田母神俊雄が運動員に2000万円配布! お友だちの百田尚樹らネトウヨは「安保反対デモ参加者はアルバイト」とデマ攻撃していたのに

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「田母神俊雄公式サイト」より


 一昨日、元航空幕僚長・田母神俊雄氏に新たな疑惑が浮上した。2014年の都知事選に出馬した際、選挙の運動員に2000万円を配っていたというのだ。

 4 日、メディアの取材に応じた田母神氏は、「『2000万円配る』って言うんですね。事務局長が、選挙運動を頑張ってくれた人たちに慰労金を払いたいみたいなことで、ひとつの表をつくって持ってきた」「配れとは指示しておらず、了承もしていない」と自身の関与を否定したが、一方で、「みんなが一生懸命頑張ってくれたんだから、しょうがないかという気持ちだった」「違法というイメージもなく、ちょっともったいないけどしょうがない(と思った)」とも述べた。

 そもそも田母神氏は、全国の支援者から集めた1億3265万円のうち、5000万円余りの支出が使途不明になっていたが、昨年2月に記者会見を開き、政治団体の会計責任者の男性が政治資金3000万円の私的流用を認めたと報告。業務上横領罪の告訴状を警視庁に送付していた。だが、東京地検は、政治資金の一部が私的流用の疑いがあるとして今年3月に田母神氏の資金管理団体の事務所や自宅など家宅捜索に入っており、その段階から運動員への現金配布疑惑が囁かれていた。

 いくら「違法性の認識はなかった」「本当に知らなかった」などと子どもの言い訳を繰り返しても、これが公職選挙法の「買収」にあたるというのは誰でもわかるというもの。この使途不明金の杜撰な実態は、今後、明らかになっていくだろうが、今回の現金配布問題で思い起こされるのは、田母神氏のある発言だ。というのも、ほかならぬ田母神氏こそ、“左翼は金で動員している!”と糾弾していたからだ。

 それは、2010年に発売された西村博之氏との共著『オンナは苦手。』(李白社)に収められている、田母神氏のこんな発言だ。

「広島の慰霊祭では12000くらいの席が準備されいるんですね。被爆者用にも2500席くらいが準備されているんだけど、そこには広島県民や広島市民はほとんどいない。また、被爆者の二世や遺族もほとんどいない。じゃあ、誰があそこに並んでいるのかというと、日本全国から集まってきた左翼なの。彼らは日当をもらって、バスに乗って全国から駆けつけてくる」(原文ママ)

 慰霊祭に被爆者や遺族はおらず、日当を支払われた左翼が動員されているにすぎない──。じつは同様の発言を、田母神氏は09年8月6日に日本会議広島支部が行った講演会でも行い、広島市と広島被爆者団体協議会、長崎原爆被災者協議会から反発が起こった。まさに被爆者とその家族を冒涜する暴言であり、日当云々にかんしては何の証拠もない陰謀論でしかないが、まさにこの田母神氏の発言にネトウヨは乗っかり、「左翼は金で買収されているだけ!」とガセ情報を流布してきた。

 しかも、田母神氏に近い“あの人”も、こんな発言の過去がある。田母神氏の選挙で応援演説を買って出て、他の候補者を「人間のクズ」と罵倒し問題になった百田尚樹氏だ。

 百田氏は、昨年の安保法案に反対する国会前デモが話題になった際、〈(デモ参加人数は)ひどい水増し!しかも五千人も大半がアルバイト(^_^;)〉と誹謗中傷した。

 同時期にネット上では、元「新しい歴史教科書をつくる会」会長・藤岡信勝氏がFacebookで出所不明のツイッター情報を取り上げ、〈(国会前で抗議運動を行う人は)すべて政党からの依頼で集まった人たち〉〈参加者の中には「政党とテレビ局と両方から謝礼金をもらった」と話す人がいました。合わせて2万円以上もらう人もいます。職業を訊くと、いわゆるニートで、生活保護受給者でした〉と拡散していた。

 百田氏はこうしたデマをさらに流布したわけだが、このとき「5000人に2万円を支払ったら1億円にもなるけど、一体どんな政党がどんな手を使ってそんな金額をばらまけるの?」と笑い種となった。だが、いまにして思えば、田母神氏ほどの杜撰さならば、ポンと2000万円くらいは出せたのかもしれない。金を出して動員していたのは、じつのところヤツらのほうではないか、という気さえしてくる。

 また、同じく田母神氏と親交があり、アパ懸賞論文の先輩・後輩の仲であるケント・ギルバート氏も、何かというと「日当」を口にする人物だ。

「噂では、移設反対運動に参加すれば、日当は一口二万円ということです」(『まだGHQの洗脳に縛られている日本人』PHP研究所)
「(反基地の)デモ隊の日当を、中国共産党が間接的ではありますけども、払ってます」(テレビ朝日『朝まで生テレビ!』2015年11月27日放送)

 中国共産党から「日当」が出ている……。ネトウヨ脳ここに極まれり、といった感じだが、しかし、これは笑い話では済まされない。事実、こうした「日当」陰謀論がネトウヨに受けるとみて、政治家も公然とそれを利用しているからだ。

 現に、自民党の西田昌司参院議員は13年12月、「チャンネル桜」に寄せたビデオレター内で、特定秘密保護法に反対する人びとについて、こう語っている。

「聞くところによりますと、この方々はですね、いろいろな団体から要請を受けてですね、駆り出された、日当が出ているという話もありますけれども、とにかくそういうことが毎日やっているわけですね」

 現役議員が根拠もないデマを垂れ流すとは自民党のレベルの低さを露呈させているようなものだが、これこそが安倍政権クオリティなのだろう。

 実際、昨年7月に「SEALDsをやっていると、就職できなくなる」とブログで脅したことで問題となった福岡県行橋市の市議会議員である小坪慎也氏も、昨年4月、自身のブログで「労働組合の組合費からデモの日当支払い!?」なるマンガをアップし、“原発反対デモは日当が支払われている”と主張。しかも、このマンガがまとめサイト「ネトウヨにゅーす。」で取り上げられたことを「謝辞」としてわざわざ報告、「この場を借りて感謝申し上げたいと思います」とまで書き添えている。じつはこの小坪議員、無所属ながら初当選した3年前の選挙戦では、安倍チルドレンであり、例の「文化芸術懇話会」の代表を務めた木原稔衆院議員が、わざわざ県外から応援演説にかけつけている。

 このように、「日当が出ている」「アルバイトだ」と根拠のないデマによって批判されてきたのは、核兵器の廃絶や反原発、反基地、そして特定秘密保護法や安保法など、そのいずれもが極右が糾弾する運動ばかりだ。自分たちの主張に反対する運動を貶めて矮小化しようとする陰湿さは折り紙つきではあるが、ネトウヨはこうしたデマを「これが真実だ!」とネット上に拡散することに勤しんできた。

 だが、実際は金で人を買収しようとしていたのは、味方陣営のほうだった。……この事実を、百田氏やケント・ギルバート氏、そしてネトウヨ諸君はどう考えるのか。ぜひとも言い分を聞いてみたいものだ。
(水井多賀子)

最終更新:2017.11.24 09:42

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