韓国「反日デモ」は「反安倍集会」だった! 海外メディアも安倍の輸出規制を批判する中、批判を反日呼ばわりする日本マスコミ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

米ブルームバーグは「安倍が始めた希望なき貿易戦争」の社説を掲載

 まるでアメリカやイギリスを「鬼畜米英」と呼んだ戦中みたいな状況だが、それ以上に問題なのは、「安倍批判=反日」という歪んだ構図ができあがってしまっていることだろう。

 言っておくが、そもそもこの数十年で最悪といわれる日韓関係は、安倍首相が煽りに煽ってきたことだ。“圧力一辺倒”で和平への道を塞ごうとした北朝鮮問題だけではない。輸出規制にしても徴用工問題への事実上の報復措置だが、その歴史的背景は戦争犯罪の責任であり、日本政府はこれまで民間への補償問題を韓国政府に丸投げしてきたをことごとくネグっている。事実、日本政府が「解決済み」と主張する日韓請求権協定からは、戦争犯罪に対する日本側の謝罪や賠償としての性質はことごとく削られている(詳しくは既報
https://lite-ra.com/2018/11/post-4356.html)。安倍首相はこうした背景を完全にネグって、韓国攻撃に反転させているのだ。

 そして、輸出規制に韓国政府や市民が反発すると、今度はいちいち過剰に反応して、どんどん対立や分断を煽っている。

 たとえば、7月24日にジュネーブで行われた世界貿易機構(WTO)の一般理事会をめぐっては、国内外のマスコミが韓国への輸出規制の問題が各国関係者にどのように捉えられているかを一斉に報道した。すると、世耕弘成経産相は25日、〈一部報道では、韓国はこの沈黙をもって発言への支持を得たとみなしたと述べたと報じられています〉として〈事実は、議長が他出席者に発言機会を与えたが誰も発言しなかったので、一般理事会で本件へ同意が得らなかったということ〉などと強弁する怒濤の連続ツイートを投稿。ごく普通の報道にも異様にナーバスになり、すきあらば圧力をかけようとしているのだ。

 しかし、国内のマスコミは圧力で誘導できても、国際社会は安倍政権による対韓輸出規制の問題を冷静に指摘している。

 たとえば米通信社のブルームバーグは、22日「安倍首相が韓国と始めた希望なき貿易戦争」というタイトルの社説を掲載。〈21日投開票の参院選で勝利した安倍晋三首相は多くを成し遂げる政治的影響力を得たわけだが、まずやらねばならないのは、隣国の韓国に対して始めたばかげた貿易戦争をやめることだろう〉と一刀両断にし、安倍政権はごまかしているが徴用工問題への報復なのは明らかだとして、〈安倍首相の方は、政治問題の解決に貿易上の措置を使ったが、これはトランプ米大統領と中国が好む報復の戦略と似ている〉〈非常に偽善的〉と論評している。

 いずれにしても、韓国市民の民主主義精神にのっとった“反安倍デモ”が「反日」とねじ曲げられて伝えられる国内マスコミの状況は、他ならぬ安倍首相が主導してきたことだ。これは韓国だけの話ではない。日本国内での安倍批判に対しても、ネトウヨや右派メディアが「反日」「売国奴」と糾弾する構図はすでにできあがっている。この国は、安倍首相のもとで一歩一歩、着実に戦中的な“独裁国家”の様相に近づいているのだ。

最終更新:2019.07.31 01:02

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

韓国「反日デモ」は「反安倍集会」だった! 海外メディアも安倍の輸出規制を批判する中、批判を反日呼ばわりする日本マスコミのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。WTOブルームバーグ安倍晋三編集部韓国輸出規制の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄