正気か? 土俵で救命する女性に「下りろ」、下りたあとの土俵に大量の塩…そもそも“土俵は女人禁制”は本当に伝統なのか?

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日本相撲協会公式サイトより

 大相撲のあり方が問われるような騒動がまたもや起きた。

 4日、京都府舞鶴市で行われていた大相撲舞鶴場所の土俵上で、あいさつをしていた多々見良三市長が意識を失って倒れたのだが、その救護にあたって心臓マッサージなどを施していた女性らに対し「女性の方は土俵から下りてください」などという場内アナウンスがなされたのだ。倒れた多々見市長はくも膜下出血と診断され、手術を受けたうえで1カ月ほど入院することになるという。

 常識的に考えて、呆れてものが言えない対応である。当然のことながらこの件は大炎上。日本相撲協会の八角理事長はすぐさま〈とっさの応急処置をしてくださった女性の方々に深く感謝申し上げます。応急処置のさなか、場内アナウンスを担当していた行司が「女性は土俵から降りてください」と複数回アナウンスを行いました。行司が動転して呼びかけたものでしたが、人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くお詫び申し上げます〉と声明を出した。

 八角理事長はすばやい対応を示したが、しかしその一方で、救命活動後に土俵へ塩がまかれていたという報道も出てきている。まさか女性が上がった土俵を清めるためにまかれたのだろうか。救護に尽力した女性たちをまるで汚らわしいもののように捉えているのだとしたら、とんでもない女性蔑視だ。大相撲では取組中に力士が怪我をしたときに土俵へ塩をまく習慣があるそうで、5日付朝日新聞デジタルの取材に対し日本相撲協会の広報担当も「女性が上がったからまいたのではないと思う」と語っているが、この問題については今後もさらなる検証が必要なのは間違いない。

 重ねて言うが、一刻を争う人命救護の処置よりも「土俵は女人禁制」を優先しようとしたのは異常だ。

 ただ、「土俵の上に女性は上がってはいけない」という「伝統」(とされているもの)が社会問題となったのは今回が初めてではない。これまで何度も議論され続けてきたものである。

 たとえば、1990年。前年に内閣官房長官となった森山真弓氏が内閣総理大臣杯の授与を希望したものの、二子山理事長(当時)から「土俵に上がっての大臣杯授与は遠慮してほしい」と要請されたことで断念している。

 また、2000年には、太田房江大阪府知事(当時)が大阪での春場所千秋楽の表彰式で府知事賞を直接手渡すことを希望したが、やはり女人禁制が問題となり、この計画は途中で頓挫している。

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