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「不倫」で動く金はGDPの1%強で防衛予算並み! 中高年は20%以上が不倫中? 経済評論家が驚きの数字明かす
『不倫経済学』(KKベストセラーズ)
ベッキー&川谷絵音(ゲスの極み乙女。)、宮崎謙介元衆議院議員、桂文枝、石井竜也、とにかく明るい安村、乙武洋匡──、2016年に入ってから芸能人や政治家などの不倫スキャンダルがひっきりなしに報道され、現在「不倫」という言葉を聞かない日はないというほどの状況だが、この「不倫」にかけられているお金は想像以上に巨額なものらしい。
〈中高年男性の不倫によって動くお金の総額は年間約5兆5034億円にも達する。この金額は、日本の2016年度の防衛費予算(5兆500億円)に匹敵するほどの大きさだ。
日本のGDP(国内総生産)を500兆規模とすれば、その1%強を不倫ビジネスが占めている計算になる〉
経済評論家の門倉貴史氏は『不倫経済学』(KKベストセラーズ)のなかで、上記のような驚きの指標を出している。
門倉氏の計算によれば、日本の不倫市場はにわかには信じがたいほど大きい額が動いている市場なわけだが、その内訳はいったいどのようになっているのだろうか?
13年1月に相模ゴム工業株式会社が全国1万4100人を対象に行ったアンケートによると、現在進行形で浮気や不倫をしている40代の既婚男性は全体の26%、50代は28.9%、そして、60代では23.8%という結果が出ている。40代以上のどの年代でも20%越えの数字が出ていることに驚くばかりだが、このパーセンテージを国勢調査の数値をもとに実数に計算してみると、40代は147万4659人、50代は175万4419人、60代は169万9971人、各世代を合算すると、現在不倫中の中高年男性はなんと492万9048人にもおよぶと門倉氏は述べている。
これだけの人数が、ホテル代やデート代やプレゼント代や携帯通話料などで月に6万円ほどお金を使うと、年間3兆5489億円という莫大な市場が浮かび上がってくる。これに、二次的な経済波及効果(不倫による消費で利益を得る飲食店やホテル業界などで働く人による消費・生産の効果)として推計される1兆9545億円をプラスすると、5兆5034億円という防衛費予算並みの数字が叩き出されるわけである。
しかし、日本の中高年は本当にそんなに不倫しているのだろうか? 計算のもとになっている相模ゴム工業のアンケートの数字がそもそも間違っているのではないか? そんな疑問も浮かんでくる。
だが、また別のアンケートの結果を見ると、この相模ゴム工業が出した数字に信憑性が増してくるのである。全世界で4000万人近くが利用している既婚男女向けの出会い系サイト「アシュレイ・マディソン」が出した数字をもとに門倉氏はこのように綴っている。
〈「アシュレイ・マディソン」が2014年に行った調査によると、「不倫についての罪悪感があるか?」という質問に対して、「ある」と回答した女性の世界平均は8%であったのに対して、日本人女性はわずか2%。男性の場合、世界平均19%に対して、日本人男性は8%。国際的にみて日本の男女は、罪の意識が希薄であることが明らかになった〉
門倉氏はその理由として、欧米と違って日本は宗教的な倫理観を価値判断の基準にしていない人が多いことや、セックスレスの夫婦が44.6%(日本家族協会による14年の調査)にもおよぶことなどをあげているが、理由はなんであれ、日本人が不倫に対して罪の意識が薄く、それにより前述のような大きい不倫ビジネス市場が形成されているというのは、疑いようのない事実として数字が物語っている。
さらに門倉氏は著書のなかで、もうひとつ興味深いデータを記している。不景気になると人間は不倫しやすいというのだ。
英国の既婚者向け出会い系サイト「IllicitEncounters.com」の調査によれば、38万人の会員のうち2万人を占めていた金融関係者が、リーマンショック以降不倫に走るケースが増えたと明かしているのだが、このデータを受けて門倉氏はこのように綴っている。
〈同サイトは、金融関係者の不倫が増えている理由として、金融関係者が公私ともに強いストレスを受けていることを挙げている。仕事の面では、サブプライムローン(低所得層向け住宅融資)の焦げ付き問題で社会的に非難を浴びているし、家においても給料の目減りなどによって夫婦関係が悪化しやすい。このため、公私ともつらい立場におかれて、ストレスが溜まり、精神的な癒しを求めて不倫に走ってしまうのだという。
ちなみに、同サイトが金融関係で働く男女600人以上に不倫に走る理由を聞いたところ、1番の理由として挙げられていたのは「愛されていると感じるため」であった。
不況になると、夫の側だけでなく妻の側も不倫に走りやすくなる。というのも、不況期にはサラリーマンの夫がリストラされたり、リストラされなくても給与が減少するケースが目立って増えるので、それに伴って夫に対する愛情やリスペクトの念が薄れ、他の男性が魅力的に見えてくるからだ〉
『不倫経済学』では、この現象は日本においても同様で、また、不況に入ると「不倫」をテーマにした映画や小説がヒットする傾向もあると分析している。例をあげれば、三島由紀夫が人妻の不倫をテーマにした『美徳のよろめき』(新潮社)が出版されたのは、なべ底不況が始まった1957年。最近でも、渡辺淳一『失楽園』(講談社)がヒットしたのは、金融危機に瀕していた97年のことである。ちなみに、テレビドラマ『不機嫌な果実』(TBS系)が放送されたのも、97年だった。
周知の通り、鳴り物入りで始まったアベノミクスも4年目に入り、完全に失速。アベノミクスは失敗に終わったのではないかとの評価が経済学者からもくだされ始めている。そんな2016年に「不倫」というキーワードがこれだけ注目されているのは、日本が再び深刻な不況に突入したということのあらわれかも……などと考えるのはうがちすぎだろうか。
(井川健二)
最終更新:2018.10.18 01:41
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