジャンルを問わず多くのクリエイターがツイッターを通して疑義の声をあげた。
共謀罪が対象としているのは「テロ組織」などではなく、「権力に楯突く人全員」であることは明白で、それは、ありとあらゆる表現を萎縮させることにつながる。文化・芸術の発展を著しく後退させ、また、この国を誰も権力者に向かって一切物言うことの出来ぬ「ディストピア」に変えてしまう恐れがある。近年のメディアにおける「自主規制」や「忖度」の状況を見れば、その「ディストピア」化はすでに進行しているものであり、これは「表現」で生きている人間、ひいてはこの国の社会にとって死活問題である。
だから、安倍政権の強権的な姿勢はもはや看過できるものではない。『ちはやふる』でおなじみの漫画家の末次由紀氏はこのようにツイートしている。
〈共謀罪には反対です。こんなに権力が信用できず気持ち悪いと思ったのはこれまでで一番です。私たち、バカにされすぎではないか。〉
小説家の平野啓一郎氏も同様に、共謀罪と独裁的な国会運営は安倍政権支持とか不支持のレベルを超えていると問題視した。
〈色んな理由で現政権を支持している人も、せめてこの法律と昨日の国会は、理性的に否定すべきではないか? まともじゃない。〉
ロックバンド・ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文氏は、かねてより共謀罪のあり方に疑問の声をあげ続けていたが、最終的には安倍首相のスキャンダルを隠すために国会での議論がないがしろにされたという結末に絶望の声を漏らした。
〈権力者とその周辺の何かを必死に隠匿したり、綻びを取り繕うために、議論を省略して採決が行なわれた。本当に目眩がする。虚しい。〉
俳優の八嶋智人氏は、与党のなかにも、さすがにこの状況には快く思っていない人もいるのではと推察。このように語りかけていた。
〈さすがに酷いなぁと渦中に居て心を痛めている議員さんもいるのじゃないかと思ってしまうのです。仮にこれが正しく国を導く方法だと思う方もおられるなら、やっぱりその真意を真摯に説明してもらいたいのです。僕らの仕事にも影響ある事だから。もっときちんと聞かせて欲しいのです。慌てないで。〉
ミュージシャン、ライターのロマン優光氏もまた、唯々諾々と党の方針に従い、「数の暴力」に加担した議員たちに言葉を投げかける。
〈ここから起こる様々な混乱に責任持たず手柄顔で退場していくかと思うと腹立たしいし、党の方針だからって反対せずにいた人たちが後になってからなんか言ってきても、さすがにそれをハイハイとは聞けないような出来事だよ。〉
デーブ・スペクター、中原昌也、ウーマンラッシュアワー村本らも声をあげる
タレントのデーブ・スペクター氏は、彼らしく、こんなダジャレで自民党の横暴を批判した。
〈自民党のやり方こそ凶暴罪〉
小説家、ミュージシャン、映画評論家の中原昌也氏もまた、政権に批判的な言説が取り締まられる危険性を指摘。さらに、官邸による安倍首相御用ジャーナリスト山口敬之氏の準強姦逮捕状潰し疑惑にも言及、政権の理不尽を綴った。
〈共謀罪が成立すれば、反対するあまり自分は共謀罪を犯す可能性がある。大いにある。
史上最悪の首相に対する殺意に近い憎しみを持つのは、この国では野放しレイプ野郎より、よっぽど大罪なんだろうね。〉
お笑いコンビ・ウーマンラッシュアワーの村本大輔氏は、「goverment」という英単語を題材にした言葉遊びの皮肉をツイート。お笑い芸人としての矜持を見せた。
〈朝から英語勉強中。
たまたま政府を英語にしたらgovernmentと出た。
mentを抜いたら「支配する」になった
さっきニュースみたら共謀罪が成立してた〉
強い言葉で非難の声をあげる人がいる一方、『逃げるは恥だが役に立つ』の漫画家、海野つなみ氏は、このような控えめな言葉をツイート。しかし、共謀罪に対しての疑義は確実に読者に届いているはずだ。
〈私にできることは何もないけど、せめてUSJで買った魔法の杖にお願いしてみよう。〉
劇作家の宮沢章夫氏は、このような政権のやりたい放題が許される状況で成立した法律は、運用の段階でも公権力のやりたい放題が許されるだろうという未来予測を示唆。怒りをぶちまけた。
〈でたらめな手続きで成立する法案は、どんなにでたらめに適用されるのか。もう始まってるよ、でたらめが。〉
映画監督の松江哲明氏は、政権の横暴が放置される状況には市民も怒るのは自然なことだと綴っている。
〈カルトとベタベタの政権が、いろんな声を無視し、強行する状況が不安なのはみんな一緒な気がする。だから反対もされるし、「大丈夫ったら大丈夫なんだ」と支持されもする。僕はこわくてしょうがない時は怒るのも自然なことだと思いますよ。〉
現代美術家の会田誠氏は、アーティストとしてのあり方に踏み込んで共謀罪への反対を表明。安倍政権は、「権力に歯向かう者」、「皆と歩調を合わせない者」、「国家のために自分の全てを捧げない者」を社会から排除しようと画策しているが、アーティストとはそもそも、一度常識の外に出て物事を見つめ表現をつくり出す人たちだ。そういったことを許さない全体主義的な安倍政権の思想は、アーティストとして到底受け入れられる代物ではない。
〈僕は一般的な国民になる気はさらさらないので、もとより共謀罪には反対です。〉
SKY-HI、松尾貴史、武田砂鉄、RADWIMPS野田洋次郎も異議を
漫画家のカネコアツシ氏も同様に、社会からのはみだし者だからこそ良質な表現を生み出せるアーティストの立場への矜持を高らかに語る。
〈何が共謀罪だ。
今後も俺は常に良からぬ事を思考し、不道徳で反社会的反体制的なマンガを描き続ける事をここに宣言するからな。〉
ミュージシャンのSKY-HI氏は「治安維持法の再来」を危惧するツイートをリツイートしながら、それは大げさな話などではないと警告した。
〈規模の大きな話に聞こえるかもしれないけど、「そんな漫画みたいな事が出来てしまう」「する事でメリットがある人がいるとは考えられる」って時点で相当危ないわけで さすがに疲れ果ててもう寝るけど、起きたら採決されてるのかい…〉
小説家の中沢けい氏は、一昨年前の安保法制時に行った安倍政権の横暴なやり方を振り返りつつ、現状はさらに悪化していると綴る。
〈「ふざけるな」は一昨年通り過ぎて今は「ふざけてる」〉
しかし、安倍政権は、度重なるスキャンダルに強行採決の連発と、これだけひどい状況が続いているのにも関わらず、支持率は微減程度の傷しか受けていない。これに対し、タレントの松尾貴史氏は有権者の再考を促した。
〈自公政権の、悪辣さというか卑劣さというか狡猾さというか下品さというか姑息さというか。支持している半分近い国民も目を覚まさないと酷いことになる。いや、なってしまった。
「他に支持するところがない」というのは自死に向かう思考停止だ。強力な悪人と微力な凡人を比べて前者を選ぶという愚か。〉
脳科学者の茂木健一郎氏は、治安維持法の復活という戦後日本の法体系を根底から覆すような状況が起きてしまったことに絶望する。
〈しかし、日本の刑法学者たちは、今回のこの「共謀罪」をこれから実定法として教えていかなければならないのかと思うと、お気の毒で仕方がない。従来の刑法を基に築き上げてきた美しい解釈体系は、粉々に壊れてしまった。〉
ライターの武田砂鉄氏は、他の人たちとは少し視点を変え、共謀罪に賛成、容認した人々の問題点に言及した。
〈松本人志氏が『ワイドナショー』で、共謀罪について「僕はもう、正直言うと、いいんじゃないかなと思っている」と賛成の姿勢を示し、「(共謀罪によって)冤罪も多少はそういうことがあるのかもしれないですけど……」と、冤罪の発生を半ば容認したことを覚えておこう。〉
〈それにしても「共謀罪は自分には関係ない」という人は、自分とは関係がない誰かに影響が及ぶ可能性をなんとも思わないのだろうか。冷たい人たちだな、と思ってしまう。〉
自由と民主主義を守るための戦いはこれからだ!
現在アジアツアーをまわっているRADWIMPSの野田洋次郎は、海外の人たちと日本の国会の状況について話し、自分なりに考えたことをこのようにツイートした。
〈昨今の国会はもはや正常に機能してないですね。重要な法案ならなおさら『早く成立させる』ではなく『国民に理解してもらう』ことを一番に考えるべき。〉
〈日本人はどこかでずっと政策や国の方針を『享受してきた』歴史の上にいるからかな。
『決められたことに従う』ことに慣れすぎてしまっているのかもしれないね。そしてそれに順応する能力がなまじ高い。
未来を考えるとあまりいい癖ではないかもね。〉
劇作家のケラリーノ・サンドロヴィッチ氏は、このような流れを止めることができなかったことに対し、子どもたちへ謝罪する。治安維持法の再来たる共謀罪は今後、言論統制のための道具として利用され、戦争への道へ突き進む結果を生む可能性があるからだ。歴史は繰り返すのである。
〈世の中の流れを見るにつけ、風邪がどんどん悪くなる。最悪だ。一国民としても猛省しております。申し訳ない、未来の子供たち。
何度でも言うが共謀罪絶対反対。〉
確かに、共謀罪は可決してしまったが、表現の自由と民主主義を守るための本当の戦いはこれからである。
本日、日本雑誌協会と日本書籍出版協会は、連名で「強行採決に抗議し、あくまでも『共謀罪』に反対する」と題した声明を発表した。声明のなかでは、共謀罪の対象とされる277の犯罪について「出版や報道の現場へ捜査機関が足を踏み入れる口実に使われかねない犯罪が数多く含まれている」とし、「恣意的な運用がなされないよう、出版メディアとして厳しく監視を続けていく」とした。
また、6月下旬号にて共謀罪の特集を組んで大きな話題を呼び、本サイトでも取り上げた「キネマ旬報」は、雑誌の公式ツイッターアカウントにてこのように語りかけている。
〈映画は表現活動だ。表現とは当たり前の基本的人権だ。そして表現とは行動を伴うものだ。自由な表現を奪われないためにも、『キネマ旬報』は先達の心意気を継いで、表現者をこれからも応援していく。表現者は萎縮することなく堂々と表現することで、それを抑圧しようとする者たちと闘ってほしい。〉
クリエイターのなかにも、政権が狙う「萎縮」には与しないと宣言する人はいる。小説家の松井計氏はこのようにツイートした。
〈私も今まで通り、批判すべき所は遠慮なく批判しますよ。そのことが共謀罪に触れるとも思わないし、仮にムチャな理屈で引っ張られるようなことがあるとしても、それより後の世代に〈変節漢〉だと嘲笑われることのほうがよっぽど辛い。〉
共謀罪という最高の武器を手に入れた権力者は、こういった勇気ある発言を行う者に対し、有言無言の圧力を加えてくるだろう。そのような状況を許さないないためにも、我々は監視の目を強くする必要があるし、メディアに対し「権力の監視役」としての役割を放棄しないよう、その尻を蹴り上げ続ける必要がある。
(編集部)
最終更新:2017.12.05 01:22
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