菅と河野が嘯く「ワクチン9月完了で合意」は本当か? 実際はファイザーCEOに相手にされず、反故になった昨年の基本合意より弱い内容

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河野ワクチン相がファイザーに交渉したら「首相を出せ」、菅首相はCEOとの対面を望むも拒否され

「基本合意」でさえこれほどあやふやなものだったのに、今回、河野ワクチン相が口にしたのはさらに表現が弱い「実質的な合意」なのだ。予定通り供給されると考えるほうがどうかしている。

 いや、それどころか、「実質的な合意」というのは国民をごまかすために河野ワクチン相が勝手に言っている言葉で、菅首相は今回、ファイザーとなんの「合意」にも漕ぎ着けられていないのではないか、という見方が有力だ。

 そもそも、菅政権は以前から、ファイザーにまったく相手にされていないに等しい。日本政府は今年1月下旬、ワクチンを1瓶から6回分採取する特殊な注射器を準備していなかったため、新たに「1瓶5回分で7200万人分の確保」をおこなうとし、河野ワクチン相が「私が直接、ファイザーと話をする」と乗り出した。

 ところが、このときブーラCEOは「交渉には首相を出してほしい」と河野ワクチン相を門前払いしているのだ。しかも、「首相を出せ」と要求されたあとも、交渉は〈不調に終わった〉(中日新聞など3月7日付)。

 今回の菅首相による“直談判”も同様だ。当初、官邸は菅首相がアメリカ滞在中に、ワシントンでブーラCEOとの対面会談を実現させようと動いていた。しかし、わざわざアメリカに出掛けながら、ブーラCEOとの会談は「電話会談」に終わったのである。

 田崎氏は先の『ひるおび!』で、「菅首相は(コロナ対策もあり)ワシントンD.C.から動けず、ブーラCEOはニューヨークにいてワシントンに来てくれとは言えないので電話会談になった」などと説明していたが、実態はまるで違う。「対面で面会したい」と官邸サイドが要請するも、ファイザーには冷たくあしらわれ、対面での面会を拒否されただけだ。

 そして、菅首相がこの電話会談で、最低でも「9月末までに対象者全員の接種分供給の基本合意」を引き出そうとしたにも関わらず、ブーラCEOは結局、「協議を迅速に進める」としか言わなかったのである。

 言っておくが、これはファイザーだけの問題ではない。ファイザーのこうした日本軽視の姿勢を生み出した責任はまぎれもなく、菅首相、そして前首相の安倍晋三にある。

 ワクチンをめぐって欧米で争奪戦が始まったのは昨年3月ごろ。当時の安倍首相も6月に「早ければ年末には接種できるようになるかもしれない」などと言い、8月には「2021年前半までに全国民分のワクチンを確保」などとしていた。ところが、そうした大言壮語の裏では何をしていたかと言えば、厚労省の予防接種室長がファイザーの日本法人とやり取りするだけだった。

 安倍首相から菅首相に代わっても、菅首相は和泉洋人・首相補佐官と厚労省の大坪寛子審議官という“コネクティングルーム不倫”のコンビを中心にタスクフォースを組ませる始末で、自分で汗をかこうとはしなかった。

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