石田純一は志を捨てていなかった!『バイキング』特番で東国原相手に言論規制と集団的自衛権を真っ向批判

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石田純一オフィシャルサイトより


 今年7月に都知事選出馬へ意欲を見せたものの、その後、野党統一候補が鳥越俊太郎に決まったため出馬を断念した石田純一。さまざまな政治圧力によって一時はテレビで姿を見かけなくなっていたが、いまやバラエティ番組にも復帰し、逆にすっかり政治から遠ざかったように見える。

 それどころか、テレビ復帰以降、記者から政治家への再チャレンジについて聞かれても、「いやいやもう」などと否定し、テレビ出演で都知事選出馬に関してツッコまれても、ヘラヘラとお茶を濁すという姿勢に終始してきた。その様子を見ると、国会前デモで安保法制反対を叫び、都知事選の出馬会見で憲法や集団的自衛権に言及したことが、まるで一時の気の迷いだったかのようだ。

 実際、出馬を断念した直後の7月15日、石田の所属事務所は「今後一切、政治に関する発言はできなくなりました」と発表したが、スポンサーやテレビ局、代理店との間で、“タレント”としての石田の政治的発言は封印されたらしい。

 しかし、一昨日28日に放送された『バイキング・ゴールデン! 坂上忍と怒れるニュースな芸能人』(フジテレビ)に出演した石田は、意外な姿を見せた。

 この日、「夫から何の相談もなかった」と証言する妻の東尾理子と一緒に登場した石田。いつものように妻から責められ、ひたすら苦笑い。司会の坂上も石田に「いい年こいてなにやってるの?」と責めたてるなど、番組全体が“政治家になるとか血迷った石田をイジってやろう”というムードに包まれていた。ところが、坂上が呆れたように「なんで政治家になろうと思ったんですか〜?」と質問すると、石田は一瞬躊躇した後、しかし毅然とした表情でこう切り出した。

「政治の話になってしまうんですけど。例えば集団的自権権とか、原発の再稼働とか、反対している人のほうが多いじゃないですか。そういう意見を汲み上げたい。自分がそう思っていたんです」

 なぜ出馬したのか、自らの主張を語る石田。そんな石田にさらに火をつけたのが、出演者の東国原英夫だった。それまで石田の様子をバカにしたように聞いていた東国原は、石田のその言葉を聞いて「政治行政を愚弄し、ナメている」「選挙は最低でも3年の準備が必要で、それもしていない」と批判。だが、石田はその言葉を遮って、自らの思いをこう語り出した。

「(政治を)愚弄などしていません。腹が立つのは大いに結構で、私も騒がせただけで、恥じ入るところは多い。けれども、たとえば自分たちはメディアの側から、何かを言っていくのが本業だと思っています。日本が非常に怖いのは、戦前に近いような、自主規制や自粛も含めて自由に物が言えなくなってくる時代だとすごく感じるんです。きな臭さを感じるんです」

 自主規制が進み、言論が抑圧されていることへの危機感を感じないのか、とまさに本質をつくような切り返しをしたのだ。さらに、石田は、東国原に対してこんな質問を投げかけた。

「ひとつだけうかがっていいですか。集団的自衛権についてどうお考えですか」

 この質問は石田がいまも、安倍政権に強い危機感を抱いていることの証明だろう。

 そもそも、石田が政治的行動をはじめたのは、安倍政権が集団的自衛権を容認し、安保法制を強行しようとしたことを受けてのものだった。国会前のデモに参加してスピーチを行い、メディアに対しても理路整然とした安保法制批判を口にするようになった。都知事選出馬表明も、直後に参院選が予定されており、自民党が「憲法改正」という争点を隠して参院選に臨もうとしていたことに危機感を抱いたためだった。石田は自身が捨て石になって、それに一石を投じ、野党共闘を盛り上げようとしたのだ。

 都知事選出馬が取り沙汰された今年7月の会見で、石田はこう訴えている。

「市民目線では、憲法改正とか集団的自衛権について、話し合ったほうがいいんじゃないのか。憲法のどういうところを変えていくのか、新しい日本にするのは結構だけど、どういう日本に変えていくのか。文言とか改正すべき点とか、そういうものがまったく論議が行われていない」
「笑われ、バカにされ、生活も厳しくなるかもしれないが、立ち上がったほうがいいと思った」

 ようするに、石田はこのときの思いをまったく捨てていなかったのだ。実際、石田の政治的発言は、この『バイキング・ゴールデン!』だけじゃない。「女性自身」(光文社)11月29日・12月6日合併号でも、「“都知事選出馬騒動”から3カ月──石田純一『理子も実は選挙応援を』真相激白100分」と題するインタビューが掲載されているが、子どもたちの将来を真剣に考えるからこそ、と現在の思いや夢をこう語っていた。

「平和ボケといわれる日本の社会ですが、自分の夢は、この70年間続いた平和で安全な国を、子供たちや次の世代にバトンタッチしていくこと」
「太平洋戦争で『将来は音楽家になりたい』『野球選手になりたい』という夢を持っていた青年の多くが死んでしまったんですね。戦争は夢や生活を奪うもので、決して文化じゃない」

 もちろん、こうした言葉をいまのメディア状況のなかで、きちんと届かせるのはかなり難しいだろう。くだんの『バイキング・ゴールデン!』でも、石田の集団的自衛権についてどう考えているのか、という質問に対して、東国原は「私はいまのままでいいと思っていますが、それは置いといて」とまともに相手にしようとしなかった。石田が「置いとかないで」と反論しようとすると、北村晴男弁護士が入ってきて、「その議論をする場じゃないでしょう。石田さんは人がいいから。でも野党から梯子をはずされたわけじゃないですか」と、議論そのものを潰されてしまった。

 しかし、味方もいなかったわけではない。番組では、サプライズ登場した義父の東尾修が「いま東国原さんが、ガンガン言うもんだから、だんだんムカついてきて。これは守ってやろうと」「もしも出馬したら、応援してやろうと思いました。応援します」と断言。やりとりを聞いていた松嶋尚美が「(石田さんは)悪くない」と号泣するというハプニングも起きた。

 石田にはそれこそこれからも「笑われバカにされる」こと恐れずに、閉塞したメディアのなかで可能な限りの政治的発言を行い続けてほしい。そうすれば、石田の思いに心を動かされる人間が必ず増えていくはずだ。
(伊勢崎馨)

最終更新:2020.08.23 07:13

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