“親日国台湾”の若者が「戦中日本は普通にダメ」! 保守派とネトウヨは調子乗りすぎとの声も

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 また、 同じく日本への留学経験があり、「日本が大好き」という27歳の台湾人青年は、安田氏に対し「僕、日本は好きなんですけど、いざ留学してから失望することも多かったんですよね」と応えている。

「日本の右翼には、日本統治時代に対する台湾人の感想の中に肯定的な部分を、戦前日本のすべての行いの正当性を証明する材料にする傾向があります。それはちょっと調子にのっていると私はそう思います」
「実際、日本統治時代の台湾人は確実に差別を受けていました。そして今になっても、台湾人慰安婦や台湾人日本兵の補償問題が残されています。つい最近に、ある程度解決できた尖閣海域での台湾漁民の漁業権問題も、実は日本統治時代から残された問題です。
 日本の右翼がこれらの問題を無視したまま、台湾人の好意を利用し、植民地政策や戦争発動などの戦前日本の行いは何も悪くないと主張し続けたら、いつか台湾人の反感を買ってしまうのでしょう」

 そう、台湾人が日本の歴史問題を全面的に肯定するわけではないのだ。事実、ヒマワリ学運は政府による貿易規定の強行採決に反対したもので、同書で安田氏も書いているように、運動では公式に台湾独立の主張や「親日アピール」をするものではなかった。むしろ、「台湾の民主主義の方が日本よりもいいです」という台湾人留学生もいるという。これが現代台湾人のリアルな感慨だろう。

 同書が意図的にこうしたコメントだけを選出しているわけではない。たとえば、昨年台湾で大ヒットした映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』は、日本統治下時代に、漢人、先住民、日本人の混成野球チームが台湾代表として出場し、甲子園準優勝に輝いた史実を描く感動作だが、プロデューサーと脚本をつとめたウェイ・ダーションは雑誌のインタビューでこのように語っている。

「台湾人は一人一人の日本人の庶民については親しみを持っていたと思います。でも、占領されて統治されたということに対する憎しみは当然ありました。つまり、あの時代の台湾人は、日本に対して、親しみと憎しみが混じり合った心情を持っていたと思います。これはその後の国民党に対しても同じです。日本人に対しても国民党に対しても複雑な感情を台湾人は持っているのです」(「中央公論」2015年2月号)

 このような台湾人の日本に対する複雑な思いは、日本国内で流通する「親日国台湾」というステレオタイプな言葉からはオミットされているように思えてならない。じつのところ、ネット右翼たちがしきりに「台湾!台湾!」と叫ぶのも、“中国が嫌い”という感情面と、そして、自身を慰めてくれる“日本ってすごい!”という言説に援用するためだろう。

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