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吉村知事が“批判逃れ”に必死! 明石市長への反論では病床問題をスルーし私権制限にスリカエ、援軍の橋下徹と宮根誠司は“同情作戦”
大阪府公式チャンネルより
本日28日の新規感染者数が1260人となり、過去最多を更新した大阪府。重症病床の使用率が141.1%というだけでなく、看護師のみならず呼吸器や麻酔薬も足りないという状況で、深刻さは日に日に増すばかり。さらに本日からはがん治療を専門におこなう大阪国際がんセンターもICUをすべてコロナ専用病床に切り替え、一部手術が延期されるという。
だが、こんななかにあっても吉村洋文知事はテレビ出演をつづけ、25日に出演した『Mr.サンデー』(フジテレビ)では「誰かが(ウイルスを)家庭に持ち込んだら、だいたいその家庭内感染は一家全滅みたいな状況」などとコメントした。
「家庭に持ち込んだら一家全滅」って、いま大阪では「自宅療養」ならぬ「自宅放置」の状態となっている患者が1万人を突破しており、自宅内で二次感染が起こっているのが現実だ。また、SNS上では大阪府内で家族を相次いで亡くした人の悲痛なツイートも投稿されている。にもかかわらず、吉村知事は「一家全滅」などと口にしたのである。「一家全滅」と言ったあと、すぐに「全滅というのは全員感染(という意味)」だと言い直していたが、こうした無神経な言葉が出てくること自体、神経を疑わざるを得ない。
さらに、23日におこなわれた会見では、「いまコロナに罹患したら適切な治療を受けられない状況にある」と自ら述べておきながら、記者からの「医療崩壊を招いた責任についてどう思うか」という質問には「僕自身が『医療崩壊だ』と言うことではないと思っている」などと抗弁。「治療を受けられない」という事実こそ医療崩壊している証拠だというのに、相変わらず自身の責任を認めようとはしないのである。
いや、この23日の会見で吉村知事は、責任逃れをするばかりか、ついに府民や国会に責任転嫁まではじめた。現行の制度では十分に対応できないとし「個人に義務を課す法令が必要だ」と言い出した件だ。
おい。感染力が高い変異株の存在を無視して前回の緊急事態宣言を前倒し解除の要請をおこない、挙げ句、病院に重症病床を減らす要請まで出していたのは、一体どこのどいつだ。しかも、現行の制度でも首長として医療提供体制や検査体制を強化することは十分にできるのに、それをおろそかにし、この間、力を注いでいたのは「都構想」住民投票の結果を骨抜きにする「広域一元化」条例の制定だ。にもかかわらず、職責を果たすこともせず医療崩壊状態に陥ると、法制度の問題にすり替えて「私権制限」を言い出すとは、出鱈目にも程がある。
明石市長の批判「病床が確保できていない」という部分をスルーして「私権制限」問題にすり替えた吉村知事
この吉村知事の発言に対しては、兵庫県明石市の泉房穂市長が「(病床)確保に約1年間努力をしてこなかった知事のせいだ」「病床が確保できていないのに、私権制限はやってはいけない。政治家の責任放棄で、失格だ」「吉村知事は有害だ。辞めてほしい」と厳しく批判をおこなったが、まさにそのとおりとしか言いようがない。
しかし、泉市長による、このぐうの音も出ない正論に対しても、吉村知事は「私権制限については、僕はやっぱり議論すべきだと思う」と言い、こう噛み付いたのだ。
「(日本では私権制限の議論が)タブー視されているが、諸外国では感染を抑えるためには一定程度、個人の自由は制限する必要はあると。(中略)ここを僕はしっかりと議論すべきだと思う」
「私権制限はしないという前提でいまきているが、本当に感染症対策として、社会の安全を守るために適切なのかということを、きちんとやっぱり逃げずに議論すべきだ」
泉市長が批判したのは、「病床確保」という知事の仕事もやらずに私権制限を言い出すなどもってのほかだ、ということだったのに、吉村知事は病床確保という自身の責任問題はすっ飛ばして「私権制限の議論がタブー視されている」などと言い、「個人の自由を制限することを逃げずに議論すべき」と私権制限の是非に話をすり替えるのだ。そういうところが「政治家の責任放棄」「有害だ」と指摘されているというのに、である。
しかも、この吉村知事の醜い話のすり替えに援軍が動き出した。言わずもがな、吉村知事の後ろ盾である橋下徹氏だ。橋下氏は自身のTwitterアカウントにこんな投稿をおこなっている。
〈巨大都市圏における感染抑制は、どこまで国民の自由を制約できるかによる。飛沫感染対策をもっと義務化すべきだった。キャパシティコントロールを義務化すべきだった。医療マネジメントを法整備すべきだった。これら有事対応の法整備の欠如が失敗の最大の原因。〉
まったくよく言うよ、としか言いようがない。「失敗の最大の原因」は、昨年の第1波で橋下氏らが「PCR検査抑制」論をさんざん喧伝したことにはじまって、この国が「検査と隔離保護」という感染症対策の基本のキの体制づくりをいまだに強化・徹底できていないことだ。しかも、大阪の惨状については、橋下氏が大阪府知事・市長時代におこなった公立病院や保健所、医師・看護師などの病院職員、保健所など衛生行政にかかわる職員を大幅に削減するという「医療・福祉の切り捨て」政策の影響も非常に大きい。
なのに、そうした自身の責任を振り返ることもなく、問題をすり替えて「私権制限が必要だ!」と叫ぶ。やっていることは吉村知事とまったく同じではないか。
橋下徹が「しんどさが痛いほど伝わってくる」と同情作戦 しんどいのは治療を受けられない大阪府民だ
しかも、橋下氏は吉村知事と一体化して自身の責任逃れを正当化しようとしているだけではない。
たとえば、プレジデントオンラインで配信された自身のメールマガジン記事では、吉村知事が前回の宣言解除を前倒しして要請したことや医療逼迫への批判が強まっていることに対し、〈思いっ切り言い返してやるのも一つの手だ。僕はこれを多用していた(笑)〉などとアドバイス。いまの大阪の医療体制は「(笑)」などと書けるような状況ではなく、橋下氏が事態の深刻さをまるで理解していないことがよくわかるが、さらに、吉村知事にこう同情を寄せるのだ。
〈吉村さんのやつれ気味の表情をテレビで見ていると、そのしんどさが痛いほど伝わってくる。連日連夜、府庁内では協議、会議の繰り返しなんだろう。〉
「しんどさが痛いほど伝わってくる」って、いま本当にしんどい思いをしているのは、入院すべき病状でも治療を受けられない患者やその家族、人手も人工呼吸器も足りないなかで奮闘する医療従事者や救急隊員たちのほうだ。そして、こんな惨状を生んだのは誰なのか、その責任が問われているというのに、橋下氏は“吉村知事はやつれながら頑張っている”と強調し、吉村知事に同情が集まるように誘導しようというのである。
下劣としか言いようがない、橋下氏が打ち出した「同情」作戦。しかも、これに丸乗りしているのが、メディアだ。
実際、25日に吉村知事が出演した前述の『Mr.サンデー』では、司会の宮根誠司が “厳しい質問をする”などと吉村知事に宣言していたが、これも「矢面に立たされるやつれ気味の吉村知事」を演出するための茶番だったのはミエミエ。現に番組では、厳しい質問どころか、宮根が「知事はテレビ出るたびに最近叩かれてるんですけど、大阪はお金がないから正直、テレビ出て知事がしゃべるしかないんですよね」と言い出し、テレビに出まくる吉村知事をフォローする始末だった。
責任逃れに必死の吉村知事に、吉村知事と一体化して今度は「同情を誘う」作戦に出た橋下氏とメディア。この歪な共犯関係がまかり通っていることが、反省もないまま、救えたはずの命が救えないという大阪のひどい状況をつくり出しているのである。
(編集部)
最終更新:2021.04.28 09:56
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