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総裁選に騙されるな、政府のコロナ対策のお粗末さは変わってない! 自宅死亡者数も把握できず、発熱した子どものPCR検査拒否続出
首相官邸HPより
本日、自民党総裁選が告示され、テレビをつければまるでコロナ問題などないかのような密状態の出陣式の模様をはじめ、4人の候補者によるテレビジャック状態に陥っている。
だが、新規感染者数が減少傾向にあっても、全国の自宅療養者数は6万人以上、東京都の重症病床使用率がいまだにステージ4のままであるように病床逼迫の状況は変わっていない。しかも、東京大学の仲田泰祐准教授らによる試算では、11月末までに約75%の都民が2回のワクチン接種を終わらせても、12月中旬には新規感染者数が1日平均で1万人を超えるとしている。いますぐに対策の強化が必要なのだ。
にもかかわらず、政権与党の自民党は党内の権力闘争に明け暮れ、メディアもそれを批判することもなく丸乗り。この有事に臨時国会の招集を自民党が拒否しているという大問題も、不問に付されている。
ようするに、自民党は総裁選の加熱報道によって菅政権によるコロナ対策の大失敗を糊塗し、国会を閉じたままにすることでポンコツの菅義偉首相など存在しなかったかのように目くらまししているのである。
だが、この国民の目を欺く自民党のお祭り騒ぎによって被害を受けるのは、言うまでもなく国民だ。しかも、総裁選報道に夢中になっているメディアはほとんど取り上げないが、国会の閉会中審査では、いまなお菅政権にはすさまじい医療崩壊を巻き起こしたことの反省がまるでないことが浮き彫りになっている。
たとえば、16日におこなわれた参院厚労委員会の閉会中審査。8月5日の参院厚労委員会で田村憲久厚労相は「中等症は原則入院だ」と強弁したが、ご存知のとおり、その原則はまったく守られることなく、中等症でも入院できず自宅に放置された患者が続出、自宅死を招く結果となった。当然、今回の閉会中審査でも田村厚労相に対してその責任を問う声があがったが、田村厚労相は言い訳に終始し、一切謝罪をしなかった。
しかし、問題は謝罪をしなかったことだけではない。厚労省はいまだに、自宅死の実態をまるで把握をしていないのだ。
先日、警察庁調べで8月中に自宅など医療機関以外で死亡した新型コロナ感染者は全国で250人にものぼり、そのうち死因が新型コロナあるいは肺炎だった人は187人だったことが判明。これは7月の約8倍、過去最多の人数となっている。
ところが、立憲民主党の石橋通宏参院議員が「8月以降に自宅で亡くなられた方を把握されているのか」と質問すると、田村厚労相はこう答弁したのだ。
「HER-SYSで見ますと、8月中、自宅療養中に発生した死亡事案は全国で11件というふうに出ております」
田村厚労相は「入力されていないものがたくさんある」「HER-SYSにあらかじめ登録した上でコロナが原因で自宅で亡くなられたというものはいま完全に把握できている状況ではないが、これから順次HER-SYSにデータが入ってくると思う」とも述べたが、警察庁によると、死亡者250人のうち93人は生前にコロナ陽性が判明し、コロナによって命を落としていた。にもかかわらず、厚労省はたったの11件しか死亡事案を把握していないのだ。ようするに、患者の状況をリアルタイムで把握するシステムすら、この国ではいまだに確立されていないのである。
「子どもが発熱してもPCR検査を勧められなかった」と回答がなんと約65%に
だが、さらに呆気にとられたのは、感染割合が増加している子どもたちにかんする問題での政府答弁だ。
同じく参院厚労委員会で質疑に立った日本共産党の吉良よし子参院議員は、8月に「子どもの発熱にかんするアンケート」(回答者409人)をネット上で実施し、その結果を紹介。「保育園や学校で陽性者が出た際、どの範囲まで検査がおこなわれたか」という問いでは、「園や学校のすべての児童、教職員などの関係者におこなわれた」という回答はわずか0.3%、「濃厚接触者やクラス・学年のメンバー全員」もたったの8.6%で、「濃厚接触者のみ」が37.9%、「検査はおこなわれなかった」が24.8%と多数にのぼった。なかには「保育園や陽性者が出たが“濃厚接触者ではない”と判断され、発熱してもPCR検査を断られた。父親の勤務先でPCR検査を受けたところ陽性だった」という声もあったという。
さらに、「子どもが発熱してもPCR検査を勧められなかった」という人の割合は64.7%にものぼっており、吉良議員のもとに寄せられた「医師の診断は『風邪ですね』の一言だけ。『検査しなくていいのか』と訊くと『子どもは軽症だから大丈夫』と言われた」「『大人が体調不良でなければ子どものコロナはありえない』と言われた」という声を紹介。「子どもが発熱した際にはすぐに検査を徹底すべきでは」と訴えた。
だが、田村厚労相の答弁は、信じられないものだった。
「発熱された患者は基本的に診療・検査外来という医療機関に行っていただければ検査をしていただくというふうに我々は認識している」
65%近くもの人たちが「発熱しても検査を受けさせてもらえなかった」と言っているのに、田村厚労相は質問を聞いていたのか?という話だろう。しかも、吉良議員は12歳未満の子どもたちはワクチン接種ができないことも踏まえて保育園や学校などでの定期検査を求めたのだが、田村厚労相の答弁は「重症化リスクという意味では、高齢者と比べると(子どもは)明確に数字が違う」などと述べて定期検査の実施を拒否したのだ。
菅首相は小池都知事と連れ立って利用率最大3割の「酸素ステーション」視察する頓珍漢ぶり
コロナの自宅死亡者の数も把握せず、発熱したら検査が受けられるという仕組みも徹底せず、その上、定期検査の実施も拒絶──。この体たらくは一体何なのか。
しかも、呆れるのは、「コロナ対策に専念する」と言って総裁選不出馬を決めた菅首相だ。「専念する」と大見得を切ったのだから、本来ならばこの閉会中審査に出席してしかるべきだが、国会にその姿はなし。その間、何をしていたのかと思ったら、またも小池百合子都知事と連れ立って、東京・築地に開設する「酸素・医療提供ステーション」を視察していた。
だが、都内の「酸素ステーション」の利用率はピーク時でも3割程度で、菅首相肝いりで開設された渋谷の「酸素ステーション」では看護師が「少ないときは(患者が)5人とかしかいない。看護師も何すればいいか困ることもある」「宝の持ち腐れ」と証言しているほど(TBS『news23』15日放送)。菅首相は今回の視察でも「画期的な施設であり、こうした施設を全国に増やしていきたい」などと胸を張ったが、全国に増やす前に抜本的な見直しが必要であるはずだ。
しかし、この菅首相よりももっと酷い「国会サボリ閣僚」がいる。総裁選候補者であるワクチン担当の河野太郎・行革相だ。
16日の閉会中審査では、前出の立憲の石橋議員や国民民主党の芳賀道也参院議員がワクチン担当として河野大臣の出席を求めたというが、なんと「拒否された」というのだ。
ご存知のとおり、河野大臣といえば総裁選告示前からテレビに出ずっぱりで、「やはり河野太郎でなかったらワクチンはここまで来なかった」などと自画自賛。ここまできたのは言うまでもなく自治体の努力にほかならないが、挙げ句、ワクチン担当大臣として国会に出席を求められてもそれを拒否し、総裁選にかまけているのである。
そもそも、15・16日とおこなわれた衆参厚労委員会の開催は3週間ぶりだったというのに、審議時間は2日合わせてたったの4時間。その上、大臣として国会での説明を拒否する人物が、次期総裁・首相の第一候補だというのだ。臨時国会も開かず、閉会中審査に現首相も次期首相有力候補の大臣も出てこないというこの現実を見れば、いかに国民がバカにされているのか、そして自民党政権がつづくかぎりは何も変わらないということが、よくわかるというものだろう。
(水井多賀子)
最終更新:2021.09.17 11:01
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