「軽減税率で消費税ネコババ増」は嘘! 現実に起きるのは増税分を価格転嫁できない零細業者の破綻、税金滞納だ

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 なお、2014年度は4月に消費税の税率が5%から8%になった年。増税分を、消費税を売り上げに上乗せ出来ず、その分の消費税を自己負担したため税金を払えなくなった事業者が増加したことが考えられるのだ。

 消費税率が上がると転嫁できない事業者の消費税滞納も増える──。これは消費税率が5%にアップした1997年にも見られた現象だ。今回の増加率は当時以来の深刻な増加率だ。

「税率引上げ後の平成9(1997)年度に5395億円(対前年度比:25.5%増)、平成10(1998)年度に7249億円(対前年度比:34.4%増)と急増している」(藤巻一男「消費税増税に伴う滞納増加の懸念とその発生原因及び対応策」『税経通信』14年5月号/税務経理協会)

 なお、藤巻一男新潟大学大学院現代社会文化研究科・経済学部教授は「消費税の滞納は、表面的には、消費者からの預り金的性格を有する消費税を事業の運転資金に流用することから生じるとされる。確かにそのような側面もあろうが、我が国では中小事業者の低利益体質に加え、特に平成10年度に消費税滞納額が急増したのは、平成9年当時に国内の金融不安やアジア通貨危機によって民間投資や個人消費が急速に冷え込み、不況下で消費税の転嫁や売掛債権の回収の困難性が高まり、そのことが滞納につながったと見た方が実態を表しているといえよう」(同記事)という。

 たしかに、いまの日本では価格競争が激しく、増税分を上乗せできず滞納し続ける消耗戦が続く。消費税増税以降、街の小さな小売店で閉店が相次いでいるのは無関係ではないだろう。安倍政権の消費税増税は消費者だけではなく、事業者へ「損税」を押し付けているのだ。
(小石川シンイチ)

最終更新:2015.11.01 07:04

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