東京地検特捜部が田母神俊雄を“横領”で強制捜査! 背景にチャンネル桜・水島社長との政治資金めぐる内紛が

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左・田母神俊雄オフィシャルサイトより/右・頑張れ!日本全国行動委員会ホームページより


 本日3月7日、元航空幕僚長の田母神俊雄氏が東京地検特捜部から強制捜査を受けた。支援者から集めた政治資金の一部を着服していた疑惑で、資金管理団体「田母神としおの会」の事務所や自宅などに家宅捜索が入ったという。

 この資金管理団体は、田母神氏が2014年の都知事選への出馬に際して設立したものだが、報道によれば、全国の支援者から集めた1億3265万円のうち、5000万円余りの支出が使途不明になっていた。

 昨年2月、田母神氏はこの“使途不明金問題”について会見を開き、政治団体の会計責任者の男性が政治資金3000万円の私的流用を認めたとして「刑事告訴も検討している」などと釈明。実際に業務上横領罪の告訴状を警視庁に送付していた。しかし、今回の東京地検による強制捜査は、この横領疑惑に田母神氏自身が関与していたことを解明しようとするものだ。

 そもそも、この使途不明金が表沙汰になったきっかけは、田母神氏の都知事選出馬を選対本部長としてサポートするなど盟友関係にあった「日本文化チャンネル桜」の水島聡社長。水島氏は、昨年2月17日放送の「チャンネル桜」で使途不明金を告発。だが、会見で田母神氏が自身の関与を否定すると、水島氏は怒り心頭で追撃体勢に入り、とうとう昨年12月には「田母神氏本人や事務局長も関わっていた」との告訴状を検察に提出したのだ。

 水島氏は、産経新聞の取材に対して「不正は許してはいけない。東京地検特捜部には使途不明金の全容を解明してほしい」などと語ったというが、しかし、この使途不明金にまつわる“極右陣営の内紛”は、田母神氏側のみの問題ではないという見方もある。というのも、田母神氏は前述の会見で、“都知事選後に水島氏から「寄付金の残金を(水島氏が幹事長を務める)政治団体「頑張れ日本!全国行動委員会」の銀行口座に移してくれ」と言われた”と説明していたからだ。

 本サイトは昨年、水島氏による使途不明金の暴露に対する田母神氏の反論会見の際、今回の極右陣営の内紛以外にも、水島氏がかつて別の金銭疑惑に巻き込まれていたことを報じていた。以下に再録するので、ぜひこの機会にご一読いただきたい。
(編集部)

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 イスラム国人質事件で“男を下げまくった”田母神俊雄氏にまたまた大トラブルが発生している。田母神氏の政治団体で会計責任者を務めていた50代の男性が、政治資金3000万円を私的に流用、横領していたという疑惑が発覚したのだ。これを受け田母神氏は2月19日に会見を開き「彼を信頼しきって任せていた。監督責任は私にある」「刑事告訴も検討している」などと釈明した。

 だがこの問題の背景には、極右陣営を巡る“カネと内紛”が横たわっていると見られている。というのもこの問題を暴露したのは、「日本文化チャンネル桜」水島聡社長だったからだ。水島氏は一昨年の都知事で田母神陣営の選対本部長を務め、また政治運動団体「頑張れ日本!全国行動委員会」の会長を務めたいわば田母神とは盟友関係にあった人物だ。

 そんな水島社長が「チャンネル桜」(2月17日)に自らに出演し、田母神事務所に巨額の使途不明金があるとして田母神氏に対しこんな趣旨の告発を打ち上げた。

「都知事選の際、支援者などから1億4000万円の支援を頂き3700万円を使った。選挙後はきれいに報告もした。しかしその後田母神から1億円ほどは残っているはずの資金が1000万円しかないと相談を受けた。事務所から大きなカネが消えている。これに関し、週刊誌や当局も動きがある。田母神本人に聞くと『僕は悪いことはやっていない』と言っていましたが、今後の保守運動にとって大きな問題だ。支援者のためにも国民の前に真実を明らかにしなくてはいけない」

 思想信条を共にし、都知事選を共に闘った“盟友”からの告発。これを受ける形で急遽田母神氏が開いたのが冒頭の会見だった。しかしこの会見、水島社長の怒りに火を注ぐものでしかなかったようだ。

 2月17日の水島告発は、使途不明金について直接的ではないが田母神本人の関与を臭わせるものだった。それが会見では、田母神氏は自身の関与を否定し、会計責任者による勝手な私的流用だったと説明。しかも、その額は水島の言う1億円ではなく3000万円と告発に比べかなり低い額。また、不明金について選挙買収などで使ったことは一切ないと弁明した。

 そのため水島社長は「私の前で土下座して大うそをつきましたと言わない限り許さない」と怒り心頭で、マスコミの取材に対しても「都知事選には3700万円かかったと報告を受けているが実際はもっと安く済んだと言われている。使途不明金は3000万円だけではない」と田母神氏追撃の姿勢を強めているのだ。

 一体なぜ、水島社長は都知事に担いだほど入れあげた田母神氏を告発したのか。その鍵はやはり、都知事選の1億円ほどといわれる余剰金にあるのではないかと言われている。田母神氏は反論会見でこんな事実を暴露している。

「都知事選後、水島さんから『寄付金の残金を“頑張れ!日本”の口座に移してくれ』と言われた。『どうして?』と聞くと、答えがなく、そのままになっていた」

 ようするに、水島社長もこの余剰金を自らの政治運動団体の活動資金にあてこんでいたものの、それが使い込まれたことがわかり、ぶち切れたということらしい。思想や政治的方向性などとは無関係で、完全に金や利権絡みでの対立というわけだ。

 実は今回、田母神氏を告発した水島社長=チャンネル桜は過去にも金銭疑惑に巻き込まれたことがあった。

 水島氏が日本の伝統文化の復権を掲げ「チャンネル桜」を設立、スカパー!Ch.767に開局したのは2004年だが、07年から「ハッピー241」なる別のチャンネルを間借りするかたちで放映していたことがある。ところが、08年にはその「ハッピー241」の親会社である「トランスデジタル」(以下トランス社)が不渡りを出したのである。

 そして、トランス社倒産劇の裏には、防衛族など政界をも巻き込むさまざまな疑惑が取り沙汰された。

「トランス社は破綻の直前の08年8月27日に27億3000万円の資金を調達していました。しかし、その翌日と翌々日に不渡りを出し破綻してしまったのです。では、27億3000万円もの資金がどこに消えたのか。その後関係者が次々と行方をくらますのですが、関係者の間では架空増資の疑いや資金の外部流失などの不正が指摘されていました。周囲には暴力団関係者の影もちらつき、特別背任罪の摘発の可能性さえ取り沙汰された」(当時トランス社の破綻を取材したジャーナリスト)

 しかも当時、トランス社に対して囁かれたのは、同社には業務実態がなく仕手筋による不正な資金調達やインサイダー取引等の不正行為の温床になったダミー会社ではなかったのかとの疑惑だった。

 さらに問題視されたのが同社の倒産寸前に催されたパーティだった。「週刊金曜日」(09年1月9日号)によると、このパーティを主催したのは「ハッピー241」を運営する企業だったが、パーティに出席した約400名の中には田母神氏の他、林芳正防衛相(当時)、石破茂、小池百合子、森山真弓など防衛族議員など関係者がずらりと勢揃いしたという。

 名目は「ハッピー241」の新番組「ガンバレ自衛隊!」の制作発表だったが、実際はトランス社が権威や人脈を誇示するためのもので、資金調達のために利用されたのではといわれている。

〈トランスデジタルは、このパーティ開催に関連して「防衛プロジェクト」という名目で二億円もの資金を使っていたという。となれば、政治家に対する不正な資金提供があったのではないかという疑惑も持ち上がってくる〉(週刊金曜日より)

 そして、この「ハッピー241」の番組制作に協力し、パーティ運営にもかかわっていたのが、「チャンネル桜」だった。当然、水島社長もこの防衛族議員たちにまじって、パーティに参加していた。

 当時「週刊金曜日」の取材に応じた水島社長は「自分も被害者だ」との認識を示しているが、「チャンネル桜」そして水島社長がトランス社の広告塔的役割を演じていたのは事実だ。

 それにしても、右派組織はどうしてこうも金がらみのトラブル、内紛が多いのだろう。過去には、北朝鮮拉致問題の「救う会」にも使途不明金問題が噴出したことがある。

 保守、愛国、伝統──そんなスローガンとはほど遠い展開となった田母神不正資金疑惑。今後の推移に注目したい。
(美波万樹)

最終更新:2017.11.24 08:07

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