“白人だらけ”米アカデミー賞ボイコット騒動の余波? 抗議した俳優、ウィル・スミスの映画が日本で公開中止に!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
Concussion_160228.jpg
映画『Concussion』予告動画(YouTube「Sony Pictures Entertainment」公式ページより)


 いよいよ明日に迫った第88回アカデミー賞。例年、オスカー像獲得をめぐる賞レースの行方に注目が集まるが、今年はまったく別の話題もクローズアップされている。

 ことの起こりは、1月15日に発表された主要部門のノミネート俳優の顔ぶれをめぐってだった。アカデミー賞の常連でもある黒人映画監督のスパイク・リーが、自らのInstagramで招待されている今年の授賞式への欠席を表明したのだ。

「2年連続で俳優部門の候補20人全員が白人ばかりなんてことがあり得るのか? 」
「おれらは演技ができないというのか?なんだそれ!」

 確かに、今年の俳優部門(主演男優・女優、助演男優・女優)にノミネートされた顔ぶれは、初の受賞が期待されるレオナルド・ディカプリオをはじめ、20人すべてが白人なのだ。

「アカデミー賞はアメリカ社会の今を反映する鏡ともいわれています。1963年に黒人として初めてオスカーを受賞したシドニー・ポワチエをはじめ、過去には数々の俳優や監督が人種の壁を超えて賞賛されてきました。リー監督の言うように2年連続で起きた今回の事象は、アカデミー賞すなわちアメリカ社会の多様性が失われたとみられてもおかしくはない出来事です」(映画ライター)

 Twitter上では、「#OscarsSoWhite(オスカーは真っ白)」というハッシュタグが作られ、アカデミー賞の在り方が盛んに議論されている。

 同様の理由で授賞式のボイコットを表明したのが、『メン・イン・ブラック』などで知られる黒人俳優のウィル・スミス。妻で俳優のジェイダ・ピンケット=スミスと共に、授賞式への不参加を明言した。ウィルは、『コンカッション』という作品で、今年の主演男優賞ノミネート有力視されていたのだが、まさかの落選。当事者ということも相まって、一層の注目を浴びている。

 そんな中、この『コンカッション』という作品をめぐって、日本でも不可思議な動きが起きていた。

「実は、今年5月に決まっていた日本での公開が、突如として中止になったのです。すでに原作本の日本出版も決まっていたとも言われていて、異例の展開ですね。配給元のソニー・ピクチャーズは理由を明かしていませんが、本国から何らかのプレッシャーがあったとも言われています」(映画関係者)

『コンカッション』は、米「GQ」誌掲載後に出版された同タイトルのノンフィクション作品がベース。アメリカナンバーワンの人気スポーツであるアメリカンフットボール(NFL)と脳震盪(=コンカッション)の関係を描いている。

 原作によれば、NFLの元スター選手の遺体を解剖したナイジェリア出身の医師(=ウィル)が、プレー中の激しいタックルによる脳震盪がもたらす病気を発見。危険性を指摘するも、エンタテインメント性を重視するNFLは問題を黙殺し続けた。しかし、やがて国民的関心事となり、NFLに対する集団訴訟に発展していくというもの。

 全米王者を決定するスーパーボウルの視聴率が50パーセントを超えるなど、NFLはアメリカ国内最大の娯楽産業でもある。今回の決定に、NFL側からなんらかの圧力があったことも考えられる。

 実際、2015年9月には、米ソニー・ピクチャーズが制作サイドにNFLを怒らせない内容にするように求めているとの内部情報が漏れ、全米メディアで大きく報じられたほどだ。

 また、この作品が社会派のドラマであると同時に、マイノリティであるアフリカ出身の医師が、アメリカ社会にはびこる偏見や差別に苦悩する姿を描いていることも見逃せない。大きな構図で見ると、どこか今回のアカデミー賞ボイコット騒動に通じる部分も感じられるのだ。

 映画公開中止の判断には、こうした問題への過剰反応があったという見方も流れているがソニー・ピクチャーズ側が一切、理由を明かさないため、今のところ、はっきりした原因はつかめない。

 しかし、いずれにしても、国会議員がアメリカを指して、「奴隷が大統領になる国」と発言してしまう人権感覚の薄い国だからこそ、今回の一件はアメリカだけでなく、世界中で起きている人種差別問題に向き合ういい機会になるはずだ。

 明日は白人ばかりのアカデミー賞を見ながら、このボイコット騒動と日本での映画の未公開問題についてもう一度、考えてみたい。
(窪川 弓)

最終更新:2016.02.28 07:10

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

“白人だらけ”米アカデミー賞ボイコット騒動の余波? 抗議した俳優、ウィル・スミスの映画が日本で公開中止に!のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。外国人窪川弓の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

1 村上春樹が貫く歴史修正主義批判「書いておかないとまずい」
2 水木しげるが描いた慰安婦「兵隊以上に地獄」
3 葵つかさが「松潤とは終わった」と
4 今秋発足「防災庁」の職員は「国家情報局」の半分しかいなかった!
5 阿川佐和子結婚手記に不倫略奪婚は?
6 香取慎吾隠し子報道はジャニーズのせい
7 市川沙耶と熱愛・野島アナに二股の過去
8 吉高由里子が元カレに言った一言
9 村上春樹が『騎士団長殺し』『猫を棄てる』に込めた歴史修正主義批判
10 りえママ、娘にたけしとの不倫を強要!?
11 田崎史郎が『モーニングショー』から消えた! 原因は玉川徹?
12 結婚した綿矢りさの大失恋体験
13 三笠宮家に夫妻、母娘の断絶が!
14 五輪マラソン開催で宮根誠司、小倉智昭が札幌を理不尽ディス「なんにもない」
15 高須院長が村上春樹に「日本人ですか」と差別丸出し攻撃を仕掛け批判殺到!
16 維新応援団・野村弁護士が懲戒、橋下徹にも請求が
17 高市首相の熊本地震視察は北朝鮮並みのプロパガンダ!
18 安倍が原爆被爆者訪問をやめて散髪に
19 小倉優香の番組中「辞めさせてください」の本当の理由は番組のセクハラ
20 〈#ミサイルよりクーラーを〉は正しい 自民党が避難所へのエアコン設置を遅らせてきた
マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄