“生活苦の指標”エンゲル係数アップに安倍首相がデタラメ言い訳! 直後にWikiのエンゲル係数解説が改ざん

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すべてが安倍政権に都合よく書き換えられる? まるで小説『1984』

 Wikipediaのエンゲル係数の項目を、“重要度が下がっている”“高いほど生活水準が低いとは言えない”などと改変したユーザーは、いずれも他の編集履歴が確認できず、誰がどのような意図で編集したかは不明である。しかし、エンゲル係数上昇の問題が国会で取り上げられた直後というタイミングや、自民党がネットを常時監視し、工作別働隊であるJ-NSC(通称ネトサポ)を組織していることを考えると、これは偶然なのかとの疑念が頭をもたげてくる。

 この状況を見ながらふと思い起こしたのは、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』だ。言わずと知れた、全体主義的社会を描いた名作SFである。主人公のウィンストン・スミスは、「ビッグ・ブラザー」が率いる一党独裁政権下のイギリスで「真理省」に勤務し、歴史改竄の仕事をしている。人々は「テレスクリーン」という装置によって監視されている。物語の序盤、主人公が「タイムズ」紙の記事を改変する場面がこのように描かれる。

〈ウィンストンはテレスクリーンの“バックナンバー”をダイヤルし、《タイムズ》の該当号を請求した。するとそれは数分のうちに気送管から流れ出てくる。彼の受けたメッセージは新聞の論説か記事に関わるもので、それが何らかの理由で改変、いや公式の言い方では修正、する必要があると見做されたのだった。〉
〈つい先頃、この二月に潤沢省は一九八四年にはチョコレートの配給は減らさないという約束(“定言的公約”というのが公式用語だった)を公表した。ところが現実には、ウィンストンも知っているように、チョコレートの配給は今週末に三十グラムから二十グラムへと減らされることになった。したがって、元々の約束を、四月のどこかの時点で配給量の削減が必要になるだろうという警告に置き換えさえすればいいのだった。〉(2009年の早川書房、高橋和久訳版『一九八四年』)

 テレスクリーンからは党のプロパガンダが垂れ流される。繰り返される「われらの幸福な新生活」という言葉。潤沢省は「我々は生産性向上のための戦いに勝利しました! 全種類の消費財の生産高に関する最終報告書によれば、生活水準が昨年に比べ少なくとも二十パーセント上昇したのです」と発表する。ウィンストンはテレスクリーンから流れてくる政府の発表を聞きながら、こう思う。

〈チョコレートの配給を週二十グラムに増量してくれたというので〈ビッグ・ブラザー〉に感謝するデモすらあったらしい。だが、つい昨日──彼は思った──配給が週二十グラムに減るという発表があったばかりではないか。あれから二十四時間しか経っていないというのに、誰もがそんなことを鵜呑みにできるものだろうか? できる、みんな鵜呑みにしたのだ!〉

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