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南シナ米中衝突の危機に安倍一派大ハシャギ! ヒゲの隊長は宣戦布告ばりのツイート、年明けにも自衛隊を派遣か
衆議院議員 安倍晋三 公式サイトより
安倍晋三首相の“戦争心”がさぞや疼いていることだろう。南シナ海での米中衝突危機だ。オバマ米政権が日本時間の27日午前、横須賀の米海軍第7艦隊所属のイージス駆逐艦「ラッセン」を南シナ海で中国が埋め立てた人工島の12海里(約22km)内に侵入させ、数時間にわたって同海域を航行させた。いわゆる「航行の自由作戦」だ。
各報道機関が報じているように、米国防総省は5月頃から作戦敢行を検討し、オバマ大統領に進言していた。それが満を持したカタチで実行に移されたのだ。中国側は当然これに強く反発、南シナ海の緊張がにわかに高まっている。日本の新聞・テレビはあたかも一触即発のような報道ぶりだ。
日本政府は本来、こうした事態を憂慮し冷静に対応すべき立場なのだが、安倍官邸の周辺は「やった、やった」の声に包まれているという。その典型がヒゲの隊長こと佐藤正久参院議員のツイッターだ。米軍の作戦開始の一報が入るや、〈いよいよ開始! 米駆逐艦「ラッセン」南シナ海の中国人工島12カイリ内へ〉とつぶやくハシャギようだ。「いよいよ開始!」って、米軍側と一体になった宣戦布告のような物言いではないか。
まあ、それもそのはず、安倍首相の悲願だった新安保法制はズバリ、南シナ海での対中戦争を想定したものだった。「週刊現代」(講談社)7月4日号が暴露した安倍首相のオフレコ発言メモによると、今年6月1日に都内の高級中華料理店「赤坂飯店」で開かれた官邸記者クラブのキャップらとの懇談で、こう言い放ったという。
「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの。だから、やる(法案を通す)と言ったらやる」
この日は町村信孝元衆院議長が逝去した日だが、安倍首相はなぜかご機嫌で赤ワインをグイグイ飲み干していたという。酔った勢いで、つい封印していた本音が出たということだろう。
しかも、安倍首相の「南シナ海」発言は酒の席だけではないのである。写真週刊誌「FRIDAY」(講談社)が衆議院での強行採決の際に口走った、驚くべき言葉を暴露している。
「支持率ばかりを気にして採決を先延ばししていたら、南シナ海(有事)に間に合わない」
安倍首相は国会の審議の場ではことあるごとに「ホルムズ海峡が〜」「朝鮮半島有事が〜」と言っていたが、本音はやはり、南シナ海での中国との戦争にあったのだ。
今年6月には、すでに海上自衛隊が南シナ海でフィリピン海軍と合同軍事演習を行っている。この時、フィリピン軍は同時に米軍との合同演習も行っていて、官邸は1年以内に自衛隊が米軍やフィリピン軍とともに中国が進める南シナ海での岩礁埋め立て工事現場付近に出動し、この工事を武力で止めるシナリオをもっているといわれている。
「この話をすると国民がさらに戦争への危機感をもってしまうため、国会や会見では一切口にしていませんでしたが、これは既定のシナリオです。“南シナ海”での話を安倍さんはオフレコでは何度も口にしているんです」(全国紙政治部記者)
そんな安倍政権にとって、今回の米海軍による「航行の自由作戦」は、まさに「待ってました!」「いよいよ開始!」というノリなのだ。カザフスタンを訪問中の安倍首相はすかさず「米国をはじめ国際社会と連携していく」とアメリカ支持の立場を鮮明にした。
いまや安倍政権の機関紙といえる産経新聞のハシャギようもすさまじい。翌28日付の紙面の見出しを拾うと――。
〈米艦示威 哨戒継続へ〉〈中国人工島12カイリ内を航行〉〈安倍首相「米と連携」〉の文字がデカデカと並び、〈米危機感 やっと本腰〉と、米軍の作戦開始を手放しで歓迎している。驚くのは、表向き中谷元防衛相が「具体的な計画は有していない」と言っているにもかかわらず、〈自衛隊どう関与〉と、自衛隊の“出動”に前のめりになっていることだ。社説「主張」でも〈日本はオーストラリアなど危機感を共有する国々に呼びかけ、結束して米国を後押しすべきだ〉と、自衛隊の“出動”を促している。
実際、安倍首相と官邸は、すでに自衛隊を南シナ海に派遣すべく具体的に動き始めている。海上自衛隊はさっそく、現在、シンガポールに寄港中の護衛艦「ふゆづき」を南シナ海に派遣し、米空母の「セオドア・ルーズべルト」と共同訓練を実施することを決定した。
今回の訓練場所は、中国の人口島から遠く離れているが、年明けには、米艦隊と一緒に12カイリ内を航行する計画も密かに進んでいるらしい。
おそらくその先には、自衛隊を戦闘行為に直接参加をさせ、比喩ではなく実際に自衛隊員に血を流させることを想定しているだろう。
南シナ海で米軍と中国軍が一触即発の状態になれば、それを即座に集団的自衛権行使の要件である「存立危機事態」とみなし、中国軍に攻撃を加える。そして、戦闘状態になって、自衛隊員が命を落とし、一気に世論が“中国憎し”で盛り上がる。
これは妄想などではない。事実、過去に安倍首相自身が南シナ海、東シナ海で、中国の脅威をおさえこむために「日本人が命をかけて血を流すべきだ」とはっきり発言しているのである。
それは、「WiLL」(ワック)と双璧をなすヘイト雑誌「ジャパニズム」(青林堂)2012年5月号で行われた外交評論家・田久保忠衛氏との対談でのこと。田久保氏は今年4月、日本会議の第4代会長に就任したばかりだが、ことあるごとに安倍首相を絶賛する安倍応援団の一員でもある。教育現場での体罰を肯定する「体罰の会」では顧問を務める。そんなふたりの対談のタイトルはずばり、〈尖閣に自衛隊を配備せよ!〉だ。この対談のなかで安倍首相は、次のように語っている。
「(中国は)自国がどんどん発展していくという、いわば中国人が中国人として誇りを持つための愛国主義教育を行っているわけです。その線上に覇権主義、領土拡大があり、中国に多くの国々が従っているという姿の演出が必要で、それが南シナ海、東シナ海での一連の中国の行動につながっている」
ここからさらにヒートアップし、突然、“血の安全保障”を意気軒昂に主張し始める。
「わが国の領土と領海は私たち自身が血を流してでも護り抜くという決意を示さなければなりません。そのためには尖閣諸島に日本人の誰かが住まなければならない。誰が住むか。海上保安庁にしろ自衛隊にしろ誰かが住む。(中略)まず日本人が命をかけなければ、若い米軍の兵士の命もかけてくれません」
「血を流してでも護り抜く」「日本人が命をかける」。もちろんこれらは首相再任以前の発言だが、しかし、これまで安倍政権が進めてきたこととの符合を考えれば、これこそが安倍首相の偽らざる本音であることがよくわかるだろう。
もちろん、普通なら、中国との軍事衝突はイコール、世界経済の危機を意味しており、ぎりぎりのところでそれは回避されると見るのが常識だ。
だが、一方で、安倍首相の言動をみていると、この男にそういう理性的な判断が働くのか、はなはだ不安になってくるのである。
首相就任直後にはニコニコ超会議で迷彩服を着て戦車に乗って得意満面になり、国会では自衛隊を「わが軍」と呼んだ安倍首相は、安保関連法成立後の10月18日には米海軍横須賀基地に配備された原子力空母ロナルド・レーガンに乗艦してみせた。現職の日本の首相がアメリカの軍艦に乗るのは史上初めてのことである。
安倍首相の安全保障政策をつき動かしているのは、国際社会で日本がどう国益を守るかというプラグマティズムではなく、抑えきれない戦争への興味なのだ。とにかく、軍隊が大好きで、戦争をやってみたくてたまらない――。自衛隊の指揮権がいま、こんな男に握られているという現実を、国民はいま一度、よく考えてみるべきだろう。
(野尻民夫)
最終更新:2015.10.30 06:39
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