がんと闘う大林宣彦監督が映画をつくり続ける理由…「青春は戦争の消耗品ではない」父たちの悲劇をくり返してはならない

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NHKホームページより


 肺がんで「余命3カ月」と宣告されたと告白していた映画作家の大林宣彦。今月16日には最新作『花筐/HANAGATAMI』が公開されるが、その大林宣彦と、妻で映画プロデューサーの大林恭子が5日放送『徹子の部屋』(テレビ朝日)に出演した。

 がんが発見されたのは『花筐/HANAGATAMI』のクランクイン直前だった。しかし、抗がん剤が奇跡的に効いたことで最悪の状態からは脱し、無事に作品は完成する。

 危機的状態から映画の完成までこぎつけることができた理由として医師は、やみくもに病気を恐れるのではなく、映画をつくりながら楽観的にがんと生きることを選んだのが功を奏したと話していたそうで、大林宣彦はそれを「戦争と平和」に紐付けながらこのように語った。

「これが徹子さん、僕たちにとってはね、戦争と平和の話にぴったりつながるんですよ。戦争を恐れるだけじゃだめだと。むしろ、平和のほうを信じる力が大事だと」

 平和を信じる力──それは『花筐/HANAGATAMI』のテーマでもある。この映画は、檀一雄が1937年に出版した小説『花筐』を原作としたもので、日米開戦直前を舞台にした青春群像劇により平和と命の尊さを描いている。

 実は、この『花筐/HANAGATAMI』の企画は42年前にも大林監督のもとで進められていたもので、その時点で準備稿の脚本までつくられていたという。

 では、なぜ、いまになって再び企画が動き出すことになったのか。それは、安保法制強行採決後のいまの日本が、『花筐/HANAGATAMI』の時代の日本に近づいているという思いがあるからだった。ドキュメンタリー『青春は戦争の消耗品ではない 映画作家 大林宣彦の遺言』(9月2日放送/NHK Eテレ)のなかで大林監督はこのように語っている。

「40年前はやっぱり僕は文学青年だから、放蕩無頼の檀さんのね、青春文学というものに憧れていた部分もあるし。あれから40年経つと、また日本がね、戦争ができる国になったいまになると、あの痛切な気持ちね、あの放蕩無頼っていうのは、“自分の命ぐらいは自由にさせてくれよ”と、戦争に行って、殺され、消耗品になる、そういう戦争を青春として過ごした人たちの無念の気持ちが、実はこれからまたやって来ると、(そう)いうときにね、ようやく、この『花筐/HANAGATAMI』をいま撮るべしという声が聞こえてきたんでしょうね」

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