公安調査庁が沖縄の反基地世論を「中国の分断工作」とするネトウヨ並みデマ報告書! 組織維持目的で沖縄を利用か

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 たしかに、沖縄の基地反対運動については、ネトウヨや右派メディアがこれまでさんざん中国謀略論を展開してきた。だが、そのことごとくがデマであることが証明されている。

 たとえば、先の沖縄県知事選では“翁長氏の娘は北京大学に留学”“その娘の婿は中国太子党出身”なる情報が右派界隈で乱れ飛んだが、実際には知事選当時、翁長氏の娘は「埼玉の小さな大学」におり未婚。「翁長は中国の手先」と誘導するための真っ赤なデマだったことが明らかになっている。ようするに、「中国が沖縄を分断しようとしている」なる情報は、リテラシー皆無のネトウヨの妄想に近いような陰謀論にすぎないのである。

 今回、公安庁が「中国の大学やシンクタンクが、沖縄の独立を求める団体の関係者と交流を深めている」としたのも同様だ。

 どうも、公安庁は中国側の研究者が琉球文化の研究者を学術会議に招待していることをもって「分断工作」などと言っているようだが、しかし、言うまでもなく日中の文化交流や共同研究、大学間の提携などは、日本中で山ほど行われている。仮に、ある日中共同の会合のなかに「独立」を主張する日本側の学者がいたとしても、だからといってそれを“日本分断を目的とした謀略会議”のごとくアピールするのは針小棒大、もはや妄想でしかない。

 というか、そもそも「沖縄独立論」というのは本当に、そんな危険視しなければならない問題なのか。一部の人たちが独立を主張しているのは事実だが、「居酒屋独立論」などと呼ばれていたことからもわかるように、そうした意見が大々的な政治行動に発展したことなんて一度もない。

 沖縄の「自己決定権」については、琉球新報社と沖縄テレビ放送による2015年5月の世論調査で、87.8%が「広げていくべきだ」と回答しているが、これは本土からの差別や抑圧を考えれば県民の心情として当然であり、「独立論」とはまたレイヤーが異なる話だ。事実、同世論調査では、将来の沖縄の方向性について「日本の中の一県のままでいい」がもっとも多い66.6%、「日本国内の特別自治州などにすべき」が21%で、「独立すべき」はわずか8.4%だった。

 こんな状況で、どうやって、中国が「分断工作」を展開できるというのか。つまり公安庁は“独立運動をもくろむ団体がある”“その背後で中国が日本分断を狙っている”などとわめき立てることで、沖縄の反基地感情を“日本を危険に晒そうとする反社会的な勢力の仕掛け”であるかのようにイメージ誘導しているだけなのである。

 そういう意味では、これは“琉球独立論は蒋介石が仕掛けた時限爆弾”などと吠える極右評論家たちとまったく同じ思考回路。やはり、ネジがはずれた脳内でひねり出した「陰謀論」でしかない。

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