リリー・フランキー、大林宣彦が語る『野火』と戦争映画…「『永遠の0』みたいな戦争賛美の映画をつくることは犯罪」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
nobi_150906.jpg
『野火』公式サイトより


 終戦記念日が近づいてくると、毎年のように太平洋戦争を題材にしたドラマや映画がつくられる。1年に1度でも、戦争について考えることの意味は大きい。

 しかし、近年、戦争を題材にしたドラマや映画の潮流は様変わりしている。良いほうにではない。悪いほうに、だ。『あんにょんキムチ』や『童貞。をプロデュース』などのドキュメンタリー映画で数多くの映画賞を受賞している松江哲明監督は、今年1月に出版された芸術批評誌「REAR no.36」(リア制作室)でこのように指摘している。

「最近出てきた体験者じゃない人がつくる、あまりにも現代的な視点が強すぎる戦争映画にすごく違和感を持っていたんですよね。『永遠の0』(2013年、山崎貴監督)とか。SFレベルの、ものすごく都合のいい解釈の映画だなって。孫が調べていって、価値観が変わっていくというのを一つのドラマにしているんですけど、分かんないことを排除しようとするんですよね」
「『永遠の0』を見て、分かりやすくしているが故にすごくなにかを隠している都合のいい映画で、SF的、架空戦記ものみたいだなって」

『永遠の0』のような「架空戦記」は、戦争に向かう兵をとにかくヒーローのように描き、その死はドラマチックに描かれる。それは戦争の悲惨さを描いているようでいて、実はその真逆。観客はむしろ、国のため、家族のために死に行く若者を英雄として、憧れの対象として捉えてしまう。

 だが、実際の戦争における死は、そんなにドラマのあるものではない。砲弾などにより人間は一瞬のうちにただの「肉塊」になってしまうし、深刻な食料不足から「食人」も行う。むごたらしいものだ。

 現に、過去の映画はそのような戦争の実相をきちんと描いていた。たとえば、陸軍に召集され戦友たちが死んでいく姿を目にしている岡本喜八監督は、1971年公開の映画『激動の昭和史 沖縄決戦』で、140分近くの上映時間のうち半分以上を物語上の余韻も何もなく、ただただ兵士や沖縄市民が死んでいく姿を描写することに費やした。セリフらしいセリフを与えられる者もほとんどおらず、死に方はそれぞれだが、人々はただ死んでいくだけで、そこにヒロイズムのようなものはかけらもない。

 本当の戦争とはこのようなものなのだろう。当たり前のことだが、事切れる寸前に愛する者へ向けた長ゼリフなど喋る余裕はないだろうし、激しい戦場のなかにあってキレイな身体で死ぬことのできる兵士もいない。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

塚本晋也「野火」全記録

新着芸能・エンタメスキャンダルマンガ・アニメビジネス社会カルチャーくらし教養

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
2 今村更迭は、安倍首相に謝罪させたから
3 籠池氏と財務省の面談音源が明らかに
4 葵つかさが「松潤とは終わった」と
5 ブルマーが強制された意外な理由とは
6 辞任!今村復興相の差別的本質は最初から
7 室井「安倍を倒せ」に山本太郎の答えは
8 安倍政権の独裁国家並み情報隠蔽やり口
9 講演で稼ぐネトウヨ文化人のビジネス
10 自衛隊とカールビンソン共同訓練の裏
11 国谷裕子がクロ現降板の舞台裏を告白!
12 稲田が自衛隊と米空母の訓練を秘密に
13 オザケン父と息子の鋭すぎる権力批判
14 SMAPの寂しすぎる最後は仕方ない!
15 恵俊彰が田崎史郎を「政権の代弁者」と
16 今村復興大臣を激高させた記者が告白
17 玉川徹に自民議員が共謀罪の正体を
18 秋篠宮家の料理番がブラック告発
19 星野源が大衆ウケするようになった理由
20 「週刊女性」が「共謀罪」を大特集
PR
PR
1玉川徹に自民議員が共謀罪の正体を
2オザケン父と息子の鋭すぎる権力批判
3「週刊女性」が「共謀罪」を大特集
4室井「安倍を倒せ」に山本太郎の答えは
5ペギー葉山が遺した安倍政権批判の言葉
6安倍が北朝鮮危機煽りつつ桜を見る会
7キノコや筍を採るだけで共謀罪
8講演で稼ぐネトウヨ文化人のビジネス
9森友国有地取引で財務省主導の証拠が
10安倍政権が関東大震災・朝鮮人虐殺を
11安倍政権の独裁国家並み情報隠蔽やり口
12稲田が自衛隊と米空母の訓練を秘密に
13籠池氏と財務省の面談音源が明らかに
14「共謀罪」にアジカン後藤らが反対の声
15北朝鮮危機の最中に安倍はフィットネス
16有村治子議員がNHKに言いがかり
17三回忌を迎えた愛川欽也を偲ぶ!
18今村更迭は、安倍首相に謝罪させたから
19グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
20安倍政権が自衛隊の対北武器使用指針
PR
PR

人気連載

アベを倒したい!

室井佑月

室井佑月が斎藤貴男と「共謀罪」を徹底批判!「安倍政権に逆らう人が片っ端から逮捕される」

アベを倒したい!

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄

"体育会系相田みつを"松岡修造は本当に「ブレない男」なのか? 年を追うごとに変わっていく修造語録を読み解く

「売れてる本」の取扱説明書

ネット右翼の15年

野間易通

高市早苗はいかにして"ネオナチ"と出会ったか

ネット右翼の15年

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

戦争を放棄せよ! 軍事力がなくても侵略と闘う方法はある、自由のために闘える!

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」