NHKの「憲法記念日」報道がヒドすぎる!「改憲反対」が増加した世論を無視し改憲派の盛り上がりだけを強調

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 この日の『クロ現+』のテーマは、「密着ルポ わたしたちと憲法」。改憲派の後には必ず護憲派の主張が差し挟まれるという忙しない構成で、「誰からも文句が出ないよう両論併記しました!」と言わんばかり。

 しかも、改憲の国民運動化に邁進する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の設立を主導したのが日本会議であるとし、「中心メンバーは60年代から改憲を訴え、旧軍人や宗教団体などの保守系の組織を統合してこの会を設立しました」と紹介するなど、改憲派の実態に踏み込む内容でもあった。なかでも、"日本会議の中心メンバー"として百地章日本大学教授が登場し、「首相が突然(改憲議論に)入ってきたわけではなく、これまでの運動のなかで首相が誕生した」と発言したことは、"改憲運動あってこその安倍首相"という実相を明示するものだった。

 そのほかにも日本青年会議所や「頑張れ日本!全国行動委員会」、神社本庁などという政治や宗教、歴史修正主義などの団体が混ざり合いながら改憲運動が進んでいるという点を取り上げたことは、意味がないとは思わない。しかし、この『クロ現+』が歪なのは、そうした団体の主張を無批判に紹介し、それぞれの団体に属する"個々人の考え"としてまとめ上げた点だ。

"首相もかかわる団体による改憲運動とその主張"という切り口ならば、当然、戦前回帰を目指す現政権の改憲内容の危険さに話題は及ぶ。だが、"個人の考え"というエクスキューズのせいで、改憲の問題点はまったく浮かび上がってこない。改憲派が推進する自民党憲法改正草案は、個人の権利を剥奪し、人権さえ制限される可能性があるという"危険な内容"も、結局は個人の意見というかたちに収められ、矮小化されていってしまったのだ。

 現に、VTRに登場した前出の百地氏は、菅義偉官房長官が「(安保法制を)合憲だとする憲法学者はたくさんいる」と大ホラを吹いた際に真っ先に名を挙げた憲法学者だが、番組中、そうした百地氏のプロフィールは一切紹介されなかった。それは、極右の政治運動に長くかかわってきた人物が憲法学者として政権をバックアップしているという事実を隠すためだったのではないか。
 
 司会の伊東敏恵アナウンサーは番組の最後に「主権者はわたしたち」と強調し、「そのために議論を積み重ねていく必要がある」とまとめたが、いま、改憲内容を具体的かつ国民に広く説明すべきは安倍首相であり、なのにその論議から安倍首相が逃げているのが、いま現在の状況だ。

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